TeXi's 第三回本公演
『夢のナカのもくもく』
最初に夏七美さんを先頭にして観客にギャラリーの案内。ギャラリー2には子供用のテントが3つ並び、床にはカーペット(ここに上がる時にはシューズを脱ぐ)。隣のギャラリー3は学校らしく、黒板と椅子がいくつか。通路を経由して壁の反対側にあるギャラリー1は誰かの家でベッドやら炊飯器やら、映像が流れるテレビや遊び用の積み木なども。また、双方にモニターがあり、反対側の様子が映し出される。
回遊型ということで、1つのシーンが終わったら移動して、また、次のシーンが終わったら…とやるのかと思っていたら、3つの空間を用いて同時多発的に進行。
6人が揃うシーンもあるが、みっちゃんとつっちー、あさぴとちーちゃん、かなちゃんとえりえりのペアで進行することが多い。キャストは当初、赤いジャージを着ているが、話が進むにつれ、私服に変わる。
観客はどこで観るかを自分で選択して移動することになり、当然のことながらすべてを把握することは出来ない(それは作り手も同様)。
また、キャストはたとえ客がいなくても演技を続けなければいけないし、逆に客がキャストが誰もいないギャラリーに座っているのも自由となる。演劇というものが演じ手と観客がいて成立するものとすれば、これらの瞬間はその定義が当てはまらなくなってしまうが、それでも見えないところに客あるいは演じ手がいるという前提があれば演劇として成立するところが興味深かったし、見えないことにも価値を見出そうとするところに同じ谷崎の『陰翳礼讃』に少し通じるものを感じた。
最後はキャストが演技を続ける中、スタッフがマイクで終了を知らせるアナウンスをするのだが、何を見て何を見ないか、その選択はこの作品の上演が終わっても続くということなのだろう。
キャストではムニ『ことばにない』にも出ていた古川路さんと土屋康平さんのペアがいい感じの組み合わせだった。
上演時間1時間41分。
