『ジャズ大名』(岡本喜八監督) | 新・法水堂

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『ジャズ大名』



1986年日本映画 85分
脚本・監督:岡本喜八
原作:筒井康隆(新潮社版)
脚本:石堂淑朗
製作:山本洋、小林正夫
企画:島田開、鈴木良紀
プロデューサー:室岡信明
音楽:筒井康隆、山下洋輔
音楽プロデューサー:三浦光紀
撮影:加藤雄大 照明:佐藤幸次郎
美術:竹中和男 録音:田中信行
編集:黒岩義民 助監督:月野木隆
記録:山内薫 通訳:綱島順子

出演:
古谷一行(庵原藩藩主・海郷亮勝)
財津一郎(家老・石出九郎左衛門)
神崎愛(亮勝の妹・文子姫)
岡本真実 [新人](同・松枝姫)
唐十郎 [友情出演](薩摩藩士・益満休之助)
殿山泰司(医師・玄斎)
本田博太郎(鈴川門之助)
今福将雄(由比軍太夫)
小川真司(中山八兵衛)
友居達彦(烏丸源之進)
香川良介(住職)
利重剛(赤坂和馬)
ミッキー・カーティス[ミッキー・カーチス](アマンド)
Ronaod Nelson[ロナルド・ネルソン](ジョー)
Pharez Whitte [ファーレズ・ウィッテッド](ルイ)
Leonard Marsh[レナード・マーシュ](サム)
George Smith[ジョージ・スミス](アンクル・ボブ)
タモリ[特別出演](屋台のラーメン屋)
山下洋輔[特別出演](ピアノ弾き)
樋浦勉、福崎量啓、佐藤英、六平直政(薩摩藩士・伊牟田尚平)、本城裕、大島光幸、森岡隆見、伊吹新太郎、石川慎二、野崎海太郎、吉岡圭二、高安青寿、金澤伸治、綱島覚、岡本陽介、田中直人、鈴木省吾、藤原益二、中瀬博文、深作覚、村上久勝、石川裕介、小林真一郎、川口丈夫、佐藤好男、安岡英之、高野恵雄、中田ちえこ、鬼頭智恵美、田村亜矢子、益海愛子、井深あけみ、川口圭子、みずきれい、早川亜友子、小島蓉子、聖ミカ

STORY
南北戦争が終り、解放された黒人奴隷のジョーは、バーモント近くの激戦地跡で弟サム、従兄ルイ、叔父ボブの3人に出会った。彼らはニューオリンズから船に乗り、故郷のアフリカへ帰るため楽隊でもやって船賃を稼ごうと、ジョーが中心になって演奏を始めた。ボブのクラリネット、ルイのコルネット、サムの太鼓、ジョーのトロンボーンと、繰り返し演奏するうち、曲は軽快にジャズらしくなり、4人は夢中になって来た。4カ月たち、メキシコ商人にだまされた4人は、香港行の船の中だった。ある日、ボブが鳴らなくなったクラリネットを前に、病気で死んだ。ある大嵐のなか、三人はボートで船から逃げ出した。彼らのボートは、駿河湾の庵原藩に打ち上げられた。庵原藩の藩主、海郷亮勝は大の音楽好きで、家老の目を盗んではふところから篳篥を出して吹いている。彼には女らしい文子と、少年のように勇しい松枝という二人の妹がいた。ジョーたち三人は医師、玄斉のところに運び込まれる。亮勝は彼らたちにひとめ会いたいと願うが、家老の石出九郎左衛門は許してくれない。江戸幕府からは、黒人の処分は亮勝に任せるとの命令が入った。亮勝は城の地下座敷牢にジョーたちを入れる。江戸から世継ぎ誕生の知らせが来た。亮勝は喜ぶが、松枝のひと言でそれが不義の子だとわかる。監督不行届を恥じた九郎左衛門は、切腹をすると騒ぎだす。亮勝は切腹と交換にジョーたちと会うことにした。鈴川門之助を通訳に、亮勝はここに流れつくまでの話を聞いた。そして、サムが桶をひっくり返して、火鉢の火箸で叩き始め、ルイがコルネット、ジョーがトロンボーンとジャズ演奏を始める。亮勝はボブのクラリネットを直し、吹き始めた。格子戸を外した座敷牢は、一転、ステージに変わった。ジョーたちの演奏に、城中のものが鼓と横笛、算盤、薩摩琵琶、琴、鍋、釜、桶、三味線などで加わり、大ジャム・セッションが始まった。その上を、江戸に向かう討幕派、彼らと敵対する幕府の兵、百姓一揆たちが駆けぬける。亮勝が彼らのために城を開通させたのだ。やがて夜が明け、新政府軍、殿銃隊が朝もやの中に消えて行った。時は、明治元年!【「KINENOTE」より】

本日9月24日は筒井康隆さんの88回目の誕生日。
というわけで12月に舞台化もされる『ジャズ大名』の映画版を久々に鑑賞。

いやー、やはり最後のセッションシーンは圧巻ですなぁ。徳川幕府から明治の世へ、時代の移り変わりをジャズとええじゃないかで狂騒的に描く。このシークエンスだけで20分近くあり、襖や障子をテンポよく運んだり最後はエクスタシーに達するほどの高まりを見せたり、岡本喜八監督の才覚が溢れまくる。

古谷一行さん(亡くなって1年が経つのね)扮する藩主が男女の区別、人種の区別なく人と接するところは現代的だし、それが音楽の持つ魅力とも相通じる。
松枝姫役の岡本真実さんが監督の娘だと今更ながら知ったけど(現在は喜八プロダクション社長)、これがなかなかいい。それまで男性の格好をしていたのが、最後に女性の格好をするところだけが惜しまれる。

ところで↑の写真、松竹の公式サイトのものなのだけど、公式にまともな写真が残っていないってまずくないか?