『机のなかみ』(吉田恵輔監督) | 新・法水堂

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『机のなかみ』


2006年日本映画 104分
脚本・監督・編集:吉田恵輔
脚本・メイキング:仁志原了
製作:古屋文明、小田泰之
プロデューサー:片山武志、木村俊樹
音楽:神尾憲一
エンディング曲:「THE NEW SONG」クラムボン
撮影監督:山田真也 Gaffer:佐伯琢磨
録音:湯脇房雄 効果:西村洋一
サウンドエンジニア:藤林繋
助監督:立岡直人 制作担当:中村元
衣装:宮田弘子 メイク:田代ももこ
タイトル:片山宏明 宣伝:佐向大

出演:
あべこうじ(馬場元)
鈴木美生(望月望)
坂本爽(藤巻凛)
清浦夏実(凛の彼女・水野多恵)
踊子あり[踊り子あり](棚橋美沙)
内藤トモヤ(望の父・望月栄一郎)
三島ゆたか(担任)
峯山健治(凛の友人)、野木太郎(同)、比嘉愛(望のクラスメイト)、大石綾子、mmマダム、宇野祥平(バッティングセンターの男)、河田為雄(バッティングおじさん(管理人))、平井絢子、カオティック・コスモス、藤澤よしはる

STORY
フリーターの馬場は、大学受験を控える女子高生の望の家庭教師となる。望の父親に間違いを犯さないようにと釘を刺されながらも、馬場はすっかり魅了される。望がギターを弾ける男が好きと聞いて、もう一つの家庭教師先である藤巻凛にギターを借りて練習を始めた馬場に、長年の同棲相手である美沙も不審の念を抱く。その後も、美沙の作ったカレーを勝手に持っていったり、図書館に行くと偽ってバッティングセンターに連れ出したりしてアピールする馬場。そんなある日、買い物に出かけた馬場は、美沙と一緒にいるところを望に見られて取り繕うが、後日、馬場は「彼女がいる人を好きになるのっていけないことですか」と望に聞かれて戸惑う。望の成績は順調に伸び、無理だと思われていた向陽大の受験を迎えるが、結果は不合格。その夜、馬場は泣きじゃくる望にキスをするが……。

『六月の蛇』、『ヴィタール』などの塚本晋也監督作品で照明技師を務め、『なま夏』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアターコンペティションのグランプリを受賞した吉田恵輔監督の長編デビュー作。

話としては実に他愛無い。
前半は馬場の妄想にただ共感。笑
演じるあべこうじさんはR-1グランプリで準優勝したこともあるピン芸人(その時の優勝が博多華丸さん)とのことだが、いい加減でお調子者の馬場を見事に演じている。同棲相手を演じる踊子ありさんとのコンビネーションも抜群。
また、望が馬場の肩を揉むときに顔を映さずに「私って魅力ないですか」と言わせるところや、目玉の入っていないダルマを映すことで望が不合格になったことを示すところなど、演出面でも巧さを感じさせる。

とある事件が起きてさてどうやって収拾するのかなと思っていたところで、2度映画化された某クドカンドラマや中村靖日さん主演の某映画と同じ「手法」が使われるのだが、正直言って、それらの作品より成功しているとは言い難い。
例えば、望がオレンジ色のシャープペンシルを触られるのを嫌がった理由とか、もう一つの家庭教師先である男子高校生が実は望の好きな相手だとかというのはある程度予想がついてしまう。
最初にも書いた通り、他愛ない話なのでしょうがないのかも知れないが、もう少し意外性のある展開が欲しかった。

ミスマガジンの鈴木美生さんはチラシには“ポスト宮崎あおい”なんて書かれていたけど、さすがにそれは言い過ぎ(笑)。確かにどことなく顔立ちは似ているけど。