M&Oplaysプロデュース『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

M&Oplaysプロデュース

『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』



【東京公演】

2023年6月3日(土)〜25日(日)

本多劇場


作・演出:岩松了

美術:加藤登美子 照明:渥美友宏

音響:高塩顕 衣裳:飯田恵理子(コラソン)

ヘアメイク:大和田一美(APREA)

演出助手:相田剛志 舞台監督:櫻井健太郎

制作:近藤南美 制作助手:寺地友子

制作デスク:大島さつき

宣伝:る・ひまわり 宣伝美術:坂本志保

宣伝写真五渡部孝弘 宣伝衣裳:チヨ(コラソン)

宣伝ヘアメイク:APREA、石田絵里子〔松雪泰子〕

宣伝動画:原口貴光 HPデザイン:斎藤拓

プロデューサー:大矢亜由美


出演:

黒島結菜(坂本イズミ)

井之脇海(イズミの兄・坂本アキオ)

松雪泰子(沢井葉子)

岩松了(企業法務弁護士・田宮)

青木柚(若い浮浪者・とみ)

櫻井健人(若い浮浪者・のぼる)


STORY

銀座、そこはかつて海だった。その空には、鴎が飛び交っていたのかもしれない――。アキオとイズミは早くに両親を亡くし、二人寄り添うように生きてきた。今、アキオは銀座の広告代理店で働き、忙しい兄のためにイズミは手作りの弁当を職場に届けたりしている。イズミは、兄が大好きで、いつまでも二人で一緒にいたいと思っている。そんな時、イズミは銀座の街で、「とみ」と「のぼる」と呼び合う、二人の若い浮浪者に出会う。この街に浮遊する彼らは何者? そして、アキオは銀座で、父親の愛人だった葉子に出会う。かつて、二人の家庭を崩壊させた葉子に、しかしアキオはだんだんと惹かれてゆく。そんなアキオを見ているイズミ――。人の気配が消えた年の瀬の銀座に現れた二人の若い浮浪者、寄り添う兄と妹、彼らと対峙する美しい女性――。それぞれのドラマが絡み合い、やがて兄と妹にもたらされる恩寵とは――。【公式サイトより】


『少女ミウ』以来6年ぶりに黒島結菜さんとタッグを組んだ岩松了さん最新作。


舞台中央にマンションのエントランス。手前に門松。2階へと続く階段があり、突き当たりに田宮の事務所のドアがある。下手側にはガラス張りの店舗。そこに反射された風景やカモメが飛んでいる映像が映し出されたり、中が透けて見えたりする。

岩松さんの作品はいくつか観ているが、点描で描かれた絵のようだなと思う。点を重ねていく部分をいくつかクロースアップで見せていき、最後の方でおぼろげながら何を描いていたのかが見えてくる。とは言っても、それは誰にでも何の絵か分かるようなものではなく、それぞれに解釈の余地が生まれる。
岩松さんの作品は分かりやすくメッセージを伝えるようなものではない。そのある種の韜晦さがともすれば難解という評価にも繋がってくるのだろう。その点、タイトルに「カモメ」があるからという訳ではないけど、チェーホフに似た印象を受けるんだよなぁ。

黒島結菜さんはベリーショートにして中性的な雰囲気。朝ドラでわじわじーしていた人にこそ本作での演技を見てほしいわけさ。

上演時間1時間45分。