劇団☆新感線『鋼鉄番長』 | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

2010年劇団☆新感線30周年興行《秋》
豊年満作チャンピオンまつり

『鋼鉄番長』

IRON BRUTE


【大阪公演】
2010年11月16日(火)~12月5日(日)
イオン化粧品 シアターBRAVA!

作・演出:いのうえひでのり
美術:池田ともゆき(TANC!池田意匠事務所)  照明:飯泉淳(FAT OFFICE)
振付:川崎悦子(BEATNIK STUDIO)
殺陣指導:田尻茂一・川原正嗣・前田悟(アクションクラブ)
アクション監督:川原正嗣(アクションクラブ)
音楽:岡崎司 音響:井上哲司(FORCE)
音効:末谷あずさ(日本音響機器産業)、大木裕介(Sound Busters)
衣裳デザイン:竹田団吾
ヘア&メイク:宮内宏明(M's factory)
小道具:高橋岳蔵
特殊効果:南義明(ギミック)
映像:上田大樹(&FICTION!)
大道具:俳優座劇場舞台美術部
歌唱指導:右近健一 演出助手:山﨑総司  舞台監督:芳谷研

出演:

三宅弘城(兜剛鉄)

坂井真紀(浅見山サツキ)

古田新太(天王寺天牙)

田辺誠一(土方夢知彦)

高田聖子(権田原ユカ)

粟根まこと(灰汁音醤太郎)

河野まさと(井尻亀吉)

保坂エマ(沢々尻モニカ)

村木仁(真毛校長/ネエ子)

右近健一(九竜伊崎教頭)

逆木圭一郎(蟹江田刑事)

村木よし子(ゲソ子)

中谷さとみ(三田リカ)

山本カナコ(ギャルカナ)

インディ高橋(業村/不良)

礒野慎吾(与作/不良)

西川瑞(ちから太郎)

吉田メタル(ジャイアント吉田/不良)

川原正嗣(伊賀ジェット/不良/特殊装甲機動隊員)

前田悟(甲賀ハルク/不良/特殊装甲機動隊員)

武田浩二(不良1/特殊装甲機動隊員)

藤家剛(不良2/特殊装甲機動隊員)


STORY
兜剛(つよし)はアイドル・沢々尻モニカの熱狂的なファン。ムッチこと土方夢知彦(むちひこ)との密会写真をネタにモニカを遊園地に呼び出した兜だったが、成り行きでモニカのライバル・三田リカが引き連れてきた不良グループと闘うことになる。ジェットコースターに乗せられた兜は勢い余って地上に落下して瀕死の重傷を負うが、警視庁の蟹江田刑事によってとある研究室に運ばれ、鋼鉄化の手術を受ける。こうして兜剛鉄(こうてつ)として生まれ変わった兜は、蟹江田刑事の命を受け、モニカが拉致された聖アンガー学園に潜入捜査に乗り込む。そこは学園とは名ばかり、理事長兼生徒会長の天王寺天牙(てんが)の下、保健体育教師の井尻亀吉、生徒会副会長の権田原ユカらが暗躍する超極悪犯罪組織だった。天牙は生物化学部部長の灰汁音醤太郎(あくねしょうたろう)に開発させたスーパー納豆を売り出すため、モニカを学園に連れてきたのだった。モニカは不良グループのゲソ子、ギャルカナ、校長の娘・ネエ子とともにNAT48を結成して再デビューを果たすことに。モニカを追って学園に転校してきたムッチの歓迎会が開かれる中、剛鉄は先に潜入していた浅見山サツキとともに学園内を捜索するが、生物化学部の部室から落下し、スーパー納豆の材料となる大豆を育てる裏庭のジャングルにさまよい込む。

劇団☆新感線30周年興行第2弾は3年ぶりのネタもの。


コンセプトは“小六魂”。
大半が40代の大人たちが一所懸命バカバカしいことに取り組む素晴らしさ。
暴走しないようにリモコンで制御される剛鉄がペ・ヨンジュンの物真似をさせられたり、「ありえんて」が口癖の三田リカが「借りぐらしのありえんて」になったり、ジャイアント吉田がスーパー納豆のせいでアバターのように全身青くなったり、大爆笑というのはそれほどなかったが、徹頭徹尾楽しませてくれる。

主演の橋本じゅんさん、客演の池田成志さんが降板して東京公演の一部が休演になるという非常事態を迎えた本作だが、バカバカしいことでもやはり体力的には相当しんどいものなんだろうな。
“2号”として代役を務めたナイロン100℃の三宅弘城さんもよく引き受けたものだと思う。この鋼鉄番長は恐らくは橋本じゅんさんに当て書きされたキャラクターだろうから、プレッシャーも相当なものであったはず。
それを短期間で台詞やら殺陣やらを覚え、劇中映像やポスターの撮影をして舞台に立つのだから、並大抵のことではない。それを可能たらしめたスタッフや他のキャストもすごいが、こういったところで30年やっている劇団の強さが感じられた。
一方、河野まさとさんに池田成志さんの代役は少々荷が重過ぎたか。なるしーだったらもっと面白くやっていただろうなと思うことしきり。

他のキャストでは坂井真紀さんが最高。
格好としては南野陽子さんが演じた二代目スケバン刑事で、インチキ臭い土佐弁で台詞を言うたびに笑いが起きていた。「絶対キレイになってやる」のTBCのCMが流れたり、「年下の旦那とは仲良くやっているか」とネタにされたりもしていたが(ちなみに旦那の鈴木心さんは本作の宣伝写真を担当)、これほどポニーテールとセーラー服が似合う40歳は他にいないだろう。

古田新太さんは東方神起風の歌やマイケル・ジャクソンさん風の踊りなども披露。「ちょっと痩せたと思っていい気になって」と言われていたが、確かに全体的にスラっとしていた。何かあったんだろうか。