ムシラセ『瞬きと閃光』【配信】 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ムシラセ 2022年本公演
『瞬きと閃光』
 
 
2022年11月30日(水)〜12月4日(日)
シアター風姿花伝
 
脚本・演出・写真:保坂萌
舞台監督:西山みのり 舞台美術:袴田長武
照明:保坂美沙(C.A.T) 音響:星知輝
演出助手・アンダースタディ:神近梨子
衣装:渡辺実希 楽曲:Renn Saito
宣伝美術:藤尾勘太郎 スチール撮影:保坂萌
舞台写真:村山恒平
映像収録:川本啓、冨沢淳一
制作:小泉美乃(合同会社soyokaze)
取材協力:雙葉女子高等学校2年生のみなさん、岡崎里桜
 
出演:
工藤さや(もじゃ)
小口ふみか(放送部顧問・黒瀬真那)
辻響平[かわいいコンビニ店員飯田さん](写真部顧問・槙島周平)
輝蕗(写真部・小林未莉)
元水颯香(写真部・岩崎仁胡)
中野亜美(写真部兼放送部・盛田彩加)
土本燈子(写真部兼演劇部・市村亜蓮)
加藤彩(写真部部長・御手洗かの子)
菊池美里(教務主任・八雲美津代)
渡辺実希(彩加と亜蓮の担任・綾目素子)
つかてつお(用務員・伊集院疾風)
土橋銘菓[ダブルキャスト](仁胡の姉・萌胡)
柴奏花[ダブルキャスト](仁胡の姉・麻胡)
松尾太稀(噂の不審者・メガネさん)
 
STORY
最近、うちの学校に「おばけ」がでるらしい。古いカメラをぶらさげて、ふわふわ歩いているって噂だ。そんなオカルト現象、撮っても話題にもならないし興味がない。部員も顧問もやる気がないし、写真部は廃部寸前。このままじゃ私の写真家への夢がどうにもならないよ。つまんないことを気にしている場合じゃないのにさっきから、もじゃもじゃ頭の人が話しかけてくる。その人は、カメラをぶら下げていて、座ってるはずなのに床から2センチくらい浮いている。この目にはハッキリみえているはずなのに、写真にはうつらない。ちょっとまってよ、あんただれ? なんでそこにいるかわかってないおばけと、写真部の女子高生と、職員室の先生たちの、みえるとみえないと、いつかみた夢のお話。【公式サイトより】

舞台写真家としても活躍する保坂萌さんの演劇ユニット・ムシラセの本公演を配信にて。
 
舞台中央、斜めに白い床と白い壁、床には白黒ツートーンの机や椅子。床の両脇に白い縁取りのある黒くて正方形の平台。上手側は階段があり、平台の横にもう1つ台が縦に置かれていて、もじゃが出没する。
 
舞台となるのはミッション系の女子高である双箭学園高等学校の写真部と職員室。
写真家志望の未莉にしか見えない幽霊、通称もじゃがなぜ現れたのかというのが一つの物語の肝となる。もじゃはプロの写真家だったということもあり、未莉は守護霊のように感じるのだが、満を持して応募したコンテストの入賞者に自分の名前はなく、代わりにそれほど写真に熱心ではない仁胡の名前があったことから、「大嫌い!」と口走ってしまう。
実はもじゃにも同じような過去があり、その相手が写真など知らないような素振りをしている黒瀬先生。彼女はやる気のない写真部顧問・槙島先生に思いを寄せているのだが、それはもじゃことひかりのことを思い出すから。謝る機会のないまま事故死してしまったもじゃは、どうすればいいか思い悩む未莉に「簡単だよ。だってあんたはまだ生きてんだから」と助言する。
未莉と仁胡が和解し、もじゃと黒瀬先生が並んで写真を撮るシーンは本作の白眉。劇場で観ていたらマスクびしょびしょだっただろうな。外見に自信がなく、報道アナウンサーになるために大きな賞を欲しがる彩加と恋多き亜蓮との友情の描かれ方もよかった。
努力より勝る才能があるというシビアな現実が顔を見せるのは保坂萌さんの実感も込められているのかな。
 
本作に出演予定だった松尾太稀さんは9月に亡くなったが(詳細は避けるけどググって)、代役は立てずに脚本と演出を変更して演じる予定だった役は残したとのこと。校内で噂となっている眼鏡をかけて、声が大きくて、カメラをぶら下げている男というのがその役なのだろうけど、作品の内容とも相まって姿はなくとも確かにそこにいるというのが感じられた。
 
仁胡の姉役はダブルキャストで、本篇は土橋銘菓さん出演回。こちらは2番目の姉・萌胡(もこ)で地下アイドル系。本篇終了後に柴奏花さん扮する1番上の姉・麻胡の登場シーンが収録されていて、こちらはギャル系。写真部の部室に案内する役割は萌胡の時は綾目先生で、麻胡の時は伊集院になっていた。
 
配信時間2時間10分(本篇1時間57分)。