『さがす』(片山慎三監督) | 新・法水堂

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『さがす』

 

 

2022年日本映画 123分

脚本・監督:片山慎三

共同脚本:小寺和久、高田亮

エグゼクティブプロデューサー:豊島雅郎、仲田桂祐、土川勉

プロデューサー:井手陽子、山野晃、原田耕治

音楽:高位妃楊子

ラインプロデューサー:和田大輔

撮影:池田直矢 録音:秋元大輔

編集:片岡葉寿紀 装飾:松塚隆史

衣裳:百井豊 ヘアメイク:宮本奈々
カラリスト:大西悠斗

音響効果:井上奈津子

キャスティング:田坂公章

スケジュール:山田卓司

助監督:相良健一 制作担当:姫田伸也

音楽プロデューサー:安井輝

宣伝プロデューサー:中島航

 

出演:

佐藤二朗(原田智)

伊東碧(智の娘・原田楓)

清水尋也(名無し/山内照巳)
森田望智(ムクドリ/内藤あおい)
石井正太朗(楓の同級生・花山豊)
松岡依都美(楓の担任・蔵島みどり)

成嶋瞳子(智の妻・原田公子)
品川徹(果林島のみかん農家・馬渕)

松浦祐也(警官・宮森)、北山雅康(スーパーマーケット店長・茂木)、希志真ロイ(建設会社社員・十文字)、Yair Yebra(作業員・アヒーム)、康すおん(生活安全課の刑事・村田)、勝也(みどりの夫・蔵島重之)、鈴木かつき(みどりの息子・蔵島太郎)、篠原結(みどりの娘・蔵島はな)、内田春菊(聖マリアンヌ子供寮・舞鶴)、紅壱子(商店街のおばちゃん)、泉拓磨、西本竜樹(警官)、杉本安生(大家)、和田光沙(理学療法士)、橋本つむぎ(にゃあこ)、Mari Nihei(ホテル従業員)、内藤正記(バイクの男)、黒田大輔(刑事・陣内)、中丸シオン(刑事・木村)、名村辰、平崎里奈、櫻田愛実、伊藤亜美瑠、Breeze、中越恵美、福永信也、野本豪英、萩原真示、木村亜有夢、塩見彩、荻野栞、原恭士郎、中原シホ、田中真奈、八木橋聡美、松永あかり、巴波香陽

 

STORY

大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――。【公式サイトより】


今年1月の公開作をアマプラにて。


『岬の兄妹』が話題を集めた片山慎三監督の作品を観るのは今回が初めて(今日からディズニープラスで配信が始まったドラマ『ガンニバル』も見なくては)だが、これまたいやぁな作品を作る監督が現れたものだ。「いやぁな」というのは一応褒め言葉で、目を背けたくなる、だけど目を向けざるを得ない現実を突きつけてくる作品ということ。


本作は前半はタイトル通り、楓が行方不明都なった父・智を捜す話(なので前半は佐藤二朗さんの出番はほとんどない)。

果林島で事件に巻き込まれたらしき智を探し出したところから、3ヶ月前、その家で起きた事件、更に13ヶ月前、筋萎縮性側索硬化症(ALS)にかかってしまった妻・公子のリハビリをしていた智が山内に出会った経緯がさかのぼって描かれる。

終盤の展開は、智が山内とともに病気で死にたがっていた妻の息の根を止めて以来、失ってしまった本当の自分を捜す行程のようにも見えた。

そしてラスト、卓球のラリーが延々と続く中で交わされる親子のモノローグが何とも言えない感情を湧き起こさせるものだった。


メイン3人のキャストはいずれもよし。清水尋也さんはこういう血の通ってなさそうな役がよく似合う。

松岡依都美さんも出ていたのねーと思いつつ、『恋人たち』の成嶋瞳子さんの存在感も凄まじい。

シスター姿の舞鶴が内田春菊さんだとは気づかなかった。このところ枯れた老人役が多かった品川徹さんが色んな意味でお元気そうでよかった。