G.Garage///『リチャード二世』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

G.Garage/// 第四回本公演
『リチャード二世』
RICHARD Ⅱ


2022年8月11日(木・祝)〜14日(日)
ウエストエンドスタジオ
 
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子 演出・美術・衣装:河内大和
楽曲提供:mama!milk、エミ・エレオノーラ
照明:鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)
音響:古川直幸 演出補佐:小田伸泰
稽古場代役:渡部哲成
舞台監督:株式会社ステージワークURAK
宣伝美術: 魚住和伸 宣伝写真:BUN
制作: LUCKUP
 
出演:
河内大和(リチャード二世)
真以美(王妃イザベル/ノーフォーク公爵トマス・モーブレー)
鈴木彰紀(ハートフォード公爵ヘンリー・ボリングブルック、のちのヘンリー四世)
横井翔二郎(オーマール公爵)
清水寛ニ(ヘンリーの父・ランカスター公爵ジョン・オヴ・ゴーント/庭師1)
長谷川朝晴(オーマール公爵の父・ヨーク公爵)
エミ・エレオノーラ(ヨーク公爵夫人/グロスター公爵夫人/庭師2)
野村龍一[天才劇団バカバッカ](リチャードの家来サー・ジョン・ブッシー/カーライルの司教)
齋藤慎平[劇団AUN](同サー・ウィリアム・バゴット)
松之木天辺(ノーサンバランド伯爵)
風間晋之介(息子ヘンリー・パーシー(ホットスパー))

STORY
リチャード二世の王宮。王の面前に、反目しあう二人の貴族、ノーフォーク公モーブレーとヘンリー・ボリングブルックが召喚される。ボリングブルックは先ごろ暗殺されたグロスター公の死にモーブレーが関与していたと告発するが、モーブレーはこれを否定。王の裁定は後日、決闘によって黒白をつけるというものだった。その当日、いよいよ決闘開始という時に、突如、王は決闘の中止と二人の追放を宣告する。ボリングブルックは六年の追放に処されるのだが、やがて彼の父ジョン・オブ・ゴーントが死去すると、王リチャードはその財産を没収する。この暴挙に加え、それまでのリチャードの治世に不満を高まらせていた貴族たちのもとに、ボリングブルックが失われた名誉の回復を求め、大軍を率いて帰国するとの報が寄せられる。次々とボリングブルックに靡く貴族たち。民衆の支持も得た彼は、籠城した王と対峙すべく兵を進める。ボリングブルックの叔父ヨーク公にとりなされ、対面する二人。ボリングブルックは自身の名誉回復だけを要求するのだが、気圧された王は自ら譲位を宣言してしまう......。【新国立劇場公式サイトより】

G.Garage///(ジーガレージスリースラッシュ)、『リチャード三世』に続いての『リチャード二世』。
 
舞台は長方形で、ランウェイのように出入口から伸びている。舞台の周りには白い小石が敷き詰めてあり、三方を取り囲む形で客席。

前回公演同様、まずは河内さんが登場して当日パンフレットの相関図を見ながらの説明。「父、叔父、叔父、叔母、叔父、叔母」でひと笑い。戯曲は読んだことあるけど(小田島雄志さん訳)、この前説はありがたい。
かいつまんで言えば、本作はプランジネット朝最後の王となったリチャード二世が従弟でもあるボリングブルック(ヘンリー四世)に王位を譲るまでが描かれる。
戯曲を読んだ限りでは後半が冗長に感じていたが、本作はすっきりさせたようで、むしろ二幕の方が面白く感じた。ちなみに原作戯曲ではエクストンという人物がリチャード二世を殺害し、後でヘンリー四世に処刑されるのだが、本作には登場せず、その役割をバゴットが担っていた。
和服をアレンジしたヨーク公爵の衣裳(夫人も帯が和服っぽい)を始めとしたビジュアル面もよく、全体的に手堅くまとまっていたとは思うが、前述したように三方を取り囲む舞台だったため、時折見づらくなったのが残念。

今回もタイトルロールを演じる河内大和さんはもちろん演じ分けてはいるのだけど、どうしてもリチャード三世のイメージがついて回っちゃうのよねぇ。
2015年、蜷川幸雄さん演出版『リチャード二世』にも出演していた鈴木彰紀さんは今回はヘンリー四世に出世。この先、G.Garage///で『ヘンリー四世』二部作を上演する際は続投するのかな?

上演時間2時間36分(一幕1時間30分、休憩12分、二幕54分)。