劇団マカリスター『ヌシのハラ』 | 新・法水堂

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劇団マカリスター第八回公演

『ヌシのハラ』

 

 
2022年6月1日(水)〜5日(日)
駅前劇場
 
作・演出:井上テテ
照明:今西理恵[LEPUS] 音響:筧良太
舞台監督:白石定[ステージワークス] 宣伝美術:中塚健仁
 
出演:
奥山かずさ(トキコ)
長濱慎(社長キタミ)
宮澤翔[劇団マカリスター](トキコの従兄弟マサム)
岩井七世(サムラ)
広山詞葉(スガマ)
中西広和[おなかポンポンショー/ドリル饅頭](副社長トヨ)
白井雅士(ワコヅ)
岩崎康幸(バンジ)
高橋蟹丸(カナヅル)
井上テテ[劇団マカリスター](サワナ)
 
STORY
とあるイベント会社は、突如現れた怪物「ヌシ」のせいで経営ができずに困っている。なにがなんでも自分が担当するイベントを開催させたい女性社員。だが副社長の一言で中止が決定された。女は副社長を会社から追い出すためにとある策を講じる。のだが。【公式サイトより】

井上テテさんと宮澤翔さんによる劇団マカリスターの新作公演。
岩井七世さん目当てで。
 
舞台はイベント会社の社内。デスクと椅子がいくつか。
内装が何だかしょぼいSF映画のようなのは意図的なのか何なのか…。
 
物語は怪物「ヌシ」が現れた後の世界。人が集まれなくなり、イベントは軒並み中止。舞台となるイベント会社も窮地に追い込まれる。これは言うまでもなくCOVID-19のことだが、本作はもう1つ、SNSにおけるセクハラ、パワハラの告発という問題も扱っている。
トキコは花火大会を開催するべく、彼女に中止を言い渡した副社長を追い出すべく同僚社員の提案に乗ってSNSでセクハラ、パワハラ被害を訴える。いくら何でもイベントをしたいがためにここまでするか?(その理由は後で明かされるが、それでも釈然としない)という気もしないではないが、結局、副社長は自殺を遂げ、会社自体も存続の危機に立たされる。
サムラやスガマはトキコの告発が嘘ではないかと問い詰めるが、トキコはずっと被害を受けていたと譲らない。扱っているテーマ自体はよかったが、この主人公が好きになれないままで終わってしまった。
また、社長がトキコのストーカーをしていたことを打ち明けるシーンがギャグのようになっていたが、これを経験者が見たらどう思うかな…といらぬ老婆心も芽生えてしまった。
 
初舞台にして主演を務めた奥山かずささんは、初舞台ながらもちゃんと腹から声が出ていて好感(基本的に声の大きな役者が好きなので。笑)。
 
上演時間1時間43分。