オパンポン創造社『贅沢と幸福』 | 新・法水堂

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オパンポン創造社

『贅沢と幸福』

 

 
【東京公演】
2022年5月27日(金)〜29日(日)
調布市せんがわ劇場
 
脚本・演出:野村有志
音響:浅葉修(Chicks) 照明:根来直義(Top.gear)
舞台監督:西野真梨子 舞台美術:久太郎(Anahaim Factory)
音楽:浜間空洞(小骨座) 舞台写真:木山梨菜(三等フランソワーズ)
宣伝美術:勝山修平(彗星マジック) 特設サイト:三村るな
制作協力:吉本興業 制作:若旦那家康(コトリ会議/ROPEMAN(43))
 
出演:
中川浩六[三等フランソワーズ](長男・ハルキ)
松木賢三[テノヒラサイズ](次男・ソラ)
野村有志(三男・ウラ)
鳩川七海[幻灯劇場](ソラの妻・ミヨコ)
浅雛拓(風俗店オーナー)
高橋映美子(デリヘル嬢ナナ)
伊藤駿九郎[KING&HEAVY / theatre PEOPLE PURPLE](作家志望の男・大川)
 
STORY
父親が亡くなる際、祖父の過去について知らされた3人の兄弟。長男のハルキは次男・ソラが三代目の社長を務める会社を辞め、風俗店の運転手として働き始める。やがて風俗嬢のナナに月3万円ずつ払うことになるが、ナナは祖父が殺した相手の遺族だった。そのことを知った風俗店のオーナーは、ハルキだけではなくソラの妻ミヨコを脅して店で働かせる。一方、画家志望の三男・ウラは父親の遺言に従って、裏庭を掘って骨を見つけようとしていた。

オパンポン創造社約10年ぶりの新作長篇。
 
舞台中央奥に円筒状のスツールが4つ。上手に椅子2脚。
下手にはスクリーンの枠があり、三角形に区切られたスペースが作家志望の大川の部屋となる。デリヘル嬢としてその部屋を訪れたナナは大川相手にハルキの話をして、大川がそれを小説に仕立て上げるという構造。
大川の部屋のシーンになると、他の登場人物は何やらぶつぶつ言いながら歩き回るという演出がなされていて面白かった。また、衣裳は大川以外の人物はすべて白で統一されていて、これは原稿の中の世界(=モノクロ)ということを表しているのだろう。

タイトルにもある「幸福」というのがテーマの一つとなっていて、三兄弟は祖父が創業した会社のお陰で何不自由ない暮らしをしてきたと見える。だが、その幸福が犯罪の上に成り立っているものだとすれば、安穏としてはいられないだろう。
三兄弟が三者三様の反応を示し、風俗店のオーナーが絡んでくることでまた一層ダークな方向へ展開していくあたりは引き込まれた。それにしても文字通り秘密を墓場まで持っていけばいいものを…笑。

キャストは皆さんうまかったが、ミヨコ役の鳩川七海さんは抱いている赤ん坊が本物に見えてくるぐらいよかった(他の人が抱くと一挙に人形感が増す)。

上演時間1時間47分。