《堤幸彦監督映画50作品記念上映会》『自虐の詩』(堤幸彦監督) | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

『自虐の詩』
 
 
2007年日本映画 115分
監督:堤幸彦
原作:業田良家(竹書房刊)
脚本:関えり香、里中静流[植田博樹]
製作総指揮:迫本淳一 企画:細野義朗
エグゼクティブプロデューサー:北川淳一
プロデューサー:植田博樹、石田雄治、中沢晋
音楽:澤野裕之
主題歌:「海原の月」安藤裕子
撮影:唐沢悟 美術:相馬直樹
照明:木村匡博 録音:鴇田満男
装飾:田中宏 編集:伊藤伸行
映像調整:吉岡辰沖 スクリプター:奥平綾子
スタイリスト:市井まゆ 衣裳:冨樫理英
ヘアメイク:細川昌子
助監督:白石達也 制作担当:山崎朝之
アソシエイトプロデューサー:今川朋美
 
出演:
中谷美紀(森田幸江)
阿部寛(葉山イサオ)
西田敏行(森田家康)
遠藤憲一(あさひ屋マスター)
カルーセル麻紀(大家・福本小春)
名取裕子(美和子)
竜雷太(組長)
斉木しげる(小春の夫/訪問販売の男)
アジャ コング(熊本さん)
佐田真由美(森田秋子)
岡珠希(森田幸江(15))、丸岡知恵(熊本ゴンザルベス明美(15))、金児憲史[クレジットなし](船場巡査)、蛭子能収[クレジットなし](新聞販売店主)、島田洋八[クレジットなし](ポン引き)、猪野学(イサオの舎弟・タロー)、辰巳智久(ギンジ)、長町太郎(ヤスシ)、ミスターちん(難波警部)、松尾スズキ(中年男)、Mr.オクレ(喫茶店主)、半海一晃(担任教師)、村杉蝉之介(東京のヤクザ中島)、加々美正史(東京のヤクザ花沢)、信川清順(ソープ嬢ユキエ)、二反田雅澄(先輩警備員)、岩尾万太郎(幸江の客の男1)、市山竜次(幸江の客の男2)、吉永秀平(ゆすりの客)、たいぞう(同)、野口稔(老人客)、小林一英(ヤクザ)、竹匠(組員)、沖原一生(同)、竹嶌厚(同)、出口高司(組長の運転手)、阿部朋矢(イサオにつきとばされる通行人)、伊藤俊(同)、澤江晃史(同)、中村綾那(幸江とイサオの子供)、野原璃乙(幸江(0))、関根淳(オカマのガーベラ)、加藤瑠美(藤沢優子(15))、後藤このみ(女子生徒)、今江冬子(産婦人科医師)、松岡史明(救急病院医師)、加藤直美(救急病院看護士)、気仙沼ちゃん(新聞販売店主の妻)、水谷泰雄(マル暴の刑事)、志田淳(男子生徒)、小野寺優介(同)、高橋啓之(同)、Dante[ダンテ・カーヴァー](熊本さんの夫)、Raina(熊本さんの子供)、Mina(同)、米田大輔(BMXの少年)、川田希美(茶髪の婦警)、業田良家[クレジットなし](あさひ屋の客)
 
STORY
窓から通天閣の見える大阪・飛田の小さなアパートで、幸江は内縁の夫であるイサオと暮らしていた。元ヤクザのイサオはまともに勤めることもなく酒とギャンブルに溺れ、幸江が近所の中華料理屋で働くことで生計を立てていた。無口で気性の荒いイサオは、ことあるごとに部屋のちゃぶ台をひっくりかえす。それでも、ひたすらイサオに尽くす幸江の健気さに、隣の住人である小春は胸を痛めていた。一方、中華料理屋の主人は秘かに幸江に思いを寄せて、プロポーズの機会をうかがっている。そんなある日、幸江の中学時代に逮捕された父親の家康が出所して、幸江のもとに現れる。妻に家出された家康は、キャバレーのホステスを口説いて、その再婚資金を得るために銀行に押し入ったのだった。イサオは、ふたたび暴力団の組員となる誘いを組長から受けていた。と、幸江の妊娠が発覚する。親もヤクザでその血を受け継いだイサオは苦悩のあげく、失踪してしまう。それでもイサオの子供を産もうと、身重な身体で必死に働き続ける幸江。しかし、誤って歩道橋から転落した彼女は救急車で病院へ運ばれた。手術を受け、ベッドで昏睡する幸江は過去の日々を思い出していた。貧乏だった幼い日。父の逮捕後、唯一の友人として励ましてくれた同級生の熊本さん。覚せい剤に溺れて、自分の肉体を売っていた若き日々。そんな頃、チンピラ時代のイサオと知りあった。イサオは、組長に盃を返して小指を詰め、幸江と一緒になった。そして、二人で海に行った幸せな新婚時代…。意識が戻ったとき、幸江の前にはイサオがいた。「三人で、海へ行こう」イサオの言葉に、幸江は涙が止まらなかった。半年後、生まれたばかりの赤ん坊と一緒に、海辺でたたずむ幸江とイサオの姿があった。【「KINENOTE」より】

《堤幸彦監督映画50作品記念上映会》にてフィルム上映。
 
この映画は14年前、試写会にて鑑賞して以来。
元記事にも書いたように原作大ファンである私、今回は上映後に堤幸彦監督、TBSの植田博樹プロデューサー、そして何と原作者の業田良家さんによるトークがあるとのことで、すみだパークシアター倉から新宿のK's Cinemaに駆けつけた次第。
 
今回もパブロフの犬状態で、中学時代の幸江と熊本さんのシーンではことごとく号泣。主演ふたりはもとより、改めて観ると遠藤憲一さんがとてもいい。西田敏行さんはちょいミスキャスト(原作のお父ちゃんとは似ても似つかない)。阿部寛さんがマトリックスな格好をしていたことはすっかり忘れてた。
震災前の気仙沼の風景が収められているのも今となっては貴重ですなぁ。
 
初めて謦咳に接した業田良家さんは物腰柔らかな印象で、本作については原作やキャラクターに対する愛を感じたとのことで、原作を2時間にまとめた労をねぎらっておられた。
堤幸彦監督にとっても里中静流名義で脚本も手がけた植田博樹プロデューサーにとっても思い入れの強い作品で、ターニングポイントになったとも。中谷美紀さんもロケハンに同行するほどの力の入れようで、衣裳も自ら購入していたとか。
また、長年タッグを組んでいる堤監督と植田Pだが、熊本さんのキャスティングをめぐっては初めて揉めたという裏話も。結局、再会シーンを見て号泣していた植田Pに対し、堤監督はドヤ顔だったそう。笑
業田さんが原作を描いたのが26歳から31歳にかけてというのも驚き。ラストはご自身にご長男が生まれたことがきっかけで思いついたとのこと。
最後のマスコミ向けの写真撮影では3人揃って「すしざんまい」ポーズ。どこかちゃんと使ってくれるのかな。