舞台『魔界転生』【配信】 | 新・法水堂

新・法水堂

年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

『魔界転生』

 

 

2021年5月4日(火・祝)~28日(金) ※4日~16日公演中止

明治座

 

原作:山田風太郎(角川文庫版)

脚本:マキノノゾミ 演出:堤幸彦

音楽:ガブリエル・ロベルト

美術:松井るみ 照明:高見和義 音響:井上正弘
衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:川端富生 映像:高橋洋人

フライング:岩上弘数 ステージング:広崎うらん 殺陣:諸鍛冶裕太
舞台監督:小川亘

脚本協力:鈴木哲也 演出助手:松森望宏、諏訪翔平 美術助手:平山正太郎

制作統括・プロデューサー:松村英幹 チーフ・プロデューサー:道坂忠久

エグゼクティブ・プロデューサー:沢桂一

 

出演:

上川隆也(柳生十兵衛)

小池徹平(天草四郎時貞)

松平健(柳生但馬守宗矩)

浅野ゆう子(淀殿)

藤原紀香(四郎の姉・クララお品)

渡辺大(宮本武蔵)

山口馬木也(由比正雪/刀鍛冶・叢雲常陸)

村井良大(真田十勇士・根津甚八)

木村達成(十兵衛の弟・柳生又十郎)

田村心(宗矩の弟子・田宮坊太郎)

岐洲匠(柳生十人衆・小栗丈馬)

宇野結也(柳生十人衆・戸田五太夫/森宗意軒)

財木琢磨(荒木又右衛門)

野添義弘(宝蔵院胤舜)
立石晴香(すず)【休演】
小波津亜廉(柳生十人衆・磯谷千八)
横山一敏(内藤主膳)
真砂京之介(老中・岩浅重成)
大石敦士

金井迪大

川田光太

菅野慶太

岸本康太

小林諒大

佐藤義夫

三本木大輔

高橋邦春

細川晃弘

前川貴紀

宮川連

塚越志保

半澤友美

片岡愛之助(語り)

 

STORY

この世に無念を残し、黄泉の国から転生した天草四郎率いる悪霊集団・魔界衆、幕府の命を受け、悍ましい魔界衆に立ち向かう剣豪・柳生十兵衛を中心とした勇敢な柳生衆、寛永14年(1638年)に起きた「島原の乱」を発端に、両者の血で血を洗う激しい戦いが繰り広げられる。四郎を操るのはいったい誰なのか、十兵衛は魔物を討ち果たせるのか、四郎の姉・お品、怨霊に生まれ変わった淀殿、十兵衛の父・柳生宗矩、さらに「真田十勇士」の生き残りの根津甚八、十兵衛の弟・柳生又十郎、軍学者の由比正雪、二刀流の猛者・宮本武蔵など、多彩な人物が作品を彩り、親子の絆、師弟関係、友情など、様々な人間模様が交錯する。【「衛星劇場」公式サイトより】


映画化もされた山田風太郎さんの代表作を舞台化し、2018年に初演された作品の再演をオンライン配信にて鑑賞。

初演では4時間もあったとか(初演はBS日テレで放送された際に録画して絶賛放置中)。


大の山田風太郎さんファンである私だが、この舞台版は何とはなしに観る気がしなかった。今回、冒頭部分を観て、その直感はある程度、正しかったなと思ったのだけど、一言で言うなら出来の悪い新感線。

上川隆也さんは中川晃教さんとW主演した劇団☆新感線『SHIROH』で天草四郎時貞を演じているから尚更比較してしまうけど、まず映像の使い方がダメ。特に冒頭の島原の乱での背景の映像が何じゃこりゃ?というレベル。

後は細かいネタ。新感線もそういったネタは仕込んでくるが、堤幸彦さんのセンスはもう古くなってしまったんだろうか、一向に笑えなかった(今どき金八先生の物真似とかさぁ)。武蔵が歌舞伎の動きを取り入れているのもまるで効果なし。


とは言え。

マキノノゾミさんによる脚本は悪くない。

原作には出てこない淀殿を魔界衆の一人にくわえ、四郎が豊臣秀頼の息子、つまり淀殿の孫という設定に(実際にそういう説があるそうで) 。

更に原作に出てくるクララお品は四郎の血の繋がらない姉……かと思いきや、実の母。そのことをお品が淀殿に明かすシーンはなかなかよかった。

十兵衛と宗矩による親子対決や十兵衛と四郎、はたまた十兵衛と武蔵の対決等、終盤は見せ場の連続でこのあたりは演出も悪くなかっただけに前半の摑みの悪さがもったいなさすぎた。


キャストでは田宮坊太郎役の田村心さんが目を引いた。いわゆる2.5次元の作品が多いようだけど、幅広く活躍してもらいたいところ。

 

配信時間3時間7分(一幕1時間15分、二幕1時間43分)。