猫のホテル『ピンク』 | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

テーマ:

猫のホテル 30周年記念本公演

『ピンク』



2021年10月6日(水)〜13日(水)
ザ・スズナリ

作・演出:千葉雅子
美術:中村裕幸 照明:斎藤真一郎 音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
音響オペレーター:日影可奈子 衣装:植竹ナツコ 衣装部:和田瑠子
大道具:俳優座劇場 稽古場代役:スガ・オロペサ・チヅル(劇団カムカムミニキーナ)
演出助手:村田千尋 舞台監督:土居歩
舞台写真:引地信彦 舞台収録:原口貴光(帝斗創像)
宣伝美術:犬川ヒロ 宣伝デザイン/宣伝写真:寺部智英
制作協力:鈴木ちなを 制作:大橋さつき

出演:
佐藤真弓(ミツコ)
千葉雅子(カヨ)
尾上寛之(ミツコの同僚/ミツコの義母/ミツコの夫/商工会会長・青井/カヨの生徒・綾)
中村まこと(ミツコの祖母/ミツコの友人/作家の手伝い/不動産屋事務員(ミツコ父の愛人)/学習塾の生徒・翔平/綾の父・梅木)
市川しんぺー(不動産屋事務員/新郎の後輩(二次会司会)/カヨの担当作家/学習塾の生徒/翔平の父・野村/カヨの父・進次郎/ホステス・麗子)
森田ガンツ(ミツコの同僚/植木屋/赤星ゼミ・堀田/飲み屋店主・ひろし)
村上航(ミツコの母/ミツコの友人/ミツコの義姉/内覧の客/学習塾の生徒・勇気/勇気の父・菊村/酔客・海野)
岩本靖輝(開演前アナウンス・声)

STORY
不動産屋の娘・ミツコは小学生の時、大学生の家庭教師・カヨと出会う。ミツコの誕生日に夕食に招かれるカヨだったが、家族とは疎遠だったカヨはどう振る舞っていいか戸惑う。やがて大人になったミツコはカヨより先に結婚。カヨは二次会でも浮かない顔をしていた。ミツコも結婚生活はうまく行かず、出世することを自分には知らせない夫や不妊の原因を自分にだけ押しつけてくる夫の家族に嫌気が差して家を出る。その後、編集者となったカヨと再会したミツコは、2人で学習塾を始める。しかし、経営はうまくいかず、ミツコ目当ての保護者に憐れみをかけられる。ミツコは飲み屋で働くようになり、その2階でカヨは細々と塾を続ける。カヨは生徒の綾が親から虐待を受けているのではないかと勘づく。

猫のホテル30周年記念公演。
それぞれのメンバーの出演舞台は何本も観ているが、劇団公演を観るのは初めて。

舞台は2段に分かれ、下手上段の壁に「ピ」、中央下段の壁に「ン」、上手上段の壁に「ク」の文字。その周りを様々な大きさのレンガが敷き詰められる。可動式の階段が2つあり、シーンに応じて位置が変化。

物語の中心となるのは、家庭教師とその教え子として出会った2人の女性。30周年ということに合わせてか、2人の30年にわたる紆余曲折が描かれていく。
男性キャストが複数役をこなし(女装率高め)、笑えるところも多かった一方で、女性たちが受けてきた暴力や抑圧といったものも浮き彫りにされる。
小学生の頃、ミツコは誕生日としてカヨと父から同じピンクのバッグをプレゼントされる(ただし父の方は愛人関係にあると疑われる事務員が選んだ)。思えばタイトルにも使われているこのピンクという色が、女性はこうあるべきという固定概念を象徴しているようにも感じられた。

佐藤真弓さんは幅広い演技力で小学生からの30年を演じる。村上航さんが噛んだ時にもアドリブでツッコみも入れていた(カーテンコール時も)。

上演時間1時間43分。