シス・カンパニー『友達』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

シス・カンパニー公演

『友達』

 

 

【東京公演】

2021年9月3日(金)~26日(日)

新国立劇場 小劇場

 

作:安部公房 演出・上演台本:加藤拓也

美術:伊藤雅子 照明:服部基 音響:加藤温

ノイズミュージック:谷川正憲(UNCHAIN)、萩谷まきお
衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:宮内宏明 舞台監督:瀬﨑将孝
プロデューサー:北村明子

 

演出助手:木下マカイ 美術助手:佐藤茉奈

照明操作:前田奈都子 音響操作:竹田雄 ヘアメイク助手:門永あかね

演出部:清水将司、古田亜希子、福山雅朗、永井天智

制作:【進行】土井さや佳、市川美紀、鈴木瑛恵、黒沢ひかる

   【票券】笠間美穂、安田千秋 【宣伝】西村聖子

   【WEB】垣ヶ原将、黒沢ひかる 【アシスタントプロデューサー】吉澤尚子

宣伝美術:平田好 イラストレーション:伊波二郎

 

出演:

鈴木浩介(男・K)

浅野和之(祖母)
山崎一(父)
キムラ緑子(母)

林遣都(長男)
岩男海史(次男)
大窪人衛(三男)
富山えり子(長女)
有村架純(次女)
伊原六花(末娘)
西尾まり(婚約者・S)
内藤裕志(弁護士)
長友郁真(警官)
手塚祐介(警官)
鷲尾真知子(管理人)

 

STORY

ある夜、ひとりの男の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。祖母、父母、3人兄弟、3人姉妹から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。何が何だかわからないまま、管理人、警察官、婚約者、弁護士と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに…。「9人家族」の目的は何なのか? どこからが日常で、どこからが非日常なのか? 男を待ち受けるのは、悲劇なのか、はたまた救済なのか?【公式サイトより】


安部公房さんの戯曲を劇団た組の加藤拓也さんが演出。

 

舞台の床面にはドア。

開幕すると、そのドアをノックする音。男が開けると家族たちがぞろぞろと入ってくる。

この舞台装置からして不条理そのもの。

総勢9人の家族はいわば数の暴力とでも言うべき存在。近年、選挙で勝てば何をしてもいいと言わんばかりの民主主義を履き違えた人たちの妄言をよく目にするが、この謎の家族も数の多さを楯にして、男の日常を脅かしていく。

かつて別役実さんは安部公房さんの批判をしたそうだけど、同じ不条理であっても別役さんのはカラっとした笑いに満ちているのに対し、本作は底知れぬ恐怖を感じさせるものとなっていた(どの程度、加藤拓也さんが手を入れているかは不明だけど)。

 

キャストは芸達者な俳優陣が集まって言うことなし。

シス・カンパニーが偉いのは有村架純さんとか林遣都さんとか人気俳優を目立たせるようなチラシも作らず、クレジット順も戯曲に沿ったものになっている点。

ほんの少しの出番しかない役に西尾まりさんや鷲尾真知子さんを配しているのも贅沢。

 

上演時間1時間28分。