NODA・MAP『フェイクスピア』東京公演千穐楽 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

NODA・MAP 第24回公演

『フェイクスピア』

 

 
【東京公演】
2021年5月24日(月)〜7月11日(日)
東京芸術劇場プレイハウス
 
作・演出:野田秀樹
美術:堀尾幸男 照明:服部基 衣裳:ひびのこづえ
音楽・効果:原摩利彦 音響:藤本純子 振付:井手茂太
ヘアメイク:赤松絵利 舞台監督:瀬﨑将孝 プロデューサー:鈴木弘之
 
出演:
高橋一生(mono)
橋爪功(楽(たの))
白石加代子(イタコ見習い・皆来アタイ)
川平慈英(神の使い・アブラハム)
伊原剛志(同・三日坊主)
前田敦子(星の王子様/伝説のイタコ/白い烏)
村岡希美(オタコ姐さん/烏女王)
野田秀樹(シェイクスピア/その息子・フェイクスピア)
 
アンサンブル:
石川詩織
岩崎MARK雄大
浦彩恵子
上村聡
川原田樹
白倉裕二
末冨真由
谷村実紀
手打隆盛
花島令
間瀬奈都美
松本誠
的場祐太
水口早香
茂手木桜子
吉田朋弘
 
STORY
恐山でイタコの見習いを50年続けている皆来アタイのもとに、小さな箱を抱えたmonoとアタイの同級生・楽(たの)がやってくる。ダブルブッキングをしてしまった2人の依頼を聞くはずが、シェイクスピアの四大悲劇を演じ始めるmonoと楽。イタコへの昇進試験を控えた皆来にも、シェイクスピアとその息子フェイクスピアや星の王子様の霊が乗り移る。更に神の使いであるアブラハムと三日坊主がmonoが抱える箱を奪おうと追いかけてくる。

NODA・MAP(野田地図)の新作公演、2回目の鑑賞。
先般発表された読売演劇大賞上半期ベスト5では作品賞、主演男優賞、演出家賞、スタッフ賞(ひびのこずえさんによる衣裳)に選出。
 
6月3日に鑑賞し、どうしてももう1度観たくなり、東京公演千穐楽に当日券の行列へ。
受付開始3時間前に到着した時点で約50人が並んでいたが、2階の立ち見席を何とか確保。
 
2回目だし、《新潮》7月号掲載の戯曲も読んでいるし、2階だから見切れるシーンも多いし…ということもあって前回よりは冷静に鑑賞できるかなと思っていたけれど、終盤の高橋一生さん&橋爪功さん親子のシーンでやはりボロ泣き。橋爪さん、子供の演技に磨きがかかっていて、80歳になる大ベテランが日々進化しているって凄いなと感嘆。
 
本作は実際の事故を題材としていて、いわば嘘から出たまことならぬまことから出た嘘。
ボイスレコーダーに残っていた「顔を上げろ」という言葉が別の意味合いを持って胸に響く。
戯曲では時代設定が2051年になっていて、「永遠プラス66年前」というフレーズが出てくるのだが、上演では「永遠プラス36年」となっている。それはとりもなおさず、野田さんがこの物語を2021年の物語として上演したかったからであろう。
フェイクでも心をシェイクさせられる。そのことを改めて証明してみせた。
大阪公演も無事に上演されますように。
 
上演時間2時間5分。