ミュージカル『ウェイトレス』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ミュージカル『ウェイトレス』

WAITRESS

 

 

【東京公演】

2021年3月9日(火)~30日(火)

日生劇場

 

脚本:ジェシー・ネルソン

音楽・歌詞:サラ・バレリス

原作映画製作:エイドリアン・シェリー

オリジナルブロードウェイ振付:ロリン・ラッターロ
オリジナルブロードウェイ演出:ダイアン・パウルス
共同制作:バリー&フラン・ワイズラー

演出補:アレックス・ヒューズ
音楽スーパーバイザー:ライアン・キャントウェル  振付補:アビー・オブライエン
翻訳・訳詞:高橋知伽江 日本版演出補:上田一豪
音楽監督補・歌唱指導:鎮守めぐみ

照明補:岡﨑亘 音響補:山本浩一

衣裳補:大戸美貴 ヘアメイク補:川端恵理子
ピアノコンダクター:太田裕子

演出家通訳:鈴木なお
音楽スーパーバイザー通訳:小川スーザン

振付家通訳:濱口真衣
演出助手:西祐子 振付助手:藤咲みどり

舞台監督:菅田幸夫、山本圭太
プロダクションマネージャー:田中孝昭

アシスタントプロダクションマネージャー:前田典彦  制作:清水光砂  

プロデューサー:増永多麻恵(東宝)、飯田聖子、池田拓也(フジテレビジョン)、川池聡子(キョードー東京)

 

出演:

高畑充希(ジェナ・ハンターソン)

宮野真守(ジム・ポマター医師)

宮澤エマ(ウェイトレス・ドーン)

浦嶋りんこ[Wキャスト・LiLiCo](同・ベッキー)

渡辺大輔(ジェナの夫アール・ハンターソン)

おばたのお兄さん(オギー)

勝矢(店長カル)

佐藤正宏(オーナー・ジョー)

黒沼亮(アンサンブル)
田中真由(同)
茶谷健太(同)
中野太一(同)
藤森蓮華(同)
麦嶋真帆(同)
渡辺七海(同)
藤咲みどり(スウィング)

金子莉彩/御園紬/望月彩生(ジェナの娘ルル)

 

STORY

アメリカ南部の田舎町。そこにとびきりのパイを出すと評判のレストランがある。ウェイトレスのジェナはダメ男の夫・アールの束縛で辛い生活から現実逃避するかのように、自分の頭にひらめくパイを作り続ける。そんなある日、アールの子を妊娠していることに気付く。訪れた産婦人科の若いポマター医師に、「妊娠は嬉しくないけど産む」と正直に身の上を打ち明ける。ジェナのウェイトレス仲間も、それぞれ自分のことで悩む日々。ドーンは、オタクの自分を受け入れてくれる男性がこの世にいるのかと恋愛に臆病だが、出会いを求め投稿したプロフィール欄にオギーからメッセージが届き困惑する。また、姉御肌のベッキーは、料理人のカルと毎日のように言い争っている。ベッキーは病気の夫の看病と仕事を両立しているのだった。ある日、店のオーナーのジョーが、ジェナに「全国パイづくりコンテストに出場し、賞金を稼いだらどうか?」と提案する。その言葉をきっかけに、ジェナは優勝して賞金を獲得できたら、アールと別れようと強く決心する。診察を受け、身の上話を語るうちに、ポマター医師に惹かれはじめるジェナ。ポマター医師もまた、ジェナへの想いを抑えられず、二人はお互いが既婚者と知りながら、一線を越えてしまうのだった。そして、ジェナの出産の日は、刻一刻と近づいていく……。【公式サイトより】


2007年製作のアメリカ映画『ウェイトレス おいしい人生のつくりかた』をベースにしたブロードウェイ・ミュージカルの日本語版。オリジナルのクリエイティブ・チームがリモートを交えて制作にあたったとのことで、これも時代やねぇ。

 

開演前の幕には一面にパイ。

スマホの電源を切るようにという内容の歌詞を含んだオープニングの後、幕が上がると上手上空に「JOE'S PIE DINER」の看板。その下にバンドメンバーが控え、テーブルと椅子がいくつか。下手に厨房とカウンター、スツール。背景幕には青空。

基本的には店だが、場面によって診察室、分娩室、ジョナとアールの家などになる。

 

ヒロインのジョナはダメ夫・アールとの生活にうんざりしつつも、酔った勢いで望まない妊娠。妻のいるポマタ―医師ともダメよダメよといいながらも、関係を続けてしまう。

ジョナとポマター医師、ドーンとオギー、ベッキーとカルと3組のカップルの恋愛模様がコミカルに描かれる中、やはり重要な要素となってくるのがジョナの出産。色々な悩み事をすべて吹き飛ばすかのようなエネルギーが噴出し、ジョナはアールに離婚を切り出す。

映画版の記事にも書いた通り、本作はエイドリアン・シェリー監督が妊娠中に書き上げた作品ということだが、一つの新たな命をこの世にもたらす女性の力強さが感じられる(その後の監督に起きた悲劇を思えば尚更)。

 

ところで本作の舞台はアメリカ南部となっていて特定の地名は出てこないけど、日本語版はケンタッキー州ということにしておけばいいんじゃないか。笑

 

高畑充希さんのミュージカルは『わたしは真悟』以来。

終盤、ジョナが"She Used to Be Mine"を歌い上げるにつれて段々と空が開いていくシーンは圧巻。昨年、中止となってしまった『ミス・サイゴン』を是非いつか上演してもらいたい。

他のキャストでは、お笑い担当となっていたオギー役のおばたのお兄さんが目立っていた。

 

上演時間2時間45分(一幕1時間15分、休憩25分、二幕1時間5分)。