十二月大歌舞伎
【第三部】『傾城反魂香(けいせいはんこんごう) 土佐将監閑居の場』
2020年12月1日(火)~26日(土)
歌舞伎座
作:近松門左衛門
浄瑠璃:竹本樹太夫、竹本谷太夫
三味線:鶴澤卯太吉、豊澤勝二郎、鶴澤薫
出演:
中村勘九郎(浮世又平後に土佐又平光起)
市川猿之助(又平女房・おとく)
片岡市蔵(土佐将監光信)
中村梅花(将監北の方)
市川團子(狩野雅楽之助)
中村鶴松(土佐修理之助)
中村勘之丞(百姓・庄右衛門)
中村いてう(同・鎌作)
市川澤五郎(百姓)
市川郁治郎(同)
中村仲助(同)
市川喜楽(同)
STORY
京都山科に隠棲している絵師・土佐将監。そこへ虎狩りをしているという百姓たちが現れる。将監の弟子・修理之助は日本に虎などいるわけがないと訝しむが、将監は竹藪から現れた虎を見て、これは狩野元信が描いた虎で、絵に魂が入って抜け出たものだと告げる。そこで修理之助は自らの筆で虎を消し、その手柄が認められて土佐光澄の名と印可の筆を与えられる。そこへ大津の外れで大津絵を描いている浮世又平とその女房おとくがやってくる。修理之助の話を聞いたおとくは、吃音の又平に代わって夫にも名字を与えて欲しいと願い出るが、何の功もない又平に名字は与えられないと断られる。そこへ元信の弟子・雅楽之助が銀杏の前の危機を告げる。又平は救出を申し出るが、将監に拒絶される。絶望した又平は自害を決意し、手水鉢に自画像を描き始める。すると、自画像が手水鉢の表に現れる奇瑞を見せる。それを見た将監は又平に土佐又平光起を名乗ることを許し、裃を与えて銀杏の前の救出を命じる。
弟・七之助さん主演の第二部に続いて兄・勘九郎さん主演の第三部。
近松門左衛門の浄瑠璃が元となった作品で、全三段構成のうち、現在は「土佐将監閑居の場」がもっぱら上演される。第二部とは打って変わって真面目な作品。笑
又平とおとくの夫婦愛を描いた本作、勘九郎さんと猿之助さんは12年前にも同役で共演。
虎が絵から出てきたり消えたり、手水鉢に描いた自画像が水を通り抜けて表に現れたりと若干マジックリアリズムめいたところがあるのも面白いところ。それだけ絵師という存在も高く見られていたということだろうな。
勘九郎さんはなんせ吃音の役なので台詞が少なく、その点は若干物足りなさも。
最後、おとくの鼓に合わせて踊る大頭の舞は決まっていたけど。
失敗だったのは三階席の西の席を選んだところ、花道がまったく見えなかった点。
少しぐらいは見えるかと思っていたのだけど(買うときに教えて欲しかった…)。
上演時間1時間13分。