『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』
 

 

1980年日本映画 97分

原作・脚本・監督:山田洋次  脚本:朝間義隆

製作:島津清  製作補:佐生哲雄  企画:高島幸夫、小林俊一
撮影:高羽哲夫  美術:出川三男  音楽:山本直純
録音:鈴木功  調音:松本隆司  照明:青木好文  編集:石井巖

スチール:長谷川宗平  監督助手:五十嵐敬司

装置:小島勝男  装飾:町田武  進行:玉生久宗  製作主任:峰順一

主題歌:「男はつらいよ」 作詞:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清

 

出演:渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら/おさく)、伊藤蘭(水島すみれ)、下條正巳(車竜造)、三崎千恵子[三﨑千恵子](車つね)、前田吟(諏訪博/博吉)、笠智衆(御前様)、松村達雄(林先生)、太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎/タコ兵衛)、中村はやと(諏訪満男)、佐藤蛾次郎(源吉)、吉田義夫(代官)、米倉斉加年(青山巡査)、村田雄浩(菊地貞男)、園佳也子(すみれの母・豊子)、関敬六(ポンシュウ)、梅津栄(中年の生徒)、あき竹城(スルメ工場の女性)、杉山とく子(国勢調査の女性)、林家珍平(諏訪家の隣の主人)、伊藤敏孝(若い先生)、津嘉山正種(ボクサー)、久世龍之介(トレーナー)、小野泰次郎(テキ屋・越中)、高野浩之(生徒)、光石研(同・吉田)、笠井一彦(印刷工・中村)、羽生昭彦(印刷工)、木村賢治(同)、篠原靖夫(テキ屋・誠)、遠藤正登、加島潤(夢の村民/セブンイレブン店長)、高木信夫(江戸屋)、田中美佐(生徒)、酒井栄子、谷よしの(夢の村民/ホテル奥尻の仲居/ご近所)、秩父晴子(夢の村民)、後藤泰子(夢の村民/ご近所)


STORY

北海道は江差の町、寒風が吹きつける中で、寅は顔なじみのテキ屋仲間とバイをしている。その時、寅は仲間から常連の常が病死したことを知らされる。遊び人の末路にたとえようのない索漠さを感じた寅は、墓参りに常の故郷、奥尻島へ渡った。そこで、スルメ工場で働く常の一人娘すみれと会った。寂しそうなその娘は、東京へ出て働きながら勉強したいと言う。心配性でめんどう見のいい寅は放っておけない。数日後、若い娘を連れて現われた寅に“とらや”の一同はビックリ。そして、寅の熱心な説得で、さくらをはじめ、皆がすみれを手助けすることになった。社長の口ききで近所のセブンイレブンに勤め口が決まった。そして、定時制高校の試験も見事に突破する。一方、寅も試験のときから、すみれと一緒に学校へ通い、忙しそうだ。充実した暮らしに、すみれはだんだん明るくなっていく。ところがある日、すみれは夜になっても帰ってこなかった。寅はイライラ、とらやの連中はあっちこっちに電話をした。朝になってすみれは帰って来た。すみれには貞男という大工をしている恋人がいたがある事情で行き違いになっていた。その貞男がすみれを迎えに北海道からやって来たのだ。二人は結婚すると言う。すみれの告白に寅はムッとする。「世間知らずの若い娘がこれから先うまくやっていけるのか……」と旅仕度をする寅。そんな寅に「お兄ちゃん、あの娘をみんなで信じてあげましょう。間違いないわ」とさくらがやさしく言った。そして、店を出て行こうとする寅にすみれが大声で叫んだ「寅さん、怒らないで、お願い」すみれは寅の胸にしがみつくと大粒の涙をこぼしていた。「幸せにならなかったら承知しねえぞ」と寅はやさしくすみれに言うと、とらやを後にするのだった。【「KINENOTE」より】


シリーズ第26作。

 

冒頭、ちょっとタイムリーなことに国勢調査の女性がやってくるのだけど、たまたま帰ってきた寅さんはなぜか警戒。とことん警察とか国とか権威的なものが嫌いなのね。笑

さくらたちが家を買ったと聞き、早速観に行く寅さん。源ちゃんにお金を借りて、博とさくらに祝儀を渡すもその額が2万円でびっくり。博はこんな大金は受け取れないと言い、社長の提案で5千円を受け取ることにするも、寅さんはこれに大激怒。

喧嘩をして再び旅に出て行くのはいつもの通りだけど、今回は珍しく寅さんには何の非もないというパターン。笑

 

マドンナは元キャンディーズの伊藤蘭さん。ただひたすらに可愛い。

同時上映は田中好子さん出演の『土佐の一本釣り』だったとか。

すみれは上京し、働きながら学ぶことに。その勤め先がセブンイレブンなのだけど、当時はコンビニエンスストアという言葉は浸透しておらず、“スーパー”となっていた。あと、レジ袋が紙袋というのも時代ですなぁ。

 

定時制高校の先生に2代目おいちゃんこと松村達雄さんがまたまた登場。先生がトイレ掃除をする人が書いた詩を紹介するあたりは『学校』シリーズの原型とも言える。前作に続いて出演の光石研さんは伊藤蘭さんの隣に座り、ちゃんと台詞もあり。笑

最後に寅さんが定時制高校に願書を出していたことが分かるあたりもちょっとホロリ。中学校を中退している寅さんは残念ながら入学の資格はないということなのだけど、やはり学歴にもコンプレックスがあるのよなぁ。

 

ところで、タコ社長がすみれのことを「色気がある」と評して、おばちゃんたちに「あの色気は女には分からない」と言うのだけど、この台詞って前にも言ってなかったっけ。