MTCproject オンライン一人芝居『わたし』発達障害女子の当事者演劇 | 新・法水堂

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オンライン一人芝居『わたし』
発達障害女子の当事者演劇
 
 
2020年7月18日(土)・19日(日)
 
作・演出:増田雄(MTCproject)
脚色・出演:関根淳子(SPAC)
振付:相良ゆみ
 
STORY
人付き合いが苦手でひきこもりがちなフリーターのわたし。ノックに応じてドアを開けてみると、そこには自分にそっくりな女の人が立っていた。「私はあなたです。あなたの有効期限が切れたので更新に来ました」というもう一人のわたしの言うことをいぶかしみつつも、「マニュアルがあれば世の中に馴染める」という言葉に徐々に心を開き始める。

《THEATER E9 Air》オープニングプログラム参加作品。
元々は作・演出の増田雄さん自身が2016年に初演した一人芝居『私』を女子Ver.として上演。
 
京都の劇場の主催ではあるが、増田さんは大阪、関根さんは静岡在住でリモートで稽古。
収録は静岡のあそviva!劇場で行われたとのこと。
 
発達障害をテーマに当事者である女優が一人芝居をする、となると教科書的なものを想像する人も多いかも知れないが、本作ではそういった発達障害がどういうもので…といった説明は一切ない。むしろ本作は自分は何者であるかという根源的な問いかけを有するものとなっていて、「わたし」が更新され、マニュアルのお陰で生きやすくなったとしても、果たしてそれが本当に「わたし」にとって幸せなことなのかといったあたりは、誰にでも当てはめて考えることができるものだと思う。
 
終演後、増田雄さんと関根淳子さんによるアフタートーク。
増田さんはADHD傾向、関根さんはアスペルガー傾向のある発達障害だそうで、関根さんは知能指数がある分野では140あるのに対し、弱い分野では80ほどなんだとか(ちなみに関根さんは東京大学出身)。
また、今回のバージョンは筋自体はほとんど変えていないが、後半の人魚姫のモチーフは関根さんが創作したものだとのこと。
 
上演時間48分。