『雲の上団五郎一座』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『雲の上団五郎一座』

 

 

1962年日本映画 84分

監督:青柳信夫

原作:菊田一夫  脚本:長瀬喜伴、新井一

製作:杉原貞雄、山本紫朗
音楽:松井八郎  和楽:望月太明蔵  撮影:鈴木斌  美術:北辰雄  

録音:中川浩一  照明:西川鶴三  編集:庵原周一
チーフ助監督:高野昭二  製作担当者:沖原俊哉  監督助手:松森健

舞台考証:伊藤春朗  振付:松原貞夫  スチール:中山章

 

出演:フランキー堺(酒井英吉)、三木のり平(仁木のり蔵)、八波むと志(輪八太蔵)、水谷良重[二代目水谷八重子](万はるみ)、榎本健一(雲の上団五郎)、アチャコ[花菱アチャコ](万善五郎)、藤木悠(親分辰五郎)、高島忠夫(柳川社長)、清川虹子(女房おしま)、北川町子(妾お柳)、筑波久子(浅山道子)、森川信(村井武雄)、由利徹(矢利通)、佐山俊二(須山新二)、南利明(三上俊夫)、藤田まこと(医師)、茶川一郎、沢村いき雄(松本菊之丞)、内田朝雄(広田課長)、深山しのぶ、水代玉藻、早崎文司(尾上市太郎)、和気成一(守山音弥)、丘寵児(勝見竜之助)、長谷川みのる、真百一平、森金太、渋谷辰夫、双葉京子、古川保夫(花村六郎)、柴田房夫、藤井重俊、宇野美子、長谷川拡子、山本稔、牧野児朗、坂下道夫、松原貞夫、森明子(女優花枝)

 

STORY

ドサ廻りの雲の上団五郎一座の座長、団五郎は、大劇場で華々しく公演するのを夢みている男だが、現実はなかなか厳しく相変らずのドサ廻りを続けていた。祭礼で賑うある田舎街。さっそく一座は小屋を掛けたが、座員は座長をはじめ女形ののり蔵、太蔵、竜之助、武雄、菊之丞など少人数なため一人一人が三役も四役もこなさなければならずてんやわんや。出し物はのり蔵の「娘道成寺」と「母恋笠」。この芝居を見に来た土地の親分の妾お柳は、すっかりのり蔵に熱を上げた。二人は蓬びきの約束までした。それを知った親分はカンカン。一座は親分の怒りをかって荷物と共に放り出された。芋ばかりかじりながら一座はようやく四国へたどりついた。途中一同は酒井英吉という青年に声をかけられた。とうとうと演劇論をまくし立てる酒井も実は胃の中がカラッポ。酒井が四国の人間であることから、わらをもつかむ気持で、団五郎は彼に四国の万興行に一座の売込みを頼んだ。英吉は、「東京大歌舞伎・雲の上団五郎一座」の売り込みに成功、英吉は一座のために一大悲劇「ラブミー牧場」を書きおろした。だが、悲劇も団五郎一座にかかってはたちまち喜劇に早替り。おまけに国定忠治のセリフまで出てくるとあって万善五郎は気を失った。ところが意外なことに小屋の前は連日長蛇の列。今日は京阪神興行の社長が見物に来るという日、一座の珍芸珍演に観客は大よろこび、いよいよ大阪の大劇場の出演が決った。ついに望みがかなってはりきる団五郎一座、真面目に演技をしているつもりの役者たちだが、トンマな珍芸に場内には爆笑がいつまでも続くのだった。【「KINENOTE」より】


引き続き《にっぽん喜劇の底力》@神保町シアター上映作品。

 

『雲の上団五郎一座』の存在を知ったのは、筒井康隆さんや井上ひさしさん、別役実さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん、いとうせいこうさんらが立ち上げた“空飛ぶ雲の上団五郎一座”がきっかけ。

ようやく本家本元を観ることができたが、まず驚いたのがカラー映画だという点。笑

エノケン、アチャコ……といった顔ぶれから、てっきりモノクロだと思っていた。

 

それはともかく、そのお二人以外にフランキー堺さん、三木のり平さん、元脱線トリオの由利徹さん&南利明さん&八波むと志さん、八波むと志さんとコンビを組んでいた佐山俊二さん、森川信さん(おいちゃん!)、藤田まことさんとこれでもかと言わんばかりの喜劇役者オールスターズ。

当然のことながら、こうした人たちの生の舞台は観たことがないものの、本作での劇中劇はそのエッセンスをわずかなりとも伝えてくれているように感じた。ストーリー自体はどうでもいいものだが(菊田一夫先生、ごめんなさい)、それだけでも一見の価値がある作品であった。

 

キャストでは前半、やたら目立っていたお柳役の北川町子さんが目を瞠るような美しさだったけど、児玉清さんとご結婚して引退された方なのね。