コンプリシテ『エンカウンター』 | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

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コンプリシテ『エンカウンター』

Complicité: THE ENCOUNTER

 

 

2016年3月 バービカン劇場 2時間14分

演出・出演:サイモン・マクバーニー

共同演出:カースティ・ハウズリー

原案:ペトゥル・ポペスク  Amazon Beaming

デザイン:マイケル・レヴァイン  音響:ギャレス・フライ、ピート・マルキン

照明:ポール・アンダーソン  映像:ウィル・デューク

演出補:ジェマ・ジェイムズ  製作:ジュディス・ディマント

映像版監督:ウィル・ハンク

 

声の出演:ロミオ・コリセパ・ドレヴ(ハラクンブト族/バーナクルの声)、クローディア・ハモンド、デイヴィッド・ファーマー(海洋学者)、クリス・フリス、ジョージ・マーシャル(気候変動専門家)、ノーマ・マクバーニー(サイモンの娘)、イアイン・マクギルクリスト(精神科医・哲学者)、ペトゥル・ポペスク(原案)、アイリス・フリードマン(作家/ペトゥルの妻)、スティーヴン・ローズ(生物学者)、マーカス・デュ・ソートイ(数学者)、レベッカ・スプーナー(活動家)、ジェス・ワース(作家・活動家)、ニクシワカ・ヤワナワ(ヤワナワ族/マヨルナ族の声)

 

STORY

1969年、『ナショナル・ジオグラフィック』の写真家ローレン・マッキンタイアは、アマゾンに住む未開の民族マヨルナ族を取材するため、ジャヴァリ川付近にやってくる。レッドチークと名づけたマヨルナ族の後について行くと村落があり、ローレンはそこで首長バーナクル(フジツボ)と出遭う。


日本でも『春琴』などの演出で知られるサイモン・マクバーニーさんの一人芝居。

 

今回の無料配信の際、「ヘッドフォンを忘れずに」と注意書きがしてあったが、本作では音が重要な役割を果たす。

冒頭、開場時にアナウンスが流れ、ヘッドフォンを正しく装着しているかが確認される。そんな中、一番手前に座っている人物がこちらを向き、話し始めるのだが、それがサイモン・マクバーニーさん。実はこれ、4年前の映像に現在の自分を合成しており、スクリーンをめくると自宅の風景に。

そこに本篇でも声の出演をしている娘ノーマちゃんが出てきてお父さんに話しかけるのだが、そこにもう一人のサイモン・マクバーニーさんもやってきて…とやけに凝った前振り。笑

 

そこからカメラがスクリーンに寄っていくと、前説をしているサイモン・マクバーニーさん。

舞台上には机と椅子、2本のマイク、ペットボトル、段ボールなど。センターには人の頭の形をした特殊なマイクが置いてあり、立体的に音が聴こえるようになっている。

机の上に置かれた2本のマイクのうち、1本はサイモンさん自身の声、もう1本は低めの声が出るようになっていて、本作の主人公ローレン・マッキンタイアの声となる。更に、センターのマイクを使ってお遊び(右の耳の後ろから息を吹きかけたりとか)。

 

そこからいよいよ本題となっていくわけだが、本作の内容は上述のローレン・マッキンタイアという写真家がアマゾンの奥地でマヨルナ族と遭遇した体験を基にしたペトゥル・ポペスクさんの著書Amazon Beamingにインスパイアされたもので、実話ベース。

観客はヘッドフォンを通して、自分もアマゾンの奥地にいるかのような気分になれる。これが劇場にいる人たちだけでなく、自分の家にいながらにして味わえてしまうのだからすごい。

この2ヶ月ほど様々な配信を観てきたけど、とりわけ印象に残る1本となりそう。