DULL-COLORED POP vol.20
福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』
【東京公演】
2019年8月8日(木)~11日(日)・23日(金)~28日(水)
東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)
美術:土岐研一 照明:松本大介
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound) 衣裳:友好まり子
舞台監督:竹井祐樹(StageDoctor Co.Ltd.)
演出助手:美波利奈 演出部:澤田万里子
方言指導:大原研二 宣伝美術:ウザワリカ
出演:
岸田研二(町長・穂積忠)
百花亜希[DULL-COLORED POP](飼い犬・穂積モモ)
木下祐子(忠の妻・穂積美弥)
宮地洸成[DULL-COLORED POP/マチルダアパルトマン](息子・穂積久)
椎名一浩(忠の娘婿・徳田秀一)
古河耕史(自民党議員秘書・吉岡要)
藤川修二[青☆組](社会党県議・丸富貞二)
福島第一原発が建設・稼働し、15年が経過した1985年の双葉町。公金の不正支出が問題となり、20年以上に渡って町長を務めてきた田中が電撃辞任した。かつて原発反対派のリーダーとして活動したために議席を失った<穂積 忠>(孝の弟)は、政界から引退しひっそりと暮らしていたが、ある晩、彼の下に2人の男が現れ、説得を始める。「町長選挙に出馬してくれないか、ただし『原発賛成派』として……」。そして1986年、チェルノブイリでは人類未曾有の原発事故が起きようとしていた。 【公式サイトより】
《福島三部作》第二部の舞台は1985年~1986年。
この年号とくればそう、阪神タイガース優勝!
ってちがーう。チェルノブイリ原発事故。
当時はソ連のウクライナで人類史上例を見ないような事故が起きたにも拘わらず、「日本の原発は安全です」と胸を張る政治家や電力会社。その理由は「日本人は真面目で几帳面だからヒューマンエラーは起こさない」。日本の原発の安全神話が作られていく過程は下手な怪談より遥かに怖い。
RCサクセションの「サマータイム・ブルース」が客入れ時から流れ、劇中でも替え歌として歌われていたけど、清志郎さんがどれだけ凄かったか多くの人に知ってもらいたい。
第一部に続いて第二部も議論のシーンが多かったけど、退屈させずに見せるのがうまい。ハイデガーまで持ち出してくるとは。ただ、台詞のトチりが伝染したようなところがあって、全体的にテンポや間が悪くなってしまったのが残念。
町長にと担がれて自らの主張を押し通すことができない穂積忠を演じた岸田研二さんは、どことなく岡田将生さんを彷彿。
そんな忠を詭弁を弄して説得する吉岡役の古河耕史さんは、第一部での佐伯同様、目先の利益のことばかりを考えて結果的にこの国に大きな損失を与えることになる人物。パンフには悪魔的とあったが、爬虫類的でもあった。
百花亜希さんは穂積モモという役名だから忠の妻か娘かなと思っていたら、まさかの飼い犬。しかも踊る犬。笑
冒頭で死んでしまい、高いところから人間界を見ているわけだけど、「死んだ人の声が聞こえる?」というのは第三部にも繋がる重要な台詞だな…。
上演時間は約1時間48分。
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