ミュージカル『モーツァルト!』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

東宝製作
ミュージカル 『モーツァルト!』


2005年10月5日(水)〜30日(日)
中日劇場

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞:小池修一郎
出演:
井上芳雄(ヴォルフガング・モーツァルト)
高橋由美子(モーツァルトの姉・ナンネール)
大塚ちひろ(モーツァルトの妻・コンスタンツェ)
一路真輝(ヴァルトシュテッテン男爵夫人)
山口祐一郎(コロレド大司教)
市村正親(モーツァルトの父・レオポルト)
阿知波悟美(コンスタンツェの母・セシリア)
花王おさむ(コロレドの部下・アルコ伯爵)
吉野圭吾(エマヌエル・シカネーダー)
高橋愛子(アマデ)
アンサンブル:池田紳一、大谷美智浩、小原和彦、KENTARO、篠原功生、島田邦人、砂川直人、武内耕、谷口浩久、俵和也、中山昇、縄田晋、野沢聡、松澤重雄、森田浩平、秋園美緒、池谷京子、石田佳名子、今宮多力香、碓氷マキ、河合篤子、北林優香、建畠慶子、徳垣友子、長谷川美穂、Belle、やまぐちあきこ

『モーツァルト!』といえば中川晃教中川晃教といえば『モーツァルト!』というぐらいで(ホンマかいな)、本当は中川モーツァルトを観たかったのだが、中川晃教くんは『SHIROH』を観てるし、井上芳雄さんも一度は観ておくべぇということで今回の観劇。

タイトル通り、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯を描いたミュージカル。
3年前、東京・大阪で上演され、名古屋は今回が初めて。
青年となったヴォルフガングの傍らには常に神童アマデが付き添い、二人一役の形式をとる。神童としてのイメージを押し付けられながら苦悩する天才の姿を、父レオポルトや姉ナンネール、妻コンスタンティンらとの関係を通して描く。

名古屋からの登場となる一路真輝さんや山口祐一郎さん、市村正親さんといった主役級が脇を飾る豪華さ。なれど、マチネ(昼公演)ということもあってか、全体的にテンション低め?

その中で一際光っていたのが大塚ちひろさん。
コンスタンツェ役は大阪では西田ひかるさん、東京では西田さんと木村佳乃さんのWキャストだったとのことで、知名度的には見劣りがするが、なかなかどうして。特に第2幕での「ダンスはやめられない」では芸術家の妻としての苦しみを全身で表現し、聴き応えがあった。彼女も『SHIROH』に出演していたが、ここまで歌えるのかと感心。
ちなみに彼女は第5回東宝シンデレラ審査員特別賞を受賞しているが、その時のグランプリが今や飛ぶ鳥を落とす勢いの長澤まさみさん。これまた人気・知名度の点では出遅れた感があるが、実力的には遜色ない。元々ミュージカル志望なのかどうなのか知らないが、今後が楽しみ。

これまた『SHIROH』にも出演していた高橋由美子さん。
私たちの世代では彼女は自他ともに認める20世紀最後のアイドルというイメージが強いので、『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』に出演していたことは知っていたとは言え、彼女の歌唱力には驚かされた。今回は『SHIROH』に比べるとやや見せ場がないが、小さな体ながら存在感あり。

で、肝心の井上芳雄さん。
どちらかというとヤンチャ坊主的なヴォルフガング。歌声はまずまず。
『SHIROH』のときに中川くんの歌声に圧倒されたのに比べると、惹きつける力が弱いかな。
そういった意味では天才・モーツァルトという側面を描くには中川くんの方が似合っていそう。

全体的にはやや平板に過ぎるか。もう少し神童の設定をうまく活用できるような気もするのだが。
その神童と対峙してからクライマックスまでも盛り上がりに欠ける。
全員で歌うラストの曲なんてヴォルフガングはちょこっと歌って終わっちゃったし。
あと、この手のミュージカルにしては舞台がちゃっちいような気がしたのは私だけか。
中川版を観るかどうか迷うなぁ。