犬童一心監督デー『メゾン・ド・タッチ』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

犬童一心監督の新作2本が上映中。
どちらが犬童監督のやりたかった作品かは火を見るより明らか。

『メゾン・ド・ヒミコ』


2005年日本映画 131分
監督:犬童一心 脚本:渡辺あや
音楽:細野晴臣
プロデューサー:久保田修、小川真司
撮影:葛井孝洋 美術:磯田典宏
照明:疋田ヨシタケ 録音:志満順一
編集:阿部亙英 衣裳:北村道子
キャスティング:杉野剛
スクリプター:天池芳美
助監督:池上純哉
製作担当:斉藤玉恵、森崎裕司
音響効果:岡瀬晶彦 演出部応援:河合勇人
音楽プロデューサー:安井輝
特写フォト:平間至 宣伝美術:鈴木成一

出演:
オダギリジョー(岸本春彦)
柴咲コウ(吉田沙織)
田中泯(卑弥呼・吉田照男)
西島秀俊(細川専務)
歌澤寅右衛門(ルビイ)
青山吉良(山崎)
柳澤愼一(政木)
井上博一(高尾)
森山潤久(木嶋)
新宿 洋ちゃん(キクエ)
村上大樹(チャービー)
高橋昌也(パトロン、半田興産会長・半田利一)
筒井康隆[声の出演](ナレーター)
藤井かほり(沙織の母)、草村礼子(医師)、大河内浩(ダンスホールの中年男(山崎の元部下))、中村靖日(ダンスホールの若い男)、村石千春(沙織の同僚・米田エリナ)、久保麻衣子(同・山田昌子)、田辺季正(中学生・淳也)、羽鳥慎一(アナウンサー)、高橋貫(細川塗装従業員)、枝光利雄(同)、峯村淳二(同)、沖中玲斗(専務の息子・ダイスケ)、岡庭淳志(ルビイの息子)、吉田能里子(嫁)、山内瑠香(孫娘)、増田汎子、窪田かね子(向かいの家の住人・高塚)、村田将平(淳也の友人)、関根裕太(同)、渡邉悠平(同)、篠崎聡(環境大学ゲイサークル・ナッツメンバー)、高橋康隆(同)、三浦学(同)、早瀬知之(同)、矢嶋聡(同)、菊口真由美(ダンスホールのダンサー)、杉谷一隆(同)、藤島巨樹(同)、宮本英喜(同)、香川亮(同)、小山和人、須藤幹子、瀬口玲子、外山晴菜、福島千紘、三谷友哉、宮坂颯美、吉川亜衣里、大関真、どうじょう拓人、榊英訓、村上尚子、小形里美、杉本務、杉本和子、杉本勝美、八木まゆみ、松野孝史、佐々木寛人、鈴木涼介、関清隆、鳥居一輝、松浦孝浩、山本淳平、横田孝幸、安間保恵、石川綾乃、石原千鶴、江島加奈、大石真美、大石めぐみ、大石孝子、太田博子、太田由美子、大場秀子、北嶋ゆきほ、金原徳子、児玉直美、高橋亜矢、坪井亜矢子、所理恵子、富永けい、長谷川千夏、長谷川るみ、星桃子、丸山由季子、村木美奈、平野由美、駒村多恵、大石勇、興津伸一郎、斉藤雄亮、Terry Press(細川塗装従業員)、Bruno Descaves(細川塗装従業員)、小林麻子、佐々木若波、佐藤佐吉

塗装会社で働く沙織。彼女を父の恋人・春彦が迎えに来る。沙織の父親はゲイバー「卑弥呼」のママとして働いた後、「メゾン・ド・ヒミコ」というゲイのための老人ホームを開いていたが、がんのため死期が近づいているという。

人は自分の知らないもの、理解できないものに対しては徹底的に無視するか嫌悪する。
だが心の壁を取り払い、それに触れてみればすんなりと受け容れることができる場合もある。
沙織は父親に対する憎しみもあって、最初はホームのメンバーに対して心を開かない。
ホームでパートタイマーとして働くうちに徐々に打ち解け、父親とも和解していき、ゲイを馬鹿にする中年男とやりあうまでになる。
あるいは中学生の淳也。彼は友達とともに沙織に爆竹を投げつけて驚かせたり、ホームの壁に落書きをしたりといったいたずらをしていたが、水風船を投げつけた春彦に一喝され、目覚めてしまう。笑
そんな2人と対照的なのが、ホームの近所に住む老婆だ。
彼女は本篇の最初と最後に現われるが、ゲイの老人たちを見たときの反応はまったく変わっていない。

『ジョゼと虎と魚たち』でも犬童監督と組んだ渡辺あやさんの脚本もうまい。
ヒミコの死をさらっと描くところもいいし、何と言ってもラストの落書きが効いている。

キャストでは、沙織を演じる柴咲コウさんがいい。
最初の方のぶすっとした表情、父親との再会のシーン、魔法の呪文「ピッピキピー」、唐突に始まるダンスシーンも楽しい。
対するオダギリジョーさんもハマリ役。いつの間にやらいい役者になりましたなぁ。

『タッチ』


2005年日本映画 116分
監督:犬童一心 脚本:山室有紀子
原作:あだち充(『タッチ』小学館/少年サンデーコミックス刊)
製作:本間英行 プロデューサー:山中和成
撮影:蔦井孝洋 美術:小川富美夫
録音:矢野正人 照明:疋田ヨシタケ
編集:普嶋信一 助監督:熊澤誓人
製作担当:平山高志
音楽:松谷卓 音楽プロデューサー:北原京子
主題歌:「歓びの種」YUKI
挿入歌:「タッチ」ユンナ、「夢の続き」ユンナ
視覚効果プロデュース:小川利弘
VFXスーパーバイザー:坂美佐子、荒木史生
VFXディレクター:太田垣香織
装飾:秋田谷宣博 音響効果:齋藤昌利
スクリプター:天池芳美

出演:
長澤まさみ(浅倉南)
斉藤祥太(上杉達也)
斉藤慶太(上杉和也)
宅麻伸(浅倉俊夫)
小日向文世(上杉信悟)
風吹ジュン(上杉晴子)
RIKIYA(原田正平)
平塚真介(松平孝太郎)
上原風馬(キャプテン・黒木武)
安藤希(ボクシング部マネージャー・日向小百合)
若槻千夏(矢部ソノコ)
福士誠治(須見工・新田明男)
本田博太郎 (監督・津川英二)
山崎一(部長先生)
徳井優(岡本先生)
高杉亘(体育教師)
渡辺哲(ボクシング部監督)
生田智子(浅倉しのぶ)
萩本欽一(ゴールデンゴールズ監督)
永山たかし(セカンド・大河原)、脇﨑智史(ファースト・広瀬)、大森拓郎(レフト・石垣)、向野章太郎(ライト・三原)、野元慎吾(ショート・中嶋)、小野純平(センター・藤本)、今冨映貴(補欠・丸山)、三浦英幸(須見工ピッチャー・佃)、田村光弘(須見工キャッチャー・尾崎)、山根康立(須見工ファースト・大熊)、柿元利之(須見工セカンド・森川)、上中京(須見工ショート・坂本)、傳田怜時(須見工レフト・金井)、河合努(須見工センター・中谷)、滝沢圭吾(須見工ライト・若林)、宗清万里子、窪園純一、植田功一(実況アナウンサー)、大石英佳、斉藤昌太[齋藤昌太](小学生の上杉達也)、斉藤佳太[齋藤佳太](小学生の上杉和也)、奈良瞳(小学生の浅倉南)、見城孝信、西村豪起、川口篤、鐘ヶ江佳太、横川徳久、上吉原陽、宮田大三、渋谷樹生(幼少期の上杉和也)、渋谷龍生(幼少期の上杉達也)、矢吹奈子(幼少期の浅倉南)、五十嵐玲温(赤ん坊の上杉兄弟)、五十嵐玲偉(同)、菊池優那(赤ん坊の浅倉南)、鈴木颯人、谷山毅、仲川幹映、大田誠人、高品充、渋谷俊彦、肥田強志、富中拓士、山本誠、須賀祐治、島垣博、小嶋一行、岡崎良樹、山田悟、織田龍光、山口浩、佐藤織恵、森里砂、立島里奈
峰竜太(『ザ!情報ツウ』司会)、松本志のぶ(同・アシスタント)、小栗泉(『きょうの出来事』アナウンサー)

こちらも女性脚本家だが、力の差が如実に出てしまった。
まず、この新人脚本家さんは野球のことを何も知らないのではないか。
高校野球の予選で決勝進出が決まってから2、3日も間が空くなんておかしいし、前日に草野球でエースを投げさせるバカがどこにいるのか。更には決勝当日の朝、3人でキャッチボールをするシーン。和也がグローブをに渡して素手でキャッチボール!
ありえねー。突き指でもしたらどうすんの?

もう一つ言えば、和也の交通事故のシーン。
あれを先に持ってきちゃダメでしょう。まず和也が現われないことで動揺する明青高校の面々や、先発が和也でないことを不審がるスタンドの様子(どう見ても神宮球場じゃないんですけど。笑)を描き、何があったんだろうと思わせてから実は…という展開に持っていかないと。
いくら超有名なエピソードであったとしてもきちんと見せないと台無し。
それと和也に助けてもらった親子、なんで1年経ってからのこのこ現われるの?

原作通りでなくてもまったく構わないが、ひとつ不満なのは南が最初から野球部のマネージャーであること。
南と言えば新体操のレオタード姿でしょうが!爆
この作品の最大の売りで、あだち充さんが最も力を入れているところなのに。
おざなりのダンスシーンでごまかそうたってそうはいくか。笑
長澤まさみさんはよかったけどねぇ。