ただいま一時帰国につき、実家滞在中。
海とみかんしかない田舎町の一軒家に、母は一人で暮らしている。
猿やイノシシが出るほどの山奥であるが、元は父の陶芸家という特殊な職業のためにこの地を選んだ。
私が小学生に上がる頃の、40年以上前に建てられた家である。
父が5年前に亡くなってから、母は天井や縁側など、かなり大規模に改修工事をしてきた。
しかし、やはり古い一軒家は何かと効率が悪い。
暖房の効きが悪く、どこかに隙間があるのか、寒い空気が入ってくる。
階段も急であるし、2階建てに住むのは、70代も後半の母にだんだんと厳しくなっている。
ありがたいことに、母はまだ頭がはっきりとしている。
状況を理解していて、もう数年のうちには運転免許を返上して都市部にマンション暮らしかな、と言っている。
ただし、感情は追いつかないようである。
思い入れもあるが、父の仕事道具含め、膨大な家財道具の片付けを考えると気が遠くなる。
高齢者住宅のアドバイザービジネスをしている知人が、皆長く住んだ自宅で死にたいものなのだと言っていた。
幸い、少し離れた都市に住む弟が、近くの市に引っ越してくることになった。
田舎に住む母にも、買い物に出たりと昔から馴染みのある市であるから、それなら弟新居近くのマンションはどうかと、現実的に考えるようになった。
弟の引っ越しは、遠くアメリカに暮らす無責任な姉としては、とてもありがたい。
何もしていない罪悪感こそあれ、では何ができるかというと母を励ますくらいである。
それだって、母や弟にしたら「わかりきったことを」と無駄なことかもしれない。
忙しい弟だが、少し時間ができたからと、墓参りに連れて行ってくれた。
父や祖父母の眠る墓地は実家から車で1時間、母と二人では気軽に行けない場所である。
持つべきものは、頼りになる優しい弟である。
お昼は墓地のレストランで。
母おすすめのしらす丼定食にしてみた。
しらすがふんわりして、美味しい ![]()
途中ポツポツと雨が降ったが、お参りをする間は少し晴れ間も見えた。
墓参りは必須の用事ではないが、やはり行っておくと心がスッと軽くなる。
皆、晴れやかな顔をしていた。
弟にはせめてものお礼にと、実家で焼いたデニッシュを持って行ってもらった。
こちらのレシピで作ったパンは、バター少なめで優しい甘さ ![]()
以前作って、普段甘いパンを食べない夫も気に入っていた。
母にも好評で良かった ![]()



