すったもんだの末、シッキム州への入州許可を得て、ガントクを半日観光した日はとても平和であった。
まさか次の日にこの旅行最大の危機が待ち受けているとも知らず...
翌日、空港までは5時間かかることから、朝早く出てタクシーに揺られた。
もう4回目ともなると、長時間のガタガタ道にも慣れたものである。
息子などは靴を脱いで私と夫を枕にし、3時間以上寝ていた。
空港近くの街シリグリではインドのマーケットを通った。
小さなお店それぞれで扱う商品が決まっている。
コロナに気をつけている今は車を降りてマーケット散策はできないが、息子は車窓からカラフルな風景を楽しんでいた。
余裕を持って3時間前にはバグドグラ空港に着いた。順調、順調。
デリーまで飛んだ後は、空港近くのホテルで休んだ後、タイ航空のバンコク経由便で東京に帰る予定であった。
チェックインやセキュリティはスムーズに進み、時間を持て余していた頃、不意に夫が言った。
「タイ航空からのメール...見た?」
ただならぬ雰囲気にすぐ確認すると、こんなメールが。
「12月と1月のバンコク行きは本国へ帰国するタイ人のみ乗れます。」
つまり...タイ航空では日本に帰れない!
待って...それ搭乗の11時間前に言う!?
ひどすぎない???
慌ててタイ航空のインドオフィスに電話したが、誰も出ない
次いで航空券を予約したANAに電話するも「コードシェア便については運行会社(タイ航空)に聞いて」と言うのみ。
ANAもこの状況把握してなかったんか...いやダメだろ
などと怒っている暇もないので、ともかく一番早い片道航空券を調べてもらうが...
ANA「2日後にあります。お値段は大人お一人22万円、お子様17万円です(もちろん片道)」
ぐぬぬ...高い
しかし背に腹は変えられぬ...。
バグドグラで飛行機に搭乗しながらANAとやり取りを続け、とにかく仮予約をしてもらった。
しかしこの便だともう一度PCR検査を受けねばならない。
日本の入国には飛行機搭乗の72時間前以降のPCR検査が必要である。
翌日の昼までに乗らないと、前々日シッキム入州のために受けたPCRの証明書が使えない。
検査を嫌がる息子のためにもなんとかその日中のフライトに乗りたかった。
飛行機内で機内モードを要請されるまでの間、急いで調べると、どうやらJALの羽田行きがその日に飛んでいそうなことがわかった。
今乗っている飛行機がデリーに着くのが午後4時半。
JALのフライトは午後8時過ぎ。
間に合うだろうか...
デリーに着くとスーツケースをピックアップし、JALのカウンターへ走った。
スタッフさん達は皆インド人であったから、夫が必死に事情を説明した。
この時点で5時を回っていた。
「タイ航空が...乗せてくれないって言うんです!!このフライトになんとか乗れませんか?」
カウンターのお兄さん、必死さを察してくれたらしく、ボスらしき人に話をしてサービスカウンターへ通してくれた。
カウンターでは別のスタッフさんが「大人9万6千ルピー(約15万円)、子供7万ルピー(11万円)ですが...」と申し訳なさそうに告げた。
「ぜんっぜん問題ないです!!(ANAに比べれば)」
かくしてギリギリのギリでフライト2時間前に羽田への直行便が確保できたのだった。
夫は上機嫌でスタッフ達に感謝し、「もう僕ANAからJALに変えるよ!」と言っていた。
(元々ANAをメインにしていた...理由はマイレージのレートがいいから。予約取りにくいけど。)
ちなみにデリー空港でお土産を買おうと思っていたが、この件で力尽きてローズウォーターを二本だけ買った。
KAMAはラグジュアリーな自然派化粧品ブランド。
質が良いし、どの製品もハーブの良い香りがする。
一本はインドにハマっている母に贈ろう