本記事では,カジュアルバトルにおける,幻のポケモンの戦闘性能について解説する。
幻のポケモンは一部を除いて合計種族値が600であり,禁止級伝説との性能差がかなり大きいため,ある程度実用性のあるポケモンに絞って解説する。
アルセウスについては下記記事を参照
デオキシス(アタックフォルム)
タイプ エスパー
特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)
種族値 H50 A180 B20 C180 D20 S150 T600
専用技 サイコブースト(威力140命中90PP5,使用後特攻2段階Down)
アルセウスを除く幻ポケモンでは最も活躍の余地があるポケモン。
徹底的に攻めに特化した種族値が特徴的。
耐久は低いとかいうレベルではないため,気合いの襷は必須だが,襷込みのタイマン性能は高い。
超火力の専用技サイコブーストと神速で,等倍相手は大体縛れる。
サブの技範囲も物理,特殊共にかなり広い。
どちらかと言うとサブ技は物理の方が優秀であり,前述した先制技の神速,格闘高打点の馬鹿力,重量系相手に刺さるけたぐり,持ち物を失わせる叩き落とす等を覚える。
素早さ種族値も150と高く,殆どのポケモンの上を取ることができる。
技スペは厳しいがカウンター,ミラーコートも覚えるため,打点がない相手を無理矢理倒すという芸当もできる。
このため,対面で1体倒し,次に出てくる相手にも高火力技で負担を与えるという戦術がアタックデオキシスの基本運用になる。
しかし,単エスパーというタイプの弱さが,以下に示すように攻撃面でも大きく響いている。
・特殊技は威力が低く,高威力技も癖が強く安定しない。デオキシスの特攻を持ってしても,単エスパータイプであるが故に一致補正で火力を底上げすることができないため,弱点を突いても火力不足
・不一致テラスやテラバーストで火力を引き上げたり,範囲を補完することも可能だが,テラス依存度を高めるとPT全体の柔軟性が下がる
・サイコブーストも等倍範囲はそこそこだが,無効タイプがあり抜群範囲が狭い
・物理技は上述の通り命中安定で火力を出せるものが揃うが,物理ベースだとサイコブーストの威力に期待できない。特殊ベースでこれらの物理技を採用すると火力不足
・黒バドとは同速ゲーになってしまう
まとめると,高火力でタイマンを制する襷アタッカーという,わかりやすく満遍なく通用する性能が売りの幻ポケモンであり,下手な禁止級伝説より使いやすい。(禁止級ランキングではBランク相当)
しかし,単エスパーが攻撃面で絶妙に噛み合わず,数値ほどの攻撃性能を発揮しづらい。
採用する際は,仮想敵に合わせて技をカスタマイズすることが重要と言えるだろう。
型サンプル
特殊ベース襷型
無邪気orせっかちCS ステラテラス
技 サイコブースト,神速,@2(冷凍ビーム,悪の波動,シャドーボール,ラスターカノン,草結び,馬鹿力,けたぐり,叩き落とす,10万ボルト,凍える風等)
サイコブーストの超火力を活かす。
特殊技は2つ以上採用したい。
凍える風+悪波シャドボで黒バドに対面勝てるため,伝説戦で一考の余地あり。
物理ベース襷型
無邪気orせっかちAS ステラorノーマル
技 サイコブースト,神速,けたぐりor馬鹿力or岩石封じ,叩き落とす
優秀な物理サブを主軸に戦う。
高威力の格闘技を使える点が優秀。
岩石封じ+叩きで黒バドに対面勝てるが,その場合は鋼への有効打は失うことになるため注意。
神速による制圧力を高めたい場合はノーマルテラスも一考の余地あり。黒バドのゴースト技も透かせる。
シェイミ(スカイフォルム)
タイプ 草,飛行
特性 天の恵み(攻撃技の追加効果2倍)
種族値 H100 A103 B75 C120 D75 S127 T600
技 シードフレア(威力120命中85PP5,4割で相手の特防2段階Down,特性込みで8割になる)
4世代幻ポケモンのシェイミが,グラシデアの花でフォルムチェンジした姿。
特性天の恵み+エアスラッシュの怯みコンボが強力。草分けや追い風で素早さを上げれば,怯みを上から押し付けやすい。
専用技シードフレアは4割で相手の特防を2段階下げる強力な技で,特性込みで8割になる。このため崩し性能も高い。
その他,がむしゃら,電光石火,宿木の種等,有用な小技も習得。
技範囲は広くないが,大地の力,マジカルシャイン等補完になる技はしっかり覚える。
欠点は耐久の低さと,素早さインフレによる自身の素早さ種族値の優位性の低さだろう。
草飛行という劣悪な耐性,H100BD75という耐久種族値の低さから,弱点攻撃への耐性は非常に低い。
そして,ハバタクカミやパオジアン,テツノツツミ等,自分より速い相手が大幅に増加したことで,上を取って怯みを狙うという戦術コンセプトを押し付けづらくなっている。この3匹はそれぞれシェイミを一撃で倒せる性能を持つ。
このため,襷がないと行動すらままならない事態に…
火力もC120では完全に力不足であり,怯みや特防ダウンに頼る場面が多い。
総評すると,独自の性能は持っているが,一般ポケモンのインフレに潰されかけているのが現状。
上を取って怯ませることができれば強いため,辛うじて戦える性能はあると言えるだろう。
型サンプル
襷型 ゴーストテラスor岩テラス(テラバ採用時)
技 シードフレア,エアスラッシュ,@2(大地の力,マジカルシャイン,がむしゃら,電光石火,宿木の種,サイコキネシス,草分け,追い風,岩テラバースト等)
襷で行動補償を高めた型。
技範囲を取るかサポート性能を加えるかはお好みで。
テラバーストは耐性を補え,範囲補完に優れる岩がおすすめ。
フーパ(ときはなたれしフーパ)
タイプ エスパー,悪
特性 マジシャン(攻撃した時,相手の持ち物を奪う)
種族値 H80 A160 B60 C170 D130 S80 T680
専用技 異次元ラッシュ(威力100必中PP5,守りを無視して攻撃,自分の防御1段階Down)
6世代の幻ポケモンフーパが,いましめのツボを用いてフォルムチェンジをした姿。
今作では貴重な悪タイプであり,悪戯心を無効にできる。
攻撃と特攻が高い両刀型で,特殊耐久も高め。このことから黒バドにはかなり強い。
物理,特殊共にサブがそこそこ豊富。
異次元ラッシュは守りを無視できる必中技で威力が高め。
持ち物を奪う効果を持つことから襷と相性が良く,低めの素早さを補うトリル型がよく使われる。
ただし,極端な両刀配分による種族値効率の悪さ,そして両刀配分と自身の性能が噛み合っていない点は大きなデメリット。
一致技も悪技は威力100止まり,エスパー技は火力不足。サブウェポンも高威力技が少なく種族値ほどの火力は出ない。
そして,物理の積み技が一切ないため,異次元ラッシュの火力を引き上げることもできない。
特殊は悪巧みがあるが,特殊技は威力が低く,制圧力は低い。
元タイプの耐性も活きる相手が少なく,特性とのシナジーから持ち物が襷が優先されてしまい,立ち回りの柔軟性も低い。
対黒バド性能や守り貫通の攻撃性能は優秀だが,タイプと種族値配分の悪さが足を引っ張っている。
とはいえ幻では数値が高めでトリルとのシナジーも高いため,まだ戦える部類ではある。
型サンプル
襷トリル型
勇敢HAorAC 悪テラス
技 異次元ラッシュ,トリックルーム,@2(サイコキネシス,ダストシュート,ドレインパンチ,エナジーボール,道連れ等)
襷トリルで暴れる。悪テラス異次元ラッシュの火力は中々。最遅の入手難度は高い。
マギアナ
タイプ 鋼,フェアリー
特性 ソウルハート(場のポケモンが倒れた時,自分の特攻が上がる)
種族値 H80 A95 B115 C130 D115 S65 T600
専用技 フルールカノン(威力130命中90PP5,自分の特攻2段階Down)
7世代の幻ポケモン。
優秀なタイプと豊富な補助技を持ち,サポート性能に優れる。
低い素早さを活かしたトリル始動,ギアチェンジor瞑想バトン,怪電波による特殊流し等,様々な戦術をこなせる。特に自主退場技のミストバースト,てっていこうせんを覚えるのが優秀。
C130と特性のおかげでアタッカーとしても強い。アンコールを駆使すれば有利な相手を起点にできる。
ちなみに特性は,毒毒や砂嵐等のスリップダメージでも発動するため,自分が攻撃しなくても火力を上げられるのは強力。
とはいえ今の火力耐久インフレ環境では,マギアナの種族値では数値不足。
耐性は優秀だが,強力な地面タイプが蔓延している現環境では地面弱点が厳しい。
禁止級伝説を含めるとコライドンやミライドンの攻撃は耐えるのは耐性を変えないと不可能。
このことから,耐久,耐性が優秀であるにも関わらず,テラスタルによる耐性変更または気合いの襷で行動補償を確保する必要があり,運用が窮屈になりがちである。
自身のサポート性能は優秀だが,上述の通り数値が足りていないため,テラスタルまたはアイテムで行動補償を確保しないと活躍は難しい。
しかし,その欠点を補い,上手くバトンやトリルサポートを決めれば,裏の禁伝で全抜きが狙える。 ロマンに溢れたポケモンと言えるだろう。
型サンプル
ギアチェンジバトン型
腕白or慎重 HBorHDor素早さ調整残り耐久 テラスタイプは飛行,水,地面,ノーマル等
持ち物 風船,メンタルハーブ,半減きのみ,気合いの襷等
技 ギアチェンジ,アイアンヘッド,バトンタッチ,アンコールor電磁波or怪電波or鉄壁
ギアチェンジ+バトンタッチで裏の物理アタッカーに繋ぐ。
後攻バトンを決めたい場合はSに振らなくても良い。
テラスシェルで一発耐える物理テラパゴスや超耐久の白バドレックスと相性が良い。
トリル始動型
冷静or呑気or生意気 HCorHBorHD テラスタイプは飛行,水,地面,ノーマル,ステラ等
持ち物 風船,メンタルハーブ,半減きのみ,気合いの襷等
技 トリックルーム,ミストバースト,てっていこうせん,@1(フルールカノン,ボルトチェンジ,アンコール,10万ボルト,エナジーボール,シャドーボール等)
トリル始動からトリルアタッカーに繋ぐ。
ミストバーストで即退場できる。
そこそこの火力で相手を削れるため,削りを利用して火力を上げられるポケモンが相方として適任。
白バドorメテビ月食ネクロズマが有力候補。
モモワロウ
タイプ 毒,ゴースト
特性 どくくぐつ[毒傀儡](自分が相手を毒状態にすると,その相手を同時に混乱させる)
種族値 H88 A88 B160 C88 D88 S88 T600
技 邪毒の鎖(威力命中100PP5,5割で相手を猛毒にする)
第9世代DLC番外編に登場する幻のポケモン。
非常に高い物理耐久と猛毒を活かしたサイクル戦が得意。
禁伝幻で唯一捨て台詞を覚える点がユニーク。この技のおかげで不利対面を作られても有利なポケモンに安全に繋げられる。
自己再生もしっかり覚えるため,物理相手に粘ることも可能。
ゴースト以外にテラスタルして呪いを鈍いに変えることで,更に物理耐久を上げられる。
特性の毒傀儡は,相手を毒状態にした時に混乱させるという非常に厄介な効果を持つ。
混乱の自傷で行動補償を増やせることができればかなりのアドバンテージになる。
専用技の邪毒の鎖は相手を5割で猛毒にする強力な技だが,基本的には確実に猛毒にできる毒毒で良いためあまり使われない。アタッカー気質を残すか,挑発を強く警戒する場合に候補になるか。
ホウオウ等特殊耐久が高く自身の弱点を補完できるポケモンと相性が良く,これらのポケモンと組ませた毒サイクルはハマれば強力。
しかし,物理耐久以外は平均以下であり,不利な相手には滅法弱い。
サブウェポンの少なさから攻撃性能は非常に低く,アタッカーには向いていない。一応悪巧みで火力は上げられるが,元の特攻が低いため大して強くない。
このため,ダメージソースは毒毒や混乱自傷,毒状態時の祟り目に完全に頼ることになり,これらが通じない相手には起点にされる恐れがある。
特殊耐久も全く高くないため,ある程度の火力を持つ特殊型の禁伝なら対面での突破は容易。
そして,特性の毒傀儡こそ厄介だが,混乱自傷の確率は所詮25%であり,安定して狙えるものではない。
混乱による自傷狙いのアドバンテージが低く,良くも悪くも運に大きく左右されるポケモンである。
混乱による運ゲーを狙わないのであれば,火力や特殊耐久で大きく勝るムゲンダイナで良いということになってしまう。一応捨て台詞で差別化は効くが。
まとめると,物理耐久の高さと毒毒や捨て台詞を活かしたサイクル戦で活躍が見込める,幻の中では実力が高いポケモンである。
しかし,平均以下の特殊耐久,アタッカー適正の低さ,毒傀儡のアドバンテージの低さ等,性能にかなり穴が目立つポケモンでもあるため,組ませる相方やPTでの役割をしっかり考える必要がある。
サイクル戦が好きなプレイヤーは使ってみても良いだろう。
型サンプル
食べ残しor黒いヘドロのサイクル型
図太いHB 毒テラス(黒いヘドロ),ノーマルテラス,飛行テラス,フェアリーテラス等
技 毒毒,祟り目,捨て台詞,自己再生
高物理耐久を活かして毒を撒き,苦手な相手からは捨て台詞で逃亡。
技構成はこの4技で完結している。毒が効かない相手に刺さるシャドーボールもなしではないが。
このほか,
・テラスタル+貯水で弱点を補え,ザシアンに強く出られるボルケニオン
・S180からの壁張り等のサポートができるスピードデオキシス
・あらゆる技マシンを覚えることで高いサポート性能を持つミュウ
・トリックルーム+ステルスロック+ミストバーストでトリルアタッカーの御膳立てができるディアンシー
・技が豊富で蛍火やブレイブチャージのバトンができるマナフィ
あたりは採用の余地があると言えそうか。
いずれも数値不足や環境的な逆風によって活躍は難しいが,頑張ればギリギリ使えそうである。
以上が実用性のある幻ポケモンの解説である。
禁止級伝説に比べると数値の面でどうしても劣るため活躍は難しい。
ただし,それぞれが独特な性能を持っているため,普段とは違うポケモンを使いたい時は採用を検討しても良いだろう。