本記事では,カジュアルバトルにおける幻のポケモン,アルセウスの戦闘性能について解説する。



アルセウス

タイプ ノーマル

特性 マルチタイプ(持っているプレートでタイプが変わる)

*今作では選出画面でタイプが分かる

種族値 HABCDS120 T720

専用技 裁きの礫(威力命中100PP10,持っているプレートでタイプが変わる)


第4世代後期に登場した幻のポケモン。

全てを超越した神という設定を持つことから,非常に強力な性能を持つ。

合計種族値は脅威の720。これはSVの全てのポケモンの中で最も高く,HBD120という一致弱点をも耐える耐久力が光る。後述の性能と耐久の高さから,器用万能という言葉が相応しい。


広範囲の攻撃技,優秀な積み技,場作りに適したサポート技が非常に豊富であり,様々な役割をこなすことができる。

火力自体は他の禁伝に比べるとかなり低いが,積み技で補うことで火力をかなり伸ばせる。

特に剣の舞+神速の物理型は非常に有名であり,ノーマルテラスタルにより火力を大きく伸ばせることから更に強化されている。

サブウェポンも地震,シャドークロー,フレアドライブ,サンダーダイブ,アイアンヘッド等優秀なものが揃っており,神速が通りにくい相手にも打点を持てる。

また,今作では竜の舞やビルドアップも習得したが,神速の火力をそこまで伸ばせないことから,王道の剣舞型に評価は一歩劣っている。

特殊の積み技は瞑想,メテオビーム,チャージビーム程度。後述のプレート型と合わせた瞑想型が殆どを占める。

サポートの攻撃技,補助技も揃っている。

凍える風や岩石封じ,トリックルームや追い風等の素早さ操作技,ステルスロックや両壁,電磁波や鬼火といった場作り技,挑発や吠える等の妨害技…等,挙げればキリがなく,初見で何をしてくるかを判別するのは,理論上不可能である。


そして,特性マルチタイプにより,プレートによってタイプを自由に変えられることで,PTに足りない要素を補うことができる。

ここからテラスタルで更にタイプを変えられるのだから,相手からしたら非常に読みづらく,型が分かった時には手遅れということも多い。

更に,ランクマッチでアルセウスが解禁されたことは今まで一度もないため,一般的に知られている型ですら対策が手薄になっているケースが多く,テラスタルによる奇襲も刺さりやすい。


以上のことから,アルセウスの強みは,高い数値と極めて多彩な技,プレートによるタイプ変更による万能性と言えるだろう。

禁伝PTなら縛りプレイでもない限り採用しない理由がなく,禁伝PTの鍵を握るポケモンと言えるだろう。


しかし,最近では一般,禁伝共に数値が大きくインフレしており,自身の超耐久を容易に突破してくるポケモンが増えた。


特にコライドンは,ノーマルアルセウスを上から確実に仕留める程の火力を持つほか,タイプを変えても炎テラスフレアドライブや鉢巻一致技でゴリ押してくるため,天敵に近い存在である。

ミライドンや黒バドレックス,ザシアン,ザマゼンタ等,高火力技で上から殴ってくる禁伝が増加,対面で勝ちにくい相手が増えている。

一般枠でもパオジアンや赫月ガチグマ等,アルセウスを確定2発で落とせるポケモンが増えている。


それ以上に厳しいのは,アルセウスの超耐久を簡単に崩すポテンシャルを持つ一般枠の登場である。

上述のパオジアンの氷柱落としによる怯み,ハバタクカミのブーストエナジー+電磁波麻痺,軽業オオニューラのフェイタルクローによる麻痺眠り等,自身を超える素早さの相手から運要素で切り返されてしまうことが増えた。

そして,最大の問題点は,異常耐久に加えて流し技と一撃技を備える,ディンルーとヘイラッシャの登場である。

ディンルーはアルセウスがどれだけ積もうが余裕で技を耐えて吹き飛ばしや地割れで対処してくる。

ヘイラッシャは特性天然により積み技が無効,アルセウスのあらゆる攻撃を余裕で耐え,あくびや地割れで対処してくる。

これにより,型が多かろうがテラスでタイプを変えようが,上から上振れ技で何もさせずに倒す,あるいは一撃技で強引に倒すという手段で解決できてしまうため,アルセウスの強みを潰してしまっている。


また,今作では選出画面でタイプが分かるようになるという弱体化を受けている。

これにより,ノーマルタイプ以外はタイプに加えて持ち物までバレてしまうようになってしまった。

このため,スカーフで上を取られたり,珠で火力を引き上げたりといったことを考慮する必要がなくなったため,タイプが分かるだけで対処が可能というケースも現れ始めている。


このことから,アルセウス史上かつてないほどに動きづらい環境にはなっている。

しかし,それでもアルセウスの採用価値を失わせることにはならない。

やはり最初に紹介した型の豊富さや万能性でカバーできる点が大きい。

前述した一般枠も,この型には勝てるがこの型は無理というケースが多く,対策する側としてアルセウスというポケモンに全対応することは不可能である。

3DS作品までは,アルセウスの入手難度は高かったのだが,Switch作品ではアルセウスの入手難度が大幅に緩和されている。

禁伝PTで勝つなら,縛りを設ける場合を除いて絶対に採用するべきポケモンであるのは間違いないだろう。


アルセウス育成例