今回から,禁止級伝説のSランク,余程のことがない限り採用しない理由がない,最強クラスの禁止級伝説について解説する。

初回はミライドンの解説をする。


タイプ 電気,ドラゴン

特性 ハドロンエンジン(登場した時にエレキフィールドを貼り,エレキフィールド発動時に自分の特攻を1.33倍にする)

種族値 H100 A85 B100 C135 D115 S135 T670

*特性込みの実質特攻種族値は197

専用技 イナズマドライブ(威力命中100PP5,弱点を突いた時に威力が1.33倍になる)


第9世代のパッケージ伝説。

エレキフィールド下の超火力電気技で相手を一掃する,超強力な特殊アタッカー。

その火力は,補正なしC252電気テラス拘り眼鏡イナズマドライブでD特化ハピナスが超高乱数2発(98%)であり,等倍受けは不可能。

イーユイの眼鏡オーバーヒートを連発しているようなものと言えばその恐ろしさがわかるだろう。

ハドロンエンジンの補正は全ての特殊技に乗るため,エレキフィールド下での実質特攻種族値は197となる。当然,全ての電気タイプ,ドラゴンタイプの中で最も高い。

このため,あらゆる電気タイプまたはドラゴンタイプの特殊アタッカーの立場を奪っていると言っても過言ではない。

禁止級の電気特殊アタッカーは殆どいないが(タイプを変えたアルセウスぐらい),ドラゴン特殊アタッカーは非常に多い。

これらの禁止級特殊ドラゴンは,ミライドンの登場によって特殊アタッカーとしての立場を奪われてしまい,起点型や耐久型等ミライドンとは違った方向性で育成せざるを得ない状況となっている。

純粋なドラゴン特殊アタッカーとして使うなら,ミライドンで流星群をぶっ放した方が圧倒的に強いのだから。

その流星群の火力は,命の珠を持たせればH振りカバルドン程度なら一撃で倒せるほど高い。

このため,一見地面タイプに弱いようで実際はそこまで弱くなく,生半可な地面は普通に返り討ちにされる。テラバーストを採用すれば尚更である。


そして,このポケモンの最大の強みは,エレキフィールドを自動的に展開することで,眠り対策がお手軽にできる点である。

眠り状態による行動制限は禁止級を倒すのに非常に有効だが,ミライドンのエレキフィールドによって一瞬で潰されてしまう。

ミライドンが場を離れても5ターンは残るため,後続のサポートにも使える。

地面タイプのあくび持ちを出そうものなら,ステロあくびが潰される上に初手流星群やテラバーストで倒されて対戦プランが崩されるという,最悪の状況を作り出してしまう。

変化技も優秀で,挑発や両壁,電磁波でサポートに回ったり,瞑想や高速移動で積みアタッカーとして運用したりと,取れる戦術も多い。

同タイプの特殊アタッカーの立場を食い尽くす超火力と,エレキフィールドや豊富な補助技による絶対的な汎用性が,ミライドンの最大のセールスポイントである。


このように,凄まじい汎用性と超火力を持つ,正に最強格に相応しい禁止級ではあるが,それでも欠点はしっかりと持っている。

・火力をフィールドに依存している

ミライドンの超火力はエレキフィールドありきのもの。フィールドを奪われると途端にウルガモス程度の火力しか出せなくなり,決定力が大幅に落ちる。

グラスフィールドを展開するゴリランダーやオリーヴァは厄介な相手である。

・地面タイプを意識すると,型の選択肢が狭まる

いくらミライドンの火力が高いとはいえ,火力強化アイテムなしでは流石に地面をワンパンするのは難しい。

そのため,火力アイテムがないと途端に地面が苦しくなる。テラバーストで対抗できなくはないが,裏に任せた方が無難。

また,スカーフやチョッキを持った地面に上から倒される危険があるため,スカーフやチョッキがちらつく場合は一旦引っ込めざるを得ない。

超高耐久のディンルーも天敵である。

・フェアリーと地面のサイクルに弱い

電気は地面に,ドラゴンはフェアリーに無効にされるため,この2つのタイプで無効化され続けるとフィールドターンを稼がれて弱体化してしまう。

交代が読める場面では無効になる技を撃つ必要が出てくることも。

「目の前が見えていない立ち回り」と評されることもしばしば。

・不意の地面テラスに弱い

電気が等倍で通る相手に地面テラスで無効化され,テラバーストで狩られる,という露骨な対策を取られやすい。

・多すぎる同速勝負

ミライドンミラーやコライドン対面による同速が試合を分けることは日常茶飯事。一般だとパオジアンやハバタクカミとも同速になりがち(しかもタイプ上では不利)。

・ザシアンに弱い

素早さで上回るザシアンには上からじゃれつくで倒されてしまうため,初手でザシアンと対面してしまうとこちらからの切り返しがかなり難しくなってしまう。

テラスタルを切って無理矢理耐えることはできるが,それでも大きく削られてしまい,対戦テンポを取られてしまう上に,耐久に降らないとテラスじゃれつくを耐えられない。

ザシアンと鉢合わせることがないように選出や立ち回りを考える必要がある。

・流星群の特攻ダウンを利用されやすい

ボルトチェンジや蜻蛉返りで交代できるとはいえ,流星群の特攻ダウンを利用されて全抜きを許す可能性は十分にある。


一致技への依存度の高さや天敵となりうる戦術の多さから,技選択やPTでの役割をしっかり意識して運用する必要がある。

とはいえ,それらの欠点を考慮しても,一致技の超火力とエレキフィールドによる催眠対策の両立は,他の禁止級には絶対に真似できない芸当であり,禁止級PTでは採用しない理由がないポケモンである。

その絶対的な汎用性から,Sランクの中ではPTにおける採用価値は最も高いと言えるだろう。

フル禁伝PTを作るならまず最初に入手,育成することを強く推奨する。


ミライドン育成論