以前の記事で紹介した禁止級キャラランクについて,今回はDランク,現SV環境ではスペック不足である禁止級伝説について解説する。


禁止級伝説キャラランクはこちら


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ギラティナ(アナザーフォルム)

タイプ ゴースト,ドラゴン

特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)/テレパシー(味方からの攻撃を受けない,ダブル専用)

種族値 H150 A100 B120 C100 D120 S90 T680

専用技 シャドーダイブ(威力120命中100PP5,2ターン目に攻撃,技使用後は相手の攻撃は当たらない※,相手の守りを無視して攻撃


※技使用後→1ターン目にギラティナが先攻の場合はそのターン,後攻の場合は次のターンに相手の攻撃が失敗する。相手に影響を及ぼす変化技も同様に失敗する。


4世代の第3伝説枠であり,最初にフォルムチェンジによる強化を得たポケモン。(フォルムチェンジ後は後に解説)

不遇な禁伝と言えばまずこのポケモンが思い浮かぶプレイヤーが多いのではないだろうか。

特に一般ポケモンのドラパルトとタイプが被り,あちらが素早さが高く補助技が豊富なこともあって,「ギラティナ使うならドラパルトで良くね?」という評価を下されがちであった。

実際は耐久が雲泥の差であり運用も全く異なるため,差別化の必要は薄い。ダイマックスがなくなったことで,ゴースト技の使い勝手はこちらが勝っているため,ギラティナはゴースト,ドラパルトはドラゴンとしての側面が強くなっており,棲み分けはできている。


アナザーフォルムはH150BD120という超耐久を活かし,瞑想やテラス呪いで要塞化する型が主流。

補助技も電磁波,痛み分け,吠える,鬼火,うらみ等かなり豊富でサポートもこなせる。シャドーダイブ+うらみでPPを枯らす戦術も使える。


しかし,以下に示すように欠点も多い。

・深刻な火力不足。瞑想を積んでも抜群相手に確2が取れないことが頻繁にあるレベルであり,殴り合いで競り負けることも。急所にも弱い

・呪いについても,積み技で使うならテラス前提なため,立ち回りを制限されやすい

・補助技や要塞化による詰ませ性能に頼っていることから,挑発や吹き飛ばしに滅法弱い

・高速再生技を覚えないため耐久力をいまいち活かしづらい

・禁伝相手の場合は高火力アタッカーを受けきれない場面が多く存在


このことから,一般準伝相手を積ませるスペックはあるが,火力不足が足を引っ張っていると言える。Eランクに比べるとまだ独自の強みはあるが,やはりスペックが色々と惜しいポケモンである。


型サンプル

食べ残し瞑想型

図太いH252B60S196 フェアリーテラス

技 シャドーボール,波導弾,瞑想,身代わり

瞑想と身代わりで要塞化。

鬼火祟り目でもいいが状態異常を無効にしてくるポケモンが増えたため厳しいか。





ゼクロム

タイプ ドラゴン,電気

特性 テラボルテージ(特性貫通して攻撃)

種族値 H100 A150 B120 C120 D100 S90 T680

専用技 雷撃(威力130命中85PP5,2割麻痺)

クロスサンダー(威力命中100PP5,クロスフレイムの後に威力2倍)


5世代パッケージ伝説。

前作ではダイマとの相性がよく,最強クラスの禁伝であった。

今作も竜舞は健在,ステロ吠えるも覚えサポート性能も上昇。

しかし,以下の理由から今作ではかなり厳しい立場にある。

・強い地面が多く,電気技が刺さりにくい。特に赫月ガチグマやディンルー等にはサポート型でもステロ撒くぐらいしかできず,仕事量がイマイチ

・テラバーストで地面に弱点を突けても倒せず,場合によっては返り討ちに遭う

・竜舞型なら電気技を使えて地面タイプにも一致氷技で大打撃を与えられるブラックキュレムで良い

・特殊物理の違いはあるが,同タイプで汎用性や火力で大きく勝るミライドンの存在が痛い(あちらは超火力竜技で地面にも対抗可能)


竜舞を積めれば十分なスペックはあるが,環境が大逆風で活躍がかなり難しい。

とはいえ,ブラックキュレム以上の火力の電気技を蓄電等を無視して撃てることによる対受けループ性能(特にヘイラッシャ入り)は評価するべき点である。電磁波がテラスなしでも無効な点も偉い。

地面がいなければ十分に活躍できるスペックは持っていると言えるだろう。


型サンプル

竜舞いかさまダイス型

陽気AS 水テラス

技 雷撃,スケイルショット,テラバースト,竜の舞

水テラバで地面への打点を確保した竜舞型。氷テラバはブラックキュレムの完全劣化に等しいため非推奨。積めれば強いが技外しはクソ。これでもガチグマやディンルーには勝てないため注意。


起点型

腕白H252B236S20 フェアリーor水テラス ロゼルの実,風船等

技 電磁波,ステルスロック,吠える,岩石封じorワイドブレイカーorボディプレス

ステロ吠えるの起点型。サーフゴーやキョジオーンに電磁波を入れられるのが強い。サポート寄りの攻撃技がしょっぱい。ボディプレはガチグマやディンルーをある程度削れるが,ゴーストタイプの挑発で止まる。



レックウザ

タイプ ドラゴン,飛行

特性 エアロック(天気の影響を掻き消す※)

種族値 H105 A150 B90 C150 D90 S95 T680

専用技 画竜点睛(威力120命中100PP5,自分の防御特防1段階Down)


※天候に関係のある特性や技の威力上昇を無効にする。日緋色の鼓動や晴れ古代活性の補正も後出しから掻き消す。


3世代の第3伝説枠。

デザインの優秀さからメディア作品では引っ張り凧であり,強力でカッコいいポケモンというイメージが強い。

技範囲が非常に広く,物理特殊ともに多くの攻撃技を備える。特に神速は大きな個性であり,今作ではノーマルテラス+神速のコンボが可能になった。地味に蜻蛉返りを新規習得しており,拘り鉢巻との相性も良くなった。

変化技も優秀で,竜舞剣舞等の積み技,電磁波やステルスロック等のサポート技を備える。

特性エアロックが地味に優秀で,上記の通りコライドンや古代パラドックスの戦術妨害も可能。


最大の欠点は中速両刀配分による数値不足。以下に紹介するようにこの欠点はかなり大きい。

・物理特殊読めない点は強みだが,どちらかに偏らせると実質種族値が大きく下がる

・素早さが中途半端でウーラオス等メジャーな中速を抜けないのが痛い

・当然耐久も禁伝の中では低く,テラスタルである程度補えるとはいえ結局襷が安定になってしまうレベル

・火力面ではコライドンやミライドンといった超火力ドラゴンには到底及ばない。ノーマルテラス神速もタイプ一致で撃てるアルセウスの方が強力


貴重な地面無効枠で多くの型が考察できるものの,両刀配分による数値不足が足を引っ張っている印象。

とはいえ天候阻害能力は馬鹿にできず,上手く積み技を使えれば全抜きも夢ではない。それなりのポテンシャルは持っていると言える。


型サンプル

ノーマルテラス竜舞型

陽気AS ノーマルテラス 気合いの襷,命の珠,ラムの実等

技 画竜点睛,神速,地震,竜の舞

物理レックウザのオーソドックスな技構成。

隙を見て竜舞を積み,全抜きを狙う。

ハマれば中々の制圧力を誇る。


鉢巻型

意地っ張りAS ノーマルテラス

技 画竜点睛,神速,地震,蜻蛉返り

ノーマルテラスで鉢巻神速の火力を押し付ける。

アルセウスやカイリューとの差別化点は,蜻蛉返りで不利対面を抜け出せる点。

陽気では火力不足。



月食ネクロズマ

タイプ エスパー,ゴースト

特性 プリズムアーマー(抜群技の威力を3/4で受ける,特性貫通の効果を無視する)

種族値 H97 A113 B109 C157 D127 S77 T680

専用技 フォトンゲイザー(威力命中100PP5,相手の特性を無視して攻撃,攻撃が高いと物理技,特攻が高いと特殊技になる)

プリズムレーザー(威力160命中100PP10,反動で次のターンは動けない)

ルナアーラの専用技,シャドーレイも習得可能


7世代の第3伝説枠のネクロズマが,ルナアーラと合体した姿。

最も不遇な禁伝としてこのポケモンを挙げるプレイヤーも多いのではないだろうか。

ルナアーラと同じタイプでありながら,特性,種族値配分,技の種類で大きく劣っており,ルナアーラの劣化という扱いを受けてしまいがちであるためであろう。


しかし,今作ではテラスタルによって耐性を変えられるようになり,3倍弱点を消しつつ,新たに生まれた弱点も1.5倍で受けられるようになったことで,特性を活かしやすくなった。HPが削れても,ルナアーラと違い特性が腐らない。

そして,ルナアーラが覚えない鉄壁やアシストパワーを活かした要塞アタッカーとして活躍が見込めるようになった。

ハマればなかなかのゴリ押し性能があるため,他の不遇禁伝と比べて十分過ぎる活躍が見込める。

黒バドレックスとは耐久力で差をつけており,運用は全く別物となっている。


ただし,強い型がアシストパワー要塞型に限られること,今作のルナアーラがそれ以上に強いことが原因で,今作も一線級での活躍は難しいと思われる。こればかりは相手が悪すぎると言わざるを得ない。


それでも,今作のシステムに救われ,最弱候補から完全に脱却したのは事実。活躍させるなら今だ。


鉄壁瞑想アシパ型はこちら



ホワイトキュレム

タイプ ドラゴン,氷

特性 ターボブレイズ(特性貫通して攻撃)

種族値 H125 A120 B90 C170 D100 S95 T700

専用技 コールドフレア(威力140命中90,2ターン目に攻撃,30%で相手を火傷にする)

レシラムの専用技,クロスフレイムも習得可能


5世代の第3伝説枠のキュレムが,レシラムと合体した姿。

非常に高い特攻から広い技範囲で攻撃できる。

禁伝では唯一のフリーズドライ使いであるのも長所。大地の力やクロスフレイムと合わせると対応範囲が凄まじい。

環境に多い地面にも強い。


しかし,今作では少し扱いづらさが目立つ。

・高威力の扱いやすい氷技がなく,意外と火力不足に陥りがち。有用な技が威力が高くないものが多く,高耐久ポケモンが増えた現環境では力不足を痛感する

・主にパオジアン対策で,テラスタル等で氷を半減にされやすい

・耐性が微妙で,弱点が一貫しないテラスタルの候補が少ない

・ハバタクカミ等の天敵の登場

・特殊超火力ドラゴンとしてミライドンが登場したのがかなり痛く,あちらに氷テラバーストを搭載した方が扱いやすい


ミライドンの登場や氷技の絶妙な火力不足から,今作では中々厳しい立場にある。

とはいえ技範囲の広さは魅力的であり,フリドラも刺さる場面が多いことから,上手く技を通せる状況であれば活躍は見込めるだろう。


専用技は完全に使い道のないネタ技。こちらを強化すれば火力不足の改善につながると思うのだが…。


型サンプル

スカーフ型

臆病CS テラスタイプは炎,水,ステラ等

技 フリーズドライ,大地の力,流星群,@1(シャドーボール,クロスフレイム,冷凍ビーム,絶対零度等)


中途半端な素早さを補うスカーフ型。

交代読みが上手く決まればザシアンにも勝てる。


以上がDランクの解説である。

現環境ではスペック不足だが,強みを上手く引き出せば十分な活躍が見込める,上級者向けのポケモンと言えるだろう。