2023年も終わりということで,現時点でのポケモンSVの感想・評価について話す。


・ストーリー

 本編のストーリーは,歴代と比べてもボリュームがあり,完成度もかなり高い印象であった。3つの物語がすっきりした形で締められており,その後の隠しストーリーも序盤の伏線をしっかり回収しつつ熱い展開になっていて,ストーリーとしてしっかりまとまっていた印象である。

 ただ,伝説ポケモン,コライドンorミライドンの扱いは個人的にはあまり良いとは言えなかった。仮にも禁伝のポジションであるにも関わらず伝説の威厳が感じられない相棒個体,印象が非常に悪くなってしまっているもう一体の個体。どちらも禁伝としての扱いは不満が残る形となってしまった。

 とはいえ,全体的に見れば,アローラ作品や剣盾より遥かにクオリティの高いストーリーであったと思う。


 一方,DLCのストーリーは,個人的にはかなり微妙な印象であった。

 前編の時点でストーリーがわかりづらいという印象を受けた。全体的に中途半端に長く,締まりも悪いという印象であった。

 後編は,四天王やライバルのスグリをはじめ登場人物の印象があまり宜しくなかった。その上に,一番のキーポケモンであるテラパゴスやエリアゼロの秘密について殆ど掘り下げがなされておらず,非常に中途半端な終わり方になってしまった。新パラドックスをスグリが従えて挑んでくるという展開もなく…。

 DLCについては両バージョンで買う意味はかなり薄いと思われる。


・育成面

 はっきり言って,対戦への敷居は非常に高い。

 まず,テラレイドバトルの難易度(特に星5以上)が高い。報酬は星5以上であればそれなりに良いため,レイド用のポケモンが揃えばまだ良いのだが,揃えるために非常に時間がかかる。レベル上げも非常に大変であり,星4以下は報酬が微妙すぎることもあり,対戦環境を揃えるにも一苦労。

 アイテムの多くがお金で買えたり,王冠がレベル50で使えるようになったのは良い点と言われている。しかし,金稼ぎ用のポケモンを揃えるにもまた時間がかかる。しかも効率的に稼ぐには連射コントロールが必要という…。

 極めつけは,テラスタイプ変更のテラピースが多く要求されることである。これは本作最大の問題点である。要求量は50個。一回のレイドでの入手量は星5でも4つ,星3に至っては2つ。明らかに供給が間に合っていない。初期はバトルチーム登録時にセーブされないことから,テラピースを節約できたが,その仕様も無慈悲に修正された。碧の仮面の図鑑を全て埋めればテラピースが増えるお守りが貰えるが,それでも足りない状況が起こりうる。道具入手や道具プリンターで少しずつ改善傾向にあるが,ハピナスレイドを保存したロムは現在でも必要と言われている。

 総じて,ポケモンの育成にはそれなりのリアルマネーと時間が必要であるため,対戦を始める前に自分の時間や懐事情をよく考えた方が良いだろう。


・対戦面

 当初は過去作技が使用不可であり,多くの禁伝が涙を流すことになったが,碧の仮面で吠えるの技マシンが復活したため,現在は過去作技の没収による影響は少ない。特に吠えるの復活は大きく,この技マシンのためだけにDLCが必須と言われるレベルである。…と思いきやDLCで追加された禁伝から電磁波が没収されまくってしまい,ここに来て過去技使用不可の影響が出ている。ただ,過去作技が使えればダブルウイングカイリューや小さくなるラッキーが使えてしまうため仕方ないかもしれない。

 

 新規禁伝のコライドン,ミライドンは,元のタイプの評価はあまり高くないが,テラスタルとの相性の良さやエレキフィールドによる汎用性の高さによって,禁伝PTに必須と言われる程強力なポケモンとなった。

 テラパゴスは,テラスしないと数値不足,テラス後の特性も弱く,配分も飛び抜けて良いわけではない等欠点は多いが,テラス前の特性やテラス後の耐久の高さが評価されている。ただし,コライドンやミライドンに比べると明らかに性能が抑えられており,今後の活躍にはそこまで期待できないといったところだろう。

 内定した禁伝では,ザシアンとザマゼンタの弱体化が話題となった。ただし,ザシアンは環境上位の一般ポケモンへの刺さりの良さ,ザマゼンタはボディプレスの獲得により,現在でも一線級の実力を持つ。黒バドレックスがテラスとの噛み合いの良さから猛威を振るう,万能ポケモンアルセウスが強化される等,既存ポケモンは禁止級環境にも大きな影響を与えている。

 

 テラスタルの対戦環境は,正直クソと言っていいだろう。びっくりテラスによる奇襲は勿論,相手のテラスを読んで技を選ばないといけない点がゲーム性を大きく歪めてしまっている。特にカイリュー等相性の良いテラスが複数あるポケモンと戦う場合,テラスしない選択を含めて一回でも技選択が噛み合わなければ即負けに繋がってしまうのだ。

 一方,こちらも禁止級の数値を盾にテラスによる奇襲や制圧を仕掛けることができる。前作と違い,テラスの仕様で能力が上がることはないため,禁止級の数値は押し付けやすい。しかし,そもそも一般ポケモンに禁止級に匹敵する数値のポケモンが増えたため,テラスも含めて禁止級との力の差は前作と同等かそれ以上に狭まっている。


 総じて,対戦環境は控えめに言って好みが分かれるものとなっている。しかし,剣盾やUSUMはマッチングがほぼないので,対戦をしたいなら必然的にSVでやるしかない。前述の敷居の高さも含めて,対戦を始める前にしっかり考えるべきだろう。


*総評

 かなり残念な作品。Switch作品ではBDSPに次ぐ黒歴史という評価になってもおかしくない。

 前述の問題点以外にも,公式大会でバグや不具合が大量に発生しており,ユーザーを舐め腐っているとしか思えない。ユーザーをコケにした姿勢は,BDSP発売発表の頃から顕著になっているが…。更に,現在でも切断バグが発生しているとのこと。

 これらの不具合が発生しているという事実は,ユーザーだけでなく,ポケモンSVとのコラボを引き受けてくれた方々(初音ミクとその関係者やYOASOBI等)に対しても非常に失礼と言えるだろう。


 個人的には,好きなポケモンと一緒に対戦したい,好きなポケモンを愛でたい人にはおすすめだが,そうでない方には無理にはおすすめしない。


 それでも伝説厨として活動したいのであれば,我々はいつでもお待ちしております。可愛い禁伝たちを愛でるのは楽しいですよ😀


 それでは,良いお年をお迎えください🎍