失くした友達 | 想いのままに ~レフアのひとりごと~

想いのままに ~レフアのひとりごと~

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大好きなひと  大好きなこと  大好きなもの にかこまれて
日々をすごす中での幸せをつづります


某宗教団体をめぐっての銃撃事件から、

政治家との癒着問題が明るみになり、

国会でも大きく取り上げられ、

マスコミでも大波乱の様相をみせています。



遠い昔…


私が短大の学生だった頃、

この宗教団体に大切な友達を奪われました。


最近では思い出すことも少なくなっていた昔の話。


ここにきて、ニュースで取りざたされるたびに、

さまざまな思い出が甦ってきて、

胸がきゅーんと痛くなります。


あの時、何もできなかった私…


思い出を振り返らせてください。






☘️☘️☘️☘️☘️






短大の幼児教育科に入学し、ほどなく5人ほどの仲良しの友人グループができた。


その中のひとり、ハルコ。


雪深い街の出身だった彼女は、

その地域の人特有の、

口数は少ないけれど、辛抱強く、

優しく温かな心の持ち主だった。


その頃、こんな言葉があったかどうか忘れてしまったが、


「ピュア」


雪のように真っ白で、純粋な女の子。


ピュアという言葉が、ハルコを表すに一番近い言葉だったように思う。



学校のあった○市に就職していた兄と一緒に、

ハルコは同じ市内のアパートに住んでいた。


無口な彼女から、実家のご両親の話を聞くこともなく、

同居しているお兄さんの話をしたこともなく、

ましてや、過去の話なども聞くこともなく…


ハルコは自分の話をすることもなく、

いつもニコニコと笑って、友達の話を聞いていた。


今になってみると、彼女について詳しいことは何も知らなかった私がいる。



短大も2年となって、

卒業研究や、実習に忙しく時間を費やすことが多くなっていた頃、

ハルコの様子が以前と少しずつ変わり始めたことに、皆が気づいていた。


細かいことは憶えていないが、

何かのサークルに入って勉強していると。


ウキウキとその様子を話すハルコの顔は、

とても明るく生き生きとしていて、

普段自分の感情を表に出すことが少なかった彼女のそんな変化は、

私たち仲間にとっては嬉しい出来事ことだった。



けれど、そんな嬉しい変化は一時のもので、

ほどなくして、ハルコは授業を休みがちになっていく。


たまに学校へ来たかと思うと、深刻な顔をして、

さまざまなこの世の「憂い」のようなものを呟いていることもあった。


ある日ハルコが授業の合間に、こう言って見せてくれたものがある。


「私にとってこの世で一番大切なもの。これを持っていると幸せになれるの。おねがい


大事そうに包んだ袋の中から出てきたものは、


印鑑…


だった。





「霊感商法」


あの頃は、その問題がまだ、大きく取り沙汰される前だったのだとは思うが、

事の重大さを薄々感じ始めた私たちは、

信頼できるシスターに相談した。


そこからわかってきた事実…



市内の一番の繁華街にあるスクランブル交差点で、

アンケートを取る目的で、若者を勧誘する団体があること。


そこからすぐ近くの事務所に連れて行き、

「真理研究会」なる勉強会を開いていること。


いわゆる「カルト教団」が関係し、そこにいくと洗脳される危険性があるから、

絶対に近づいてはいけないこと。



恐ろしい事実を突きつけられて、

私たちは震え上がった。


何故、ハルコがそんなところと関係を持ってしまったのか。


あんなに優しくて、穏やかで、

純粋そのものな女の子なのに!



今思えば、

「だからこそ」

信じてのめり込んでしまったということもわかるのだけど。




私たちがその事実を知る頃、

いよいよハルコは学校に来なくなっていた。


ハルコに会いたかったけれど、

やっと調べて訪ねていったアパートでも会うことはできず、


「ハルコを取り戻しに行こう!」


そう意気込んで、

その団体の事務所に乗りこもうとしていた私たちに、


「絶対に行ってはいけません!関わってはいけません!」


シスターに強く諭され、

私たちはそれを断念した。




心配で、

でも何も出来ず、

ただ時だけが過ぎていった。



夏が過ぎ、

秋になり、


就職活動が始まり、いよいよ忙しくなってきた頃、


「ハルコさんが退学しました。」


担任からその事実を聞かされ、

私たちはなすすべもなく、ただハルコの無事を願うことしかできなかった。













ハルコは、このすみれのような女の子でした。


私の中では今でも、あの19歳の時のままです。


そして、私の中のハルコは、

いつでも優しく笑っています。



けれど、ハルコのその笑顔の裏にある闇のようなものを、

若かった私たちは、

わかってやることができなかった…


「友達」だったのに、

何もしてやれなかった…



そんな悔いがずっと残っています。



突然、

私たちの前から姿を消してしまったハルコ。


実はその後もハルコの物語は続くのですが…


長くなってしまいそうです。


続き、また綴らせてくださいね。