皇族に関する限り、戦前と戦後ではむしろ戦後の方が、男女同権からは遠ざかっている。
皇位継承が男系の男子と定められた頃、皇室には天皇の世話をする女御という役職の人が多くいて、女御のトップが皇后で、元は公卿の娘であったりするが、皇后になるとほかの女御から仕えられる存在ともなるが、天皇に仕える女御でもあることにはかわりがない。女性の地位が低いので、女性の天皇というのは考えづらかった。
天皇家の生まれである場合、元々は親王や内親王という称号は、即位しなければなれないものであったので、親王や内親王の地位は高く、男女同権であったといっていい。結婚する場合は、相手は原則的に皇族か、もしくは許可を受けた華族であり、男も女も変わらなかった。男の場合は妻が皇族となるのに対し、女の場合は配偶者の身分と同格になったが、相手が皇族の場合は皇族身分であり続けたし、夫が皇族外の場合は夫と同じ身分となったが、天皇の許可があれば、なお内親王や女王の称号を帯びることがある、と旧皇室典範は規定していた。
これが今では、男子は結婚しても皇族であり、女子は結婚すると皇籍を離れることが強制されていて、昔は女性の場合、相手が皇族ならば皇族身分であり続け、皇族外の場合は皇籍を離れるが勅旨により内親王、親王の称号をなお帯びることがある、とする規定に比べて男女同権からは遠ざかっており、つまり皇族であり続けようとすると未婚でいなければならない、さもなくば皇族を離れる、ということになっている。
これが時代に合わない。天皇陛下もいずれは年がいくのであるし、その場合に娘が内親王として公務を負担してもらう方がいいのに決まっている。秋篠宮家であっても、皇室典範に従う限り、悠仁親王に皇位継承の順位がまわってくる。上の姉は嫁いでアメリカに行っているかもしれない。下の姉は天皇陛下の姉として公務を支えてもらいたいとは思う。
結婚して外から皇族に女性を迎えても、若くても20代以上になるだろうから、生まれた頃から皇族の育ちの人とは、差があって当然であって、これを継承していくことが必要であると思う。
皇室の行事などは宮内庁もあるのだから、維持できても、今は内親王は3人しかいないのだし、みんないなくなっては天皇一人いれば皇室というものを維持するのは難しいのではないか。
ということをふまえて、いわゆる「女性宮家」を考えた場合、方法は3通りあって、そもそもの目的は、女性皇族が結婚後も公務を行うことができるようにすること、なのであって、そこは共通している。戦前の皇室典範を準用して、結婚後も内親王または女王の称号を帯びるとすれば、それで十分であるように思うが、1.本人は皇族で夫子供は皇族でない 2.本人は皇族で夫子供は皇族に準ずる準皇族(意味は、皇族でないという意味になる)であり、皇族扱いはされるが、皇位継承順位はない 3.夫子供を皇族として皇位継承順位ももたせる この中から選ばなければならない。しかし、2.にしようとしても、夫はともかく、生まれた子には皇位継承という話が起こるだろう。結局、2.にすることで、3.になってしまう。そもそも皇位継承順位がない宮家を公費で賄う意味はない。
ここに男女同権で例えば長子相続などとすると、これまでの明治以降の天皇ですら、「新しい法律に従うと天皇ではなかった」などと解する余地を与えてしまい、天皇が天皇であり得る根拠がぐらつく。天皇の娘とか、天皇の姉とか、極めて天皇に近い血筋の人を皇女としての資格を残しつつ、国民の中で皇統の生まれであると考えられる人を皇位継承者としていく努力が必要と思う。
例えば悠仁親王が皇位を継承するとして、その時息子がいれば息子が皇太子となる。もし皇太子がいなかった場合、女性女系をいう人は、皇女がいればそちらにできると思うかもしれないが、まだ相手もいない状態で、男をもうけるのも女をもうけるのも労力は同じなので、女にすれば解決するということは言えまい。すると、その時点で皇太子がいなかった場合は、伏見宮家などの旧宮家のうち、新天皇が即位した時点で生まれている最も年下の男子を次の天皇とすればいいのではないか。
日本人的には普通の家だと思って生きていたら、物心ついたら、普通の家とは違っていた、みたいなのは好きだと思われるので、うまくいくと思う。
2020/10/11