ラブロフ外相は、北方四島は第二次世界大戦の結果、合法的にロシア領となったと認めるべきであるといっているが、これは、日本が、不法占拠であるという主張をしているので、これを撤回するように、と言っているのである。
日本は中立状態にあるのにロシアが攻めてきたとか降伏したのに島を占領されたなどというが、実際には満州などでソ連と日本は交戦状態に入っており、戦闘を終結させるべく日ソ共同宣言がなされたわけで、中立なのに不法に占領されたわけではない。領土問題を解決するには平和条約を締結しなければならないが、平和条約とは戦後の講和条約のことなので、中立状態であれば講和条約もないので、領土問題の解決もないことになってしまう。戦勝国が被占領地域に軍を駐留させるのは、不法、違法とはいえず、それが長引いているだけである。もっとも、まだ講和条約がないので、ロシア支配に法的正当性が生じているともいえないが。
固有の領土とは何なのかということは、固有の領土とは、本州、四国、九州、北海道のことである(ポツダム宣言第八項によると日本の国土は連合国が決めるのである)。本州、四国、九州、北海道ではないが、これと同等と認められた地域は固有の領土ともいえる。たとえば、淡路島、佐渡島など。もしくは、対馬や奄美大島も、含まれるかもしれない。
対馬は外国が駐留したこともあるが、日本固有の領土には変わりがない。国後、択捉は、戦後一貫してソ連またはロシアの施政下にあるので、外国になったことがない地域が固有の領土であるという説明をすると、固有の領土ではない。日本にとっては、対馬や奄美大島のような島だから返還を求める、という意気込みはいいが、論理は破綻している。
連合国にソ連を入れると、ロシアが認めないのなら、北方四島は日本領でないことになる。しかし、日ソ共同宣言には、平和条約締結後に、歯舞色丹については日本国に引き渡す、と明記されているのだから、鈴木宗男氏がいうように、平和条約を締結すれば、ロシアは日本に歯舞色丹を引き渡してくるのではないかな。疑ってかかるから、実現しないのだ。
このことは、これ以上、議論する余地がない。議論するほど、日本が相手を信用していないことになる。
そうすると、国後と択捉の帰属の問題だけを解決すればいいことになる。国後と択捉の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、ことが北方領土問題の解決ということになる。
日ソ共同宣言には、国後と択捉については記載がない。議論にならなかったわけではないと思う。ロシアは、「平和条約を締結しても、ロシアは日本に国後択捉を引き渡さない」と解したいのだろうが、そうも書いてない。
日本は、国後択捉を、対馬や奄美大島のような島と解したいのだろう。しかし北海道も江戸時代までは蝦夷地であり、外国人もしくは異民族の地で、蝦夷地の先に国後島や択捉島があった。ロシア船舶ともめることもあった。ロシア式にいうと、南クリル諸島の帰属の問題ということになるが、第二次世界大戦中に旧ソ連はここを占領したが、日本とロシア間には戦後の講和条約がないので、国境が確定されていない。
まあ、ロシアに対し、南クリル諸島は日本がロシアに対し割譲を求めている、と周知してもいいのでないか。そうなのだから。あまり誰も言わないけど、東西冷戦の結果、ロシアが領土問題の話を、少しでもしてくれるようになったのだ。
平和条約についても、日本がロシアとの交戦を想定して平和条約締結をめざしているわけではないだろう。むしろ平和条約はロシアにとっての利益があることで、つまり日米安保体制下でアメリカが実際の戦闘には至らなくてもロシアに対して、軍事的な示威行為で軍を展開してくることもある。日本はこれに同調して補給や後方支援をするだろう。しかし日本とロシアに平和条約があれば、日本は平和条約を理由にアメリカへの協力を拒むかもしれないし、ロシアに有利になるように行動してくるかもしれない。したがって、プーチン氏も日本との平和条約は締結できた方がいいという姿勢を一貫して示している。
第二次世界大戦の結果、東西冷戦となったので、その結果を受け入れて、ロシアが領土問題には慎重な姿勢を示していることは理解できる。なので、国後択捉の帰属の問題を解決すれば平和条約を締結する、とした上で、何らかの譲歩を示してくればそれでいい(万が一、国後択捉については一切譲歩できない、そのかわり、歯舞色丹については予定通りだ、と相手がいうのなら、これを拒んだ場合は二度と返還はないことにもなる。)。
本来は軍を展開して占領しなければいけないところを、外交交渉で解決しようとしているのだから、かんたんには行かないだろう。しかし、国後と択捉の帰属の問題に言及しないことには、この問題は解決しないのではないか。