「レンジな男」

深夜のコンビニ。

ふけ顔の20代男性が、レジで店員に

「シャンプー」を手渡してこう言った。

「これ、温めてください」

女性の店員(アルバイト)は、呆気にとられた。

「は?!」

男性は真顔で言った。

「いや、だから、これ温めてください」

女性店員は、苦笑いをしてもう1度、尋ねた。

「これ・・・、温めていいんですか?」

男性ははっきりと口調を整えて、言った。

「はい、3分温めでお願いします」

店員は、少々戸惑いながら、電子レンジにシャンプーを

入れた。

そして、3分の間、中で動いているシャンプーが気になって仕方なかった。

「チン!」

音が鳴り、店員は取り出そうとした。

「あつ!あちちちち!!!」

シャンプーの表紙は少し黒んずんでおり、

湯気が立ち込めていた。

男性客は、袋は要りません、と言われてもないのに答えた。

店員は、側にあった布巾で、シャンプーのノズルを掴みながら

男に渡した。

男は、何事もなかったように、お金を払い、

コンビニを後にした。

シャンプーは、その後、冷やして使ったのだろうか?

店員はそんな想像をした。

男は、シャンプーを温めては持ち帰る、

熱い、いわばレンジな男であった。

「夢は誰かの両手にしっかり」



キャバクラ嬢の由香は、男性客を見て言った。


「あぁ、また自慢ばかりしてる。


家庭に帰っても、奥さんも子供も誰も自慢話を聞いてくれない


からだろうなって勝手に想像するの。


心にぽっかり穴が開いてる感じ」



心にぽっかり。


心にぽっかり。


奥さんのこと忘れて、うっかり。


でも、女の子の腕を組んだりなんかして、ちゃっかり。



心にぽっかり。


心にぽっかり。



彼女は最後にこう言った。


「相手のこと、真剣に喜ばそうと思えないから


心にも穴が開いちゃうのね」





「萌えって言われたくないんです!!編」



自分を過小評価してる女の子って、


予想以上に多そうですよね。



どうせモテないって思ってると、ホントに男が寄ってこなかったりとか。


どうせ私のレベルが低いから、次のフィギアスケートの試合も勝てる


わけがないと思ってたら、ホントにあっさり負けたり。



これは自分自身にも言えることだけど、「どうせ・・・」と口ずさむのは


どっちにしても悪い方向に向かうと思う。



それより、「私には(例えば)飽きやすい短所があるけど、


それって、頭の切り替えが早いってことね」って思える子のほうが


上手くいく。



「本当はもっと背の高い女性になりたいのに、今もこんなに


小さくて、萌え系って言われて・・・」


と小さく自分を責めても、何も発展しない。



「もっと小さくてかわいいって言われるようになろう」とか、


「この前、萌えって言われたし、私はその路線でいこう」と思えるのは、


まさに可愛さ余って、萌え100倍ですもんね(笑)



「手の届かないほどかわいい存在」、と相手から憧れられるのは、


自分自身の評価と、相手から見た評価を合わせるって


ことなんだろうなって。



つくづく思いました。


てことで、堂々と萌えましょう(笑)





サハラ砂漠を買った。2度、買った。


お金持ちになったイメージをしていた。


砂漠を買って、砂を甲子園用の砂袋に入れて、


自宅に持って帰るのが、夢のまた夢だ。



サハラ砂漠を買った。3度、購入した。



(注) サハラ砂漠の一部ではなく、全体。

    砂は、適当に袋に詰める。

    どこの地方とか、どの方角の砂だとかは、あまり関係がない。

    買えるだけで満足。


「褒められたいのだ!」



嫌な上司を褒めてあげると、


何だか、自分まで嬉しくなってきてしまう。


意志とか、行動、知識がどんなに優れていても、


相手の見方を変えられらないのなら、何も変わることはない。



器の小さい人が、誰かの短所を口やかましく愚痴る姿を見た。


それは、彼に見方が足りないのだ。



長所や隠れた才能を探すためには、


もっと懐の深い部分まで見ようと意識しないと見えない。



そして、人間のいい部分を見つけようとすること、


それこそが現実であり、「今」という時代への適応能力である。



自分は、もっと誰かに褒められたいと強く思う。


褒められて、褒められて、ガキんちょのような吸収力(夜用スーパー)


でもっと伸びたいと思う。



だからこそ、相手をもっと褒めてあげられるような


人間になりたいだけである。







難しく考えるのを、もうやめた。


単純に世の中を肯定。


少年は、童貞。



男なら誰でも童貞の時なんてあるじゃんと思う。


それと同じで、


認めようと思う。


って考えてたら、心の中がすっとして、吸い込む息が


清清しくなった。



好きなものを好きと言える。


そんなカッコイイ男になりたいと思った。






「盲目の春風」



涼子は結婚式場で振り向きざまに言った。


「ここにいるのに、なんで気付かないの!?」


語気を強める彼女の姿がそこにはあった。


一見、どこにでもある風景かもしれない。


けれど、僕にとっては、それは夢の再現だった。



彼女と知り合ったのは、今から3年前。


予備校の仲間から紹介してもらった人だった。


当初、彼女も司法試験の「都城予備校」の学生だと


思っていた。


友人の比呂人は、何言ってんだよ、と僕の肩を叩く。


「彼女は、今、OLやってんだよ。中学時代からの友達で


俺の学校では美人で有名だったんだよ」


僕は、彼女に対して、幾分かの偏見を持っていたのかもしれない。


勉強はできないかもしれないけど、話しっぷりや外見からも弁護士


にもなれるほど賢明な女性だと思っていた。



しかし、比呂人曰く、どうやら彼女は高校も途中で辞め、


17歳からずっと働いていると言うのだ。


彼女は、初めて出会った時、一瞥してこう言った。


「2人とも馬鹿なことばっか言ってないで、ちゃんと勉強したら?


そんな調子だと落ちるに決まってんじゃん」



比呂人と僕は同じタイミングで、お互いに顔を見合わせ、笑った。


彼女は目鼻立ちがはっきりとしていて、男勝りなところがあった。


おまけに美人なのだから、涼子に彼氏にいない方が不思議だと


大抵の人は考えるだろう。


僕は、その時、彼氏がいるかどうか、聞かなかった。


いや、聞けなかったのだ。


彼女は、髪を掻き上げながら比呂人にぶつぶつと文句を言っていた。


仲がいいな、と思った。


比呂人は、その後、司法試験を断念し、今はサラリーマンとして


働いてる。


3年が経過した後、比呂人と彼女、それに僕の3人で頻繁に遊びに


出掛けるようになった。


すっかりサラリーマンになった比呂人は、スーツの裾を気にしながら、


僕に声を掛けてくる。


「俺、今度、結婚することにしたんだ」


春の風がビルの間を吹き抜けていた。


僕は、コートを両手で押さえながら、答えた。


「マジかよ、相手は誰なの?」


彼は、淡々と話した。


「同じ会社の人。写メで見たことあるじゃん?挙式は3月にするから、


お前も絶対来てくれよな!な?」


僕に断る理由などなかった。即決で、その日を空けることにした。


彼は、笑いながら「式で、なんかボケてくれよ。会場の人たち、


俺たちで盛り上げようよ。予備校の時の打ち上げみたいにさ!(笑)」



そう言って、彼は肩を組んできた。僕は、2言返事で承諾した。


アイツとは、予備校の頃から問題児で周囲に知られていた。


帰り際によくナンパをしたり、可愛い子を見定めては、


どっちが声を掛けるか、賭けをしていた。


途中で講義を抜け出しては、ゲームセンターに通った。


本当に、駄目な学生だと今でも思う。


ただ、その頃はその頃で楽しかったのだ。


しかし、今となっては、僕は未だに司法試験の勉強をしているし、


あの時の余裕のある表情は一切、消え失せていた。


遊び過ぎたことを振り返ってみても、きっと自分たちが悪いのだ。



涼子も3人で遊ぶことには、反対はしなかった。


彼女は仕事が休みの日にたまに会っていただけだから、


もともと僕らには無関心だったのだと思う。


ただ、僕の、彼女に対する尊敬やら劣等感やらを除いて。


僕は、感じていた。


彼女には、僕には惹きつける何かがあった。


そもそも、恋することに理由なんてなかった。


それが、一方通行だとしても好きになることに何の戸惑いもなかった。


比呂人に1度だけ話したこともあるが、


「中学からの友達だから恋愛感情なんて起こらねーし、


そんな浮いた話、彼女から聞いたこともねーよ」 と僕の話を邪険そうに


聞いていた。



そして、今年の春。


電話越しに比呂人が言った。


「今も涼子とは連絡を取っているから、結婚式にはアイツも呼ぶよ。


お前も久々会うだろうけど、色々とよろしく頼むよ」


何をだ?と僕は訝しげに彼の言葉を振り払った。



20代の結婚。


彼はモテるし、当たり前だと言えば、当然なのだ。


それに比べて、僕と言ったら、お金も未だに仕送りを貰っている


ただの予備校生である。


結婚など考える余裕もなかった。


そして、1日、1日が勉強の時間でいっぱいに埋め尽くされた。



結婚式当日には、新婦の由紀子さんと比呂人が純白のタキシードと


ドレス姿で控え室から出て来た。


彼は、僕の不慣れなスーツ姿を見て、


「相変わらず似合わねーな」と言った。


時間が迫っていたため、足早に席についた。



辺りを見回すと、涼子の姿はなかった。


「今日、来てねーんだ・・」


意気消沈している僕とは裏腹に、結婚式が始まった。


新郎新婦の入場、誓いの言葉を終えて、


僕はデジカメを片手に次のパーティー会場にも出席した。


会場は、普段の僕とはかけ離れたまったく別の世界で、


比呂人の会社の同僚から祝辞やら、出し物が用意されていた。



そして、席を立とうとした時、目の前に席に、ふとどこかで見かけた風な


綺麗な女性が戻ってきた。


僕は、その時、彼女が涼子だとは気付かなかった。式場を出る前までは。



彼女は、比呂人の中学時代の友達集団にいた。


涼子はずっと気付いていたらしいのだが、僕に声を掛けなかった。


後で聞いた話だが、僕がその場で気付かなかったことに腹を立てていた


らしい。


結婚パーティーが終わった時、比呂人と馬鹿話で挨拶を交わしていた時、


ちょうど隣に涼子がいた。


彼は、話の途中で唐突に言った。


「お前、後ろにいるの、涼子だよ!来てるって言ったじゃん、


もしかして気付いてなかったの??」


僕はたじろいだ。


彼女は、腕組をして、不貞腐れていて、こう言った。


「昔、よく遊んだ仲なのに、失礼だよ!」



僕は咄嗟に謝った。


「ごっ、ごめん!え?いつからいたの?」


お前も勉強のし過ぎで盲目になったんじゃねーの、と比呂人が


余計なツッコミを入れてくる。



彼女は、終止、怒っていたが、また仲間に紛れてしまい、


その後も会場を後にするまで話す事はなかった。



涼子は、結婚式会場が似合いすぎるほど、綺麗になっていた。


僕は申し訳ないことをした、と思った。



そして、帰りの電車に乗り込むまでの道で、ばったり彼女と会った。


彼女は、先程の語気の強い声で、のっけから僕に


ダメ出しをした。


僕は苦笑いしか出来なかった。


そして、彼女は次の瞬間、思わぬことを口にした。


「私も去年、結婚したの。まだ言ってなかったけど。


っていうか、連絡くらいしてよ!馬鹿!」


彼女のお腹が膨らんでいることに気付き、僕は愕然とした。


「その・・・そのお腹は?」


僕が突拍子もない愚問を投げかけたせいで、


彼女の憤りも冷めたらしく、投げやりに応えた。


「ホント、聞いて飽きれるわ。子供がいるの!出来た後で結婚したの!!」



僕は、この1年以上も何をしていたのだろうと思った。


彼女に、彼氏がいることも、結婚したこと、それに赤ちゃんが出来ている


ことすら、知らなかったのだから。


現実逃避傾向にあった自分。そして、司法試験の勉強以外のことを


すっかり気にしなくなった自分。


家族を守るひとたちの姿。


結婚を上げて幸せ絶頂の比呂人たち。



僕は、はっきりと自分が取り残された感覚に陥った。


そして、目の前にいる涼子は、結婚して子供もいるのだ。


自分を不甲斐なく、恥ずかしく思った。


それと同時に、悲しみが襲ってきた。


僕の状況を悟ったのか、彼女は、最後にこう言った。



「勉強頑張ってね。しっかりやれば、聡くんなら受かるよ。


私が保証するから」


そこには、母親としての涼子の姿があった。


僕は、お礼を一言だけぽつりと言うのが精一杯だった。


すぐに地下鉄の切符を買うと、足早に改札を通った。


背後では、彼女が手を振っていた。



僕はそれ以上、何も言うことが出来なかった。


「遅いよ、今更・・・」


ホームで電車を待っている間、彼女と過ごした3年間を


無意識的に振り返っていた。


切符を強く握り締め、歯を食いしばる僕が、車内の窓に映った。



自宅に戻る途中、ふと顔を上げると、近所の公園に桜が咲き始めて


いることに気付いた。



春一番の風が強く吹き付ける中で。


彼女のような強かさで。



新しい感情が、今、僕の心の中で弾け出そうとしていた。




「ガス抜きアナウンス」



「次は、原宿か、渋谷~。


原宿か、渋谷に停まります。


どっちかには停まります。


プシュー」





風景は、何も語らない。


けれど、好きになってずっと眺めていると、何かを言いたそうでもある。


沢山ある想いの中から、1つだけ切り取る。


そして、空に問いかける。


疾風は迷いを振り払う。


寡黙な彼は、静かに笑う。


笑えることを完璧だと思える。






後輩 「レフトハンド先輩、性格、変わってないっすね」


俺   「ああ。変わらないのが、モットーだからなぁ」


後輩  「でも、だいぶ老けたんちゃいますか?」


俺  「うん。そうかもね」


後輩 「あっさり認めるんですね」


俺  「受け入れるのは、大事なことだよ」


後輩 「昔のようなギラギラしたような目がないっすよ」


俺  「象みたいな優しい目をしてるから(笑)」


後輩 「なんすか、それ」


俺  「キレても意味がないってことだよ」


後輩 「丸くなったってことですか?」


俺 「そうだね。石でも角がとれれば、川に流れるようになるじゃん。

   川は、世の中の人。自然の流れに身を任せるほうが、

   無理はないし、そういう人間のほうが世間に求められる」


後輩 「媚売ってるようにも聞こえますよ」


俺 「そうかなぁ。自分らしさは、あってないようなものだよ」


後輩 「俺だったら、自分らしく生きたいって思うタイプですけど」


俺 「周りの人に生かされてる気がしてならないんだよ、最近」


後輩 「周り??」


俺 「例えば、親だとか、親友も、お前もそう。みんなにどっかで

   助けられてきたじゃん。例えば、失恋した時とか」


後輩 「ごっつありますね。俺にも苦い思い出が・・」


俺  「でも、誰かに電話したり、励ましてもらいたいんじゃん?

    そういう時って」


後輩 「確かにそうかも」


俺  「自分も沢山の人に助けられたから、助けたいと思うよね」


後輩 「ボランティア精神が旺盛っすね」


俺  「いや、別にボランティアだけでは終わらないよ。夢はもっと

    大きく持ってたいし」


後輩 「理想主義ってことですか?」


俺  「そうとも限らないよ。理想と現実の区別はつけるようにしてる。

    だけど、夢を見なければ、押し迫る現実だけしか見れないように

    なるよ」


後輩 「へえ」


俺  「だから、夢を創造するんだよ、ああなりたい、こうなりたいって。

    イメージするのは、誰でもどんな時でも出来る」


後輩 「変わってますね、先輩」


俺  「いや、至って普通。ただ、前向きになるのは、頭を使わないと

    出来ない。だから、難しいんだけどね」


後輩 「ふうん・・頭いいんすね」


俺  「誰でも、頭は使えるよ。ただ、みんな使いたいと思わないだけで。

    俺ね、基本は、でっかい夢を現実に変えていこうと思ってるだけ

    なんだよ」


後輩 「できればいいっす」


俺  「だから、俺が先示すよ。達成してからでもいいから、もし良かったら

    一緒に仕事やって、成功しようよ」


後輩 「美味しい話があればね」


俺  「全部、美味しいよ。ただ、今はお前も味が解かってないだけだよ」


後輩 「夢の料理人(笑)」


俺  「無添加、合成調味料なしで」


後輩 「何言ってんすか!よく解からない人だなぁ」


俺  「変わってないよ。俺は、子供だよ」


後輩 「そのほうが向いてるのかもしんないっすね」


俺  「童心に戻って夢を見て、現実に変える力を養いたいからね」


後輩 「そうっすか」


俺  「あっ、チンコ、かゆい!」


後輩 「(笑)」



夕暮れに肩を並べる、レフトハンドと後輩・リトルハンド。


2人の見ているものは、今は違えど、夢は誰でも描けるのである。


あとは、実現するだけだ。