罪の声を見たよ | ハニービーは六角形

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名言格言、詩に短歌に俳句に都々逸に。
またときには筆者の雑記、日記として。
それが読んでくださる皆様の『何か』となれば幸いです。

 

罪の声を見たよ

「罪の声」

塩田武士 原作

2020年公開の映画

 

 

 

内容はネタバレを防ぐために最小限に留める。

題材は昭和の劇場型犯罪

「グリコ森永事件」

 

この映画を見ようと思ったのは

私が朧気に覚えている事件で、それに興味があったからだ。

ちなみにこの事件は2000年を持って時効が成立している。

この映画は数々の憶測や仮説の中の一つとしても捉える事が出来る。

そして、何よりこの映画の着眼点が

脅迫に使われた録音テープに一番弱い幼気な子供達使われ、

事件後、それぞれどういう人生を歩んできたかを掘り下げるところを軸に

物語が進んで行く。

事件に巻き込まれ

軟禁状態から逃げだそうとした子。

軟禁状態から逃げ出した子。

何も知らずに大人になって知った子。

それぞれの人生が平成から令和という時代の狭間にはめ込まれて

しっかり描かれている。

 

私が思うにこの映画のような事は

表面化していないだけで

今、この日本のどこかでも起きているはず。

とても他人ごとには感じられなかった。

そのくらいにリアリティがあった。

考えてみると昭和という時代は64年もあるので

いろいろな事が起きている。

 

また私が小さな頃はいろいろな事が緩かった。

今の令和の時代では許されないような事は

昭和では平然と行われていた。

きっと私の祖父母や親達は

よく言えば大らか、悪く言えば何でもありの中を生きてきた。

その中で起きた事件は実に生々しい。

アナログ感が半端ない。

 

考えて欲しい。

車に乗る時シートベルトはしなくていい。

祖父の免許は1日で交付され

しかも何トン車だろうと大型バイクだろうと乗れた。

母は私を背中におんぶしたまま運転をし

よちよち姉は助手席で遊んでいる。

チャイルドシートの「チ」の字も見当たらない。

家は好きなように建てていいし

ゴミもよく落ちていた。

夕方になるとどこからともなく酔っ払いが闊歩していた。

あちらの方々も今考えると普通に歩いていた。

都合が悪い事はお金と酒でどうにかなったと聞いたこともある。

私がよちよちしている頃

隣のおばさんはよく調味料をうちに借りに来ていた。

お役所もご多分に漏れず

知り合いに対しての贔屓がすごく

しかし、それでいい目を見るので互いに口をつぐむ。

そういう昭和という雑な世界で起きたこの事件。

 

今でも必ず起きているに違いない。

そう思わされるような映画は近年見ていなかった。

久しぶりに見ごたえがあった。

2回目だけど。

 

是非見て欲しいと思う。