今年の幕張公演は
25日(土)2日目に現地へ行きました。
(開幕3日前の怪我を受けて書いていた文章を投稿直前に消してしまって、もはや書き直す暇もなく、幕張初日の明け方まで私はいったい何をしていたのかと茫然自失のまま…)
個人的にも予定を詰め込み過ぎて、幕張公演終演から時間が経ってしまいましたが、少しだけ感想を書いています。
今年は生中継が土曜日だったので、帰って来てから自分が見たプログラムを振り返れる反面、他の公演を見れない残念さも少し感じています。
(例年通り、後日放送があることを信じているけれど…)
右額の怪我を心配していましたが、オープニングの登場から完璧な4Tを軽々と決め
怪我の影響を全く感じさせない、いつも通り全力の演技で
安田レイさんが歌う「Ray of Light」でも、シームレスで体全体を大きく使った演技でパッションを放出させ、今まで以上に一際大きな存在感を放っていました。
初日の情報から、今回は数年振りに2つのプログラムを披露してくれること
その1つがこのプログラムであることも分かっていたので、心して待っていた前半。
「Danny Boy」は「notte stellata」で観た演技とは、伝わってくる印象が全く違ったものになっていました。
3月の時は、彼自身の傷を感じながらも、被災された人々の痛みに寄り添うような演技で
辛さの中に見出す微かな光を感じたけれど
この日の演技は、もっと客観的で温かく
「誰か」の痛みにそっと寄り添い、優しく道を照らす「光」の先を指し示すような
そんな大きな「包容力」を感じさせる演技へと昇華させていました。
毎回感じることですが、スケーティングが今まで以上に滑らかで、滑りながら大きく体勢を変化させる振付でも、演技が途切れることなく移行できることが不思議なくらい本当に自然で
反対に急にスピードを止める部分の緩急も自在で、その体幹の強さとバランス感覚に圧倒されました。
あれだけ体勢を大きく変えながら、プログラム全体を通してあんなにも美しいスケートを見せ続けることが、一体どれだけ大変なことなのか
気が遠くなる程の努力の結果があの演技に現れていることを、強く印象付ける演技だったと、そんな風に思います。
FaOIでの「Danny Boy」は、フィギュアスケートの一つの「完成形」を見ているような
そして「物語」としても、言葉を使わずに進行する「ショートムービー」を見ているような
そんな感覚にさせてもらえた、極上の「作品」だったと、個人的に感じています。
後半、大トリ
西川貴教さんとのコラボレーション「ミーティア」
前半の演技とは対照的に、鋭角で直線的な演技。
最初に生で観た時に、それがガンダムの機体を表現していることは、すぐには理解出来ませんでしたが
激しく目まぐるしい動きで、尋常でなく音ハメしていることにまず驚かされました。
硬質的な動きの中に挟み込まれる、柔らかな動きや、感情的な瞬間。
次々とシーンが切り換わっていく様子が、アニメの映像描写そのもののようで、それをたった一人で氷上で表現し切ろうとするそもそもの発想と、そして実際に可能にしてしまう能力値の高さに、いつもながら本当に驚かされます。
CS放送を観た、もはや「ファン」の家族が、羽生君は「フリーダムガンダム」だったと
「ガンダムSEED」について熱く語り始め、公式のダイジェスト動画のお勧めを教えてくれ…(本人は続編が好き)
その様子を見ていて、世代を超えてファンの多い超有名アニメシリーズの劇的なクライマックスシーンで流れるドラマティックな楽曲を、プログラムとして演じるからこそ
作品や楽曲の制作者、ファンに対する「責任」と「覚悟」を背負った上での演技だったことを、改めて強く感じました。
フィナーレまで、とてもエネルギーに溢れていて、とても楽しそうで
周回の時には、観客に向けて
「怪我はもう大丈夫!」
「みんな心配してくれてありがとう!」
と、ジェスチャーで伝えてくれているような気がしました。
最後のトリック(だったか)では、美しく完璧な4Tの後に、3Aを付けて転倒してしまいましたが
たとえ額の縫合跡が完治していなくても
「前回と同じ」とか「完璧」だけでは納得できないのが
「羽生結弦」という人なのだと、改めて。。
刑事君とも楽しそうで、昨年に続き一緒に出演出来て、本当に良かったなと思えました。
あっという間に数日が過ぎ、2日後には愛知公演が始まります。
愛知は最終日に現地へ行きます。
アーティストさんとの相乗効果が、より一層深まっていくのを楽しみにしています。
そして…お怪我が順調に回復に向かっていることを、心より祈っています。