『notte stellata 2024』終演翌日
震災から13年の
「3月11日」という日を経て
大げさかも知れないけれど
僅か1週間の間に、目の前の「世界」が、どんどん新しく変わっていったような気がしています。
3月12日
「いつ世界が終わっても。」3月1日から連載が開始していた、糸井重里さんとの対談最終回(第12回)
「共同通信」3月11日単独取材記事が、提携新聞各社より公開
3月14日
「GUCCI ブランドアンバサダー」就任発表
15日、18日
『RE_PRAY』4月9日公演の生中継と、ライブビューイング・ディレイビューイングが次々と決定
16日『RE_PRAY』佐賀公演1日目放送
(18日『notte stellata』見逃し配信終了まで「hulu」視聴)
18日、19日
「FaOI 2024」神戸・静岡公演の開催日程変更と、出演スケーター(第一弾)が発表
「第一弾出演スケーター」の発表が
「幕張」「愛知」のAツアーのみであったこと
Bツアーについては、当初の日程から大きく変更された時点で、ある程度感じてはいましたが
多くの方の予想通り、そこに羽生君の名前はありませんでした。
世界ジュニアで優勝した2010年、シニア1年目シーズンの前から、怪我で出演できなかった2016年以外はずっと出演してきたと思うので
初めて「プロフィギュアスケーター」として出演した昨年から1年、彼が新たな道を切り開いていることを象徴する出来事のように感じています。
出演スケーターの発表だけなら、確定要素はまだ少なく感じるけれど
神戸も静岡も金曜日の公演を取り止め、土曜日2公演となったこと
静岡公演が最初から先着販売となったことで
個人的にも羽生君の追加出演は、ほぼないと思っています。
金曜日~開催の為に押さえていた会場のレンタル期間と費用を、今から1日短くした場合に生じるキャンセル料等を考慮すると、どの程度会場費を抑えられるのかは不明ですが
運営スタッフの人件費や、出演者の宿泊費用等、掛かるコストを削減する効果は充分あるのだと
ただ個人的には、平日夕方公演の集客がかなり厳しくなってしまったというのが、大きな判断材料のように感じています。(特に会場がローカルな静岡公演は)
現地に足を運ぶファンの中で、1日2公演であれば続けて観賞されるお客様も一定数いるだろうという狙いも、実際にあるかも知れません。
今回Bツアーへ“出演しない場合”の理由について
6月中旬に開催される「ミラノコレクション」への参加を予想しているファンの方も多く
2023年から新たに「クリエイティブディレクター」に任命された、サバト・デ・サルノ氏とのコラボレーションの為に
(この時期かどうかは不明ですが)
『RE_PRAY』 宮城公演終幕後、比較的早い段階でイタリアへ行くスケジュールが組まれているのは、きっと間違いないのでしょう。
「ワールドフィギュアスケート 創刊100号」に載っていた彼のサインが、いつものフィギュアスケーターとしてのサインや漢字の署名ではなく、筆記体で書かれたサインだったのが、めずらしく感じていて
(トロント在住の頃は慣れていたと思うけれど)
海外選手を取り上げることの多い国際的な専門誌であることも、理由の一つだとは思いますが
「フィギュアスケーター」としての枠を超えて
「羽生結弦」一個人として
世界的な活動を視野に入れた上での、意識の変化のようにも感じられました。
ANAのインタビューで、行きたい国についての質問に
「イタリアとか行ってみたいですね」と挙げていた羽生君。
何の関連性もなく、何かを思い浮かべるようなタイプではないと理解しているので
この時は「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」にやっぱり興味や関心があるのか、何かプロジェクトが動いているのかな、などと考えていて
少し前に「GUCCI」の撮影も終えていたのに、その時は思い浮かばなかったけれど
そして…
社会貢献への意識が高い「GUCCI」と、羽生君の震災に対する復興への想いや活動
イタリア語で「満天の星」を意味し
「Il Volo」が歌う『notte sutellata』をタイトルに、復興支援のアイスショーを継続している羽生君の活動は、イタリアと大きな繋がりがあることも
「ブランドアンバサダー」就任の発表で、改めて思い出すことができました。
コロナ禍で中止となってしまった「FaOI 2020」
当時「Il Volo」のアーティスト出演が噂されていて、いつか共演が実現して欲しいと、以前書いたことがあるのですが
もしかしたら今後そのチャンスが訪れるかも知れないと、また密かに期待を膨らませています。
「ブランドアンバサダー」就任発表時に掲載されたフォト。
「ELLE JAPON」や「GUCCI 銀座ギャラリー展」での
「GUCCI」を纏った「羽生結弦」という
彼自身をフィーチャーした写真とは、今回は全く違った趣に変わっていて
「ドール感」や「無機質感」を感じさせる、自分の意思を消したような瞳に
モデルとしての資質の高さを改めて感じ
彼が言っていた
「服の素材が持つ凄み」や「この子はどう見られたいのかな」という
新たな表現手段を突き詰めていこうとする羽生君の、新しい分野への強い意欲と探求心が、その写真からも伝わってきました。
「ブランドアンバサダー」として、本気でファッションモデルを極めようとする羽生君の「ミラーニューロン」が、きっとここでも遺憾なく発揮されているのだと
この「伝統」と「革新」の両面を併せ持つ、歴史あるハイブランドへの「憧れに近づく作業」として
彼にとってまた新たな「刺激」や「挑戦」の対象が見つかっていたらいいなと、そんな風に感じています。
そして、その全てが
「スケート」の表現の枠を広げるための活動の一環だと
これから先も
多方面のジャンルから様々なことを学び
自身のスケートに落とし込んで
また新しい「物語」を見せてくれるのだと
そう信じて、期待しています。
羽生君が歩き始めた「新しい世界」
今まで例年出演していた「FaOI」も
彼にとっての意味が大きく変わってきたのだと思います。
北京オリンピック後しばらくは、他の「プロスケーター」から、それぞれ独自の個性や、プロとしての魅せ方など、学ぶことがたくさんあるというような趣旨のことを話していました。
そして実際に他の先輩スケーターから、プロとしてそれぞれの個性的な表現方法を学んだのだと思います。
北京オリンピック直後、ロシアのスケーターが来日出来なくなり、プルシェンコさんに会う機会も失われてしまった。
コロナ禍で先延ばしになっていたジョニーも、昨年の「FaOI」を最後にプロスケーターを引退。
糸井さんとの対談になぞらえると
「憧れに近づく作業」は「もう、自分だけ」の段階になってしまい
「FaOI」の世界には、今はもうないのだと感じます。(2人がいたとしても)
もちろん「FaOI」には、世界ジュニアで優勝し、シニアに上がるシーズンの2010年から、毎年必ずオファーを出し続けてくれた真壁さんに対する恩義もあると思うので、来年も開催された場合に出演するかしないか、今はまだ分かりません。
そもそも「FaOI」は観に行かないという方も、もしかしたら多いのかも知れませんが、今回「神戸」と「静岡」のBツアーのみ申込予定だったファンの方々は、Aツアーに申込むかどうか迷われたり、色々な理由で諦めなくてはならない方もいらっしゃると思います。
A・Bツアーとも世界選手権が終了してから、ワールド出場選手のINが発表される可能性も充分あり得ます。(例年そうだったと)
そして、まだBツアーに出演しないことが確定した訳ではないけれど「幕張」「愛知」の競争率が、かなり上がることも予想されます。
2014年からコロナ禍で中止になった年以外は、毎年会場へ足を運んでいた観客の一人として、正直理解しがたかったけれど、昨年はまだ集客力がどこにあるのかあまり気付いていなかった、あるいは気にしていなかった運営側(真壁さん)も
この1年間で様々なショーの動向を受けて、羽生君と他スケーターとの差を改めて痛感しているからこその日程変更だと受け取っています。
それでも真壁さんは今でも、ロシアスケーターを呼べないことと、ジョニーの引退も痛手だと思っていそうで、実際にそれも少しは影響があるかも知れないけれど
年々会場のほとんどを埋め尽くすようになった羽生ファンが、他のスケーターの皆さんのことも誠意を持って応援していた方がほとんどだったのは明らかな事実なので
決して感情論とかではなく客観的事実として、誰が集客に貢献していたか、改めて理解してもらえる機会になるのではないかと、そう感じています。