「Fantasy on Ice 2023」幕張公演で披露された
羽生君のアーティストとのコラボレーションプログラム。
彼がプログラムに選んだのは、私の中では(周囲を含め)「USA」よりも
「DA PUMP」といえば…というくらい強く印象に残っている、彼等の代名詞のような曲でした。
(当時色々なところで流れていた記憶が… 「ISSA」さん以外はメンバーが入れ替わっているそうです)
その演技は、あまりにも圧倒的で、あまりにも洗練された身体の動きで、あまりにも込められている要素が多すぎて、感想が上手くまとまりませんが…
5月27日(土)公演2日目。
2018年以来、4年振りに幕張メッセへ。
ロングサイドのほぼ中央で観た演技。
暗転したリンクの中央で回り始めたスピンがスポットライトに照らし出されると同時に、ラテン調の曲が流れ出す始まりは、まるで何か別の舞台を観ているようで、一瞬でその作品の世界に引き込まれていきました。
身体の動きや、音に合わせて「止めた」ポーズが本当に決まっていて、横からも、後ろ姿も、どの角度から観ても、一つ一つのフォームが本当に美しく、かっこよかった。
音楽表現においても、メロディーも、ヴォーカルも、ラップも、打ち込みのリズムも、足さばきや、手や身体の動き、全てで表現していて
「阿修羅ちゃん」の時は「ステップとの融合」という印象が強かったダンスが
このプログラムでは確実に「フィギュアスケートと融合」していて、ダンスをフィギュアスケートに落とし込むという挑戦においても、その形が彼の中で確立されてきたような印象を強く受けました。
この日、現地で観た「if…」は、洗練された大人の演技と激しい感情が混ざり合った、もの凄くかっこいいプログラムという印象で
今回の「FaOI」は羽生君が辛そうではなくて良かったと、新しい世界を切り開いて行くその行程と、演技を披露出来る機会が多くあることに対しての充実感が伝わってくるようで
羽生君の演技に触れる機会が身近になったことを感じながら、とても軽やかな気持ちで会場を後にしました。
5月28日(日)最終日。
翌日、テレ朝チャンネルでの生中継。
画面に映し出された表情や、曲の細部まで全身で表現する、その演技の圧倒的な情報量に、改めて驚愕させられました。
歌詞の冒頭から始まる、物語を意識したヴォーカルの、ナイーブさを感じさせる表情と振付。
打ち込みの音の一つ一つにまで合わせ、ステップの足さばきや、腕や身体それぞれの部位の使い分けで、音の音色を表現し
以前から、その演技を観た人が
「彼の身体が音を奏でているよう」だという感覚を起こさせるほどの技術と才能が
音にピッタリと合わせて身体のパーツを「止める」動きによって、今までよりさらに、そして格段に上がっていました。
歌詞の世界観に対しても、ISSAさんの諦めを覚悟したような切ないヴォーカルと
それとは対照的な、KIMIさんの激しいラップで表す内面(本心)の激情の両方を、同時に細かく演じ分けながら、徐々に激しくなっていく演技…
現地で観たときも、映像を何度見返しても、最初に出てくるのは
「凄い…」という感嘆と「かっこいい…」という言葉しか、未だにありません。
この曲で羽生君が表現しているものについて、あくまで演者として、彼自身の恋愛観も重ね合わせているかも知れないけれど
個人的には、どうしてもあの激しい感情が、競技時代の「4A」挑戦での、自分の力ではどうすることも出来ない、見えない未来への不確定要素と、もう諦めるべきか、それでも決して諦めきれないという、スケートに対する一途な強い想いが込められているように感じてしまいます。
(恋愛に対してもきっと一途なタイプではと思うけれど、恋愛表現としては、あまりにも激し過ぎるように感じるので)
今回は個人的な都合もあって、幕張と新潟を取っていた「FaOI」のチケット。
宮城が先着でチケットが購入出来る状況なのと
「if…」がどうしても、もう一度見た過ぎて(最後かも知れないので)
かなり悩みながらも、結局チケットを取ってしまいました。
宮城公演も1日だけ観に行きます。