このイベントは毎年この時期に三日間に亘って開催される、美をテーマにした日本最大のイベントで、5万人以上の方が来場されるそうです。
今回初めて参加させていただきましたが、美をテーマにしているだけあって、若い女性であふれ返っていて、私なんかは明らかに浮いていました。(^_^;)
別に遊びに行った訳ではなく、「姉アゲハ」(正式には姉ageha)というファッション雑誌の主宰するブースのイベントゲスト(?)として、1日だけ参加させていただきました。


この雑誌は、「小悪魔ageha」というギャル系ファッション雑誌のお姉さん雑誌だそうです。(「CANCAM」における「ANECAN]のような存在でしょうか。)
こういった雑誌のモデルさんたちは、例外なく派手なギャルメイクをされています。(今回もゲストでたくさんいらっしゃっていました。)
特にアイメイクは、美容外科医の私が感動してしまう程の大変身メイクで、芸術的と言っても過言ではない程の出来栄えです。
この派手なアイメイクに欠かせないのがつけまつ毛や太いアイラインですが、こういったメイクに有利なのは、やはり幅広の平行型二重です。
最近は、こういった派手なアイメークが若い一般女性にも流行っていることもあって、クリニックに二重の相談にいらっしゃる中にも、幅広の平行型二重を希望される方が増えてきました。
ちなみに、御存じかと思いますが、平行型と言うのは、二重まぶたのラインの始まりが目頭から離れている二重のことで、上眼瞼のライン(アイラインを引くライン)と二重がくっつかず平行に走っているので平行型と言います。

では、どんな方でも平行型の二重になれるのでしょうか?
一般に美容外科のカウンセリングで平行型の二重を希望すると、二重の手術と一緒に「目頭切開」をすることを勧められる事が少なくありません。
中にはそれが絶対条件のように言われる事もあるようです。
「目頭切開」は、「蒙古ひだ」という目頭に被さる皮膚を取り除く手術ですが、平行型にするために蒙古ひだを取り除く必要があると説明されるようです。
実際、最近はメールの問い合わせなどで、こんな質問をよく戴きます。
「以前カウンセリングに行ったクリニックで平行型の二重にしたいと言ったら、目頭切開が必要と言われました。できれば目頭を切開したくないのですが、どうしても切らないと駄目ですか?」
もちろん、人によって目頭の形態は違うため、実際のお顔を拝見せずにお答えするのは難しいのですが、少なくともすべての方にとってそれが絶対条件でないのは事実です。
蒙古ひだの存在は、平行型の二重を作る上で、その可否を左右する大きなポイントである事は間違いありません。
でも、蒙古ひだがあるからと言って、必ずしも平行型の二重にならない訳ではありません。
事実、平行型の二重を持っている日本人で全く蒙古ひだの無い方は意外と少なく、程度の大小はありますが、多くの場合蒙古ひだは存在しています。
以前、目頭切開についてお話しした時に、この蒙古ひだについては説明させていただいたので、詳しい説明は割愛させて頂きますが、蒙古ひだとは簡単に言えば、「内眼角部(目頭の赤い部分)を覆い隠す皮膚の襞(ひだ)」です。

この襞は、開眼時には上眼瞼の方から覆いかぶさるように内眼角部(目頭の赤い粘膜部分)を隠します。
これが、二重の目頭側のラインの始まり(起始部)を隠す原因になります。
この隠れた状態が、「末広型の二重」です。
ということは、この襞(ヒダ)が覆い隠さない高い位置に二重を作れば、二重の起始部は隠れることが無くなり、平行型の二重になります。
この位置は、当然それぞれの方の蒙古ひだの形態で違ってきます。
それを知るためには、目を閉じた時の蒙古ひだの形状を確認する必要があります。
眼を開けている時には、上眼瞼のどこから蒙古ひだが始まっているのかはっきりしませんが、目を閉じるとそのはじまりがおおよそ分かります。

この蒙古ひだの始まり(上端)の位置より二重の始まりが低いと、末広型になります。
ちなみに二重の始まりが低いという事は、幅の狭い二重である事を意味します。
逆に、この位置より二重の始まりが高ければ、平行型になります。

つまり、蒙古ひだの有無ではなく、蒙古ひだと二重の幅の力関係で、平行型になるかならないかが決まるという事です。
ということは、二重の幅が同じでも蒙古ひだの大きさによって、平行型になる場合とならない場合が当然出てきます。

蒙古ひだが小さい方は、襞の始まりの高さも低いため、それほど幅広の二重にしなくても平行型になりますが、蒙古ひだが大きく発達している方は襞の始まりの位置も高いため、余程広い二重にしないと平行型にはなりません。
二重の幅はどこまでも広くできるものではなく、特に限界を超えて広くすると当然不自然になってしまいます。
無理な幅の二重を作ると、二重のラインが中央部にしかつかないなんて事もあります。
ですから、蒙古襞が非常に大きい方は、現実的には、蒙古ひだの始まりの高さを下げるために目頭切開が必要になります。
それほど蒙古ひだが大きくない場合でも、二重の幅をあまり広くしたくない方が平行型にする場合は、目頭切開が必要です。
つまり、目頭切開は平行型の絶対条件ではなく、平行型のハードルを下げるためにある治療なのです。
平行型の二重にとって、蒙古襞は邪魔ものであることは間違いないのですが、二重のデザイン次第では、その邪魔ものを排除しなくても平行型に出来るケースが多くあると言う事です。
ではここで、実際の省令で二重の幅と蒙古ひだの関係を確認してみましょう。
今回は、クリニックのスタッフに協力してもらいました。(一部はモニターの方です。)
まず一人目
閉眼時の瞼を見ると、蒙古ひだより二重のラインが下にあります。
この場合、やはり開眼時の二重は末広型です。

では、お二人目
二重の幅自体は先ほどの方とほとんど変わりませんが、それ以上に蒙古ひだが小さく、二重の方が上にあります。
開眼時を見ると、控え目ではありますが、確かに二重は平行型です。

では、3人目
ちょっとややこしいタイプです。
この方は、右目が控え目な平行型、左目は末広型です。

では、閉眼時を見てみましょう。

ちょっと分かりにくいですが、やはり右目の蒙古ひだが左に比べ小さく、こちらだけ二重のラインが上にきています。
そのため、左右の二重の形状に違いが出たと考えられます。
次は、手術による二重の形状の変化を見てみましょう。

術前の写真では、蒙古ひだより下に二重のラインがあるため、末広型になっています。
蒙古ひだはそのままに、埋没法で二重の幅だけ広げました。

蒙古ひだよりかなり高い位置に二重のラインが出来ました。
これによって蒙古ひだを切らずに二重が平行型になりました。
如何ですか。
人によっては、蒙古ひだがどこまであるのか分かりにくい場合もありますし、二重のラインが目頭側であやふやになってしもうこともあるので、これだけですべて判断ができるとは限りませんが、一つの目安にはなると思います。
最後に一つ
蒙古ひだが残っている方の平行型二重には共通する1つの特徴があります。
これは、平行の二重のラインの下に、蒙古ひだが作る斜めのラインが出来てしまう事です。
このラインの現れ方は、元の蒙古ひだの大きさや二重の幅などで変わってくるため、非常に目立つ場合もあれば、よく見ないと分からないほど薄い場合もあります。

ただし、これは手術で平行型にした方だけに出来るというものではなく、生まれついての平行型と言う方でも蒙古ひだがあれば多少なりとも現れます。
タレントさんやモデルの写真で確認して頂ければ分かりますが、けっこうな確率でこのラインは認められます。
もちろんこの方たちがみんな手術を受けている訳ではありませんよね。
ですから、これについてはあまり気にしない方が良いと思います。(今まで気にしていなかったのに、今回の話で気になりだしてしまった方、ごめんなさい。)
いずれにせよ、蒙古ひだの存在を理由に平行型の二重をあきらめている方、今の目頭の形のままで絶対無理なのかどうか、もう一度ご相談されてみては如何でしょうか。