こんにちは。
不動産鑑定士の福井將之です。
いやあ、昨日の相続税に対する最高裁判決はびっくりしましたね。
通常通り、相続税路線価等に基づく資産評価を行い、
相続税が0円だった相続人の方々に、市場価格と比べて
資産評価が低すぎるとして追徴課税を課した国税側処分の
妥当性が争われた訴訟の上告審で、最高裁は国税側処分は「適法」と判決を下しました。
路線価と市場価格の乖離を考えて、相続対策のため土地を買う人は結構いますから、もう買ってしまった人やこれから購入しようと思っていた人は寝耳に水でしょうね。
税の公平性から判断すると至極もっともな判決だと思うのですが、でも一抹のひっかかりがありますね。
そもそも路線価は概ね市場価格の80%で設定されていますので、この時点で、土地は、単純に市場価格より20%安く資産評価できるわけです。
また、建物は一般的に固定資産税評価額で評価するのですが、市場価格の50%から70%ぐらいになると思います。
結果、土地建物の総額で市場価格の60%から70%ぐらいになります。
そこまでは許容範囲だということなんでしょう。
しかし今回、国税側が独自で鑑定した市場価格は、通常通りの路線価等評価の約26%ぐらいとなっています。
これはいくらなんでも安すぎるでしょう、ということで追徴課税したと思うんです。
では、なぜそんなに開差ができたのか?
そこが一番問題です。
考えられる理由は2つあると思います。
一つ目は、路線価(土地価格)と固定資産税評価額(建物価格)が市場価格よりも大幅に低かったということです。
特に路線価が市場価格に追い付かず低すぎる地域はあります。(逆に高すぎる地域もありますが)
これを是正する必要があります。
でも、路線価をいきなり2倍、3倍に上げることはできませんので結構難しいです。
二つ目は、相続財産の不動産が賃貸マンション1棟の場合、路線価等で評価した額と市場価格は開差が大きくなりやすいので、それが原因の可能性があります。
相続人側は、それが相続対策とはいえ、ルールにのっとって資産評価しています。
ですから、今後、上記2点を解消できるような、何らかの新しいルールをつくっていただきたいと
思いますね。