第九十一 吉




⚫︎前の世に造りし罪も

 霜と消えて

 花咲く春の

 来しぞ嬉しき


⚫︎このミクジにあふ人は暗夜より月夜になるがごとく

心の憂どけ去ってよろこびに逢うなり

但しおよそ月も満るときは

かくる也すべてなの理何みは此のごどく

故に今満月の時に急にせよやがてかくるはしなりと

いふ事をしめすなり観音を信じて吉