2012年2月下旬
モラDが,話し合いにやってきてから,何日経ったか覚えていないが,そんなに日はたっていないある日,私はReyちゃんちのアパートで寝ていた。

寒い日だった。
睡眠中の朝の5時に,インターホンが鳴った。
「?」
Reyがベッドから起きて,怪訝な顔をして出ると、それはDだった。

D「ゆーちゃんと話したいから、彼女を出してくれないか」

私たちは,寝ぼけたまま玄関に立った。寒いので,Reyが,部屋に入って話したら、と言ってくれた。

Dは「外の車で話そう」と言った。
私は「ここで話したい」と言ったが、車で話したほうがいいというので,車に行くことにした。
パジャマだったので,ジャケットを上にはおってった。
なにも深く考えていなかった。
警戒心もなかった。このへんが日本人だと思う。

車に入ってさあ話,と思ったら、Dは

「ガソリンがないから,ガソリンを入れにいく」という。

ゆ「は?こんな時間に??」

朝の5時だ。やってないでしょと思った。

D「やってなかった」とガソリンスタンドの前を通り過ぎていった。

Dは,運転しながら,スキー用の手袋を取り出して,装着。
スキーキャップをかぶった。
ジャケットだって、スキー対応ゴアテックスジャケットを着ている。
なんか重装備だな,と思った。

彼は、窓を開けた。
私が座っている助手席の窓と,運転席側の両方の窓がウィーンと下がった。

ゆ「寒いから、しめてくれない」

D「だめだ,それだと君が快適になるから」

はあ????!!
わたしは彼を見た。全身完全防備の彼。
用意していたのか。
私を寒がらせる罰
が始まったのだ。
私は怖くなったが,車はそこから5分以内の自宅に向かっていたので、
すぐそこだから,と思った。

しかし自宅の前を車は通り過ぎた。
住宅街を超え,丘の上のほうへ向かった。
来たことがない林と神社があった。

その間何回か「どこへいくの??」ときいたが彼は答えなかった。

林の前で車を停め,エンジンが止まった。
なにここ?怖い。殺されるんじゃないかというような気がふとよぎった。

ゆ「どうするの?」

D「ここに車を置いて,歩いて帰るんだ。さあ行こう」

彼は,車から降りて歩き出した。
車を置いて歩く?
車はどうするのか?放置か?意味が分からない。


そこから家までは15分くらいだろう。
何をされるのか?何がしたいのか?
私は怖かった。怖いから車から降りたくなかった。

ゆ「いやだ。行かない」

大体寒い。
私はパジャマにジャケットを着ているだけだ。


D「さあ来い。来るんだ」

助手席のドアを開けて,引っ張りだされ,
彼はスタスタ歩き出した。
私はとぼとぼついていった。
なんでこんなことしているんだろう?不思議だった。
朝の5時に車を放置して,家まで歩く?おかしい・・と考えながら歩いていた。

歩いて数分たったとき,
前を歩いていた彼は急に振り向いた。

そしてすごい勢いで走り出した。
車まで全速力で走った。
ほんとに運動会のリレー並みに早かった。

その彼が懸命に全速力で走る姿を,わたしは後ろからぽかんと見ていた。

彼は,車までの300メートルくらいだろうかを走り抜け,
素早く運転席に乗り込み,車をバックして方向転換し、
車は立ち去った。


わたしはぎょっとする間もなかった。
一瞬の出来事だった。


私は丘から一望して見える山と,町を見た。
何が起こったかが、あまり認識できなかった。
まるで映画の一シーンを見ているように,
外から自分を見ていたような気がして,
自分に起こっている気がしなかった。
感情が消えた。悲しいとか、驚きとか、何もなかった。


こうして私は置き去りにされた。

そこはどこかはわからなかったが、帰る方向はわかった。とにかく自宅に向かって、そこからReyちゃんちに行こう。40分~50分くらい歩けばつくだろう。

15分か20分か迷いながら歩いて,自宅付近の道に出た。よかった,やっと道がわかったと思ったら、Dが立っていた。

ぎょっとした。

D「これで僕の気持ちがわかったか。誰もいないところにほうり出される気持ちがわかったか!」

私はしゃべりたくなかった。私は無言で歩いて自宅へ向かった。
Dはずっと私を責めた。このとき責められた内容があまりにも理不尽過ぎて,あんまり記憶にないが、ずっと彼は話した。

寒かった。体の心から冷えた。
家の前で,彼は続けた。
「きみと話す会話は本当にくだらないことばかりだ。僕は大学でいつも有意義な会話をしてきた。宗教や歴史や政治で討論してきた。それにひきかえ君とは,そんな話ができない。このストレスがわかるか」

いまだったら余裕で反論できるだろう。ばからしい。まず宗教に関して,彼は受け入れ態勢が全くないから話したくない。政治はアメリカの政治や歴史はよくわからない。歴史は日本史ならわかるけど。

とにかく私がどれだけ馬鹿か,くだらないかというようなことを言われた。

D「君は大学を出ていないだろう。やはり学歴はものをいうな」
一度は貧困、二度目は私が健康を害して,断念したことを知っているのに。

ゆ「ふうん。じゃあ大学院出てれば,その人のほうが優秀なわけ?じゃあ私の妹のほうが上だわね」
あまりにもくだらないセリフに私は呆れた。彼は私の妹をあまり好きではない。

D「そ,そんなことはいっていない」

もう寒すぎて外にはたったいられないから,何度も家に入れてくれと頼んだが、いれてくれなかった。

ゆ「じゃあもういいよ。私あるいてReyの家に行くから。じゃ」
と歩き始めたら、彼は私の腕を引っ張り引き留めて、家にいれてくれた。

リビングで石油ヒーターをつけようとしたら,消された。
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出したら、手からもぎ取られ,彼はそれをシンクの中にどくどくと流して捨ててしまった。

彼Dは,とにかくいちゃもんをつけてくる。
本当に酷いことばかり言われたはずだが、今や記憶喪失のように思い出せんくなっている。

家に入って,30分くらいたった頃か、家のチャイムが鳴った。Reyが私の車で来た。玄関で私の携帯をもって立っていた。

Rey「携帯忘れてたから」
そう言い訳をして探して迎えにきてくれたんだ。

ゆ「ありがと。・・・・・・私も行くよ。」

Rey「車にいるわ」

ゆ「私,行くから。」

D「君は僕をひとり置いていくのか?」

私は振り返ってDを見た。だまって靴を履いた。

D「勝手に行け!」と言って,
手で私の背中を押して,私をドアから追い出した。


私は駆け足で車に向かい,飛び乗った。

まだ続きます


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