NHKラジオテキスト「まいにちハングル講座」では、毎月口絵で「季節を楽しむ韓国料理」をエッセイと共にご紹介しています。


3月号は화전(ファジョン)。
韓国では旧暦の3月3日を중삼절(重三節)、または삼짇날と言います。陰陽節では奇数が重なる日は陽の気があふれる吉日とされ、長く厳しい冬が終わり、春の訪れを告げる日として祝うのです。この日にはファジョンという餅菓子を作ります。


ちょうどつつじが咲き始める頃で、もち粉と上新粉を合わせた生地に、食べられるつつじなどの花を刺繍をするように飾って焼き上げるかわいらしい餅菓子です。

韓国ではファジョンには、春はつつじやすみれ、夏はバラ、秋は菊というように、중삼절(重三節)以外でも、季節ごとに食べられる花を飾って楽しみます。

今回はなつめを花の形に切って、アップリケのように飾りました。花が手に入らない時期には、こうしてなつめや松の実、かぼちゃの種などで楽しみます。

下の面はしっかり焼いて、花を飾ったほうは焦げないようにそっと白く焼き上げます。口に運ぶと、お餅のこうばしさともちもちとした食感、なつめの甘い香りが広がります。

朝鮮王朝時代には季節の花が咲く時期に合わせて、화전놀이(ファジョン遊び)というお花見が楽しまれていたようです。現代では毎年4月になると全国各地で진달래(つつじ)祭りが行われ、たくさんの人が集まりにぎわいます。

今年の春のお花見には、ファジョンを焼いてお祝いしてみませんか。


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