。健全さの権化ともいえる拓馬にとって,そのノートの存在は校則云々以前に生理的に受けつけ難いものだった。こんなものを学園内にのさばらせていては,学園の風紀が大いに乱れてしまう! 強い決意と共に犯人の調査を開始した拓馬は,やがて学園の陰で暗躍する秘密組織“脳解”の存在に行き当たる。果たしてノートと“脳解”との関係は? 学園秩序の守護者?風紀委員と,その破壊者との戦いが,今,幕を開ける! ●敵は同人誌密造集団!? 息もつかせぬサスペンス! と,なにやら異能バトルでも始まりそうな感じで書いてみたが(実際,序盤はそんな感じの雰囲気なのだが),まったくもって申し訳ないことに本編中には異能のいの字も出てこない。というのも,“脳解”とは脳内解放区の略であり,その実態はさまざまなジャンルのマンガを自作,要するに同人誌を密造しては配布する集団なのである。 本稿をご覧いただいている読者諸氏には「なんでぇ,その程度かい」と思えるかもしれないが,「こんなものを読んでいては生徒が性犯罪者になってしまう!」と真剣に心配するような拓馬にとっては,まさに一大事。すぐさま調査に乗り出す拓馬だが,弟の辰巳(たつみ)の友人である光武悠(みつたけゆう)が,縄で縛られて下着1枚の状態で発見されたことで事態はいよいよ深刻なものに。 生徒が,しかも自身も可愛がっている後輩が被害に遭ったことに怒りを燃やす拓馬。そこへ,脳解のメンバーである“憂鬱な修道女(ブルー?シスター)”が接触を図ってくる。さらに,新たなる影の組織の存在も判明しと,事態は徐々に不穏さを増してくる。 辰巳や衣舞,“憂鬱な修道女”の力を借りながら拓馬が学園の闇に迫っていく様は,アラド RMT,まさに学園クライム?サスペンス。異能こそ登場しないが,その緊張感はバトルものに決してひけをとらない。手に汗を握りつつ読み進めていただきたい。 ●堅物風紀委員,“二次ロリ”で悟りを開く!? 昨今,表現の自由に関する議論が盛んである。議論と一口に言ってもさまざまな立場や角度からの意見があり,単純化して語ることはできないが,一見すると立派な言葉の裏側に,メイプルストーリー RMT,自分が理解できない趣味嗜好への嫌悪感という,個人的な感情が見え隠れする意見が散見されることもある。 本編序盤の拓馬の思考は,そうした人々の態度を思い切り戯画化したものと言えるが,脳内解放区との接触や学園で起きた事件を通じて,彼の考えは徐々に変化していく。つまり本作は,自身が槍玉に挙げられるかもしれない表現規制の問題に対して,著者が叩きつけた挑戦状とも言えるのだ
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