これじゃまなので | レさんのブログ改めジャンク・エッセイ

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活字中毒の方、ヒマ潰してみませんか?

 ハードロック/ヘヴィメタルが基盤で生活している僕のごときは、やはり多感なハイティーンの頃は髪の毛を伸ばし、染め粉で染めていた。これはその種の音楽をみそめた人間の通過儀礼である、と僕は思っている。

 その姿体は、少なくとも人より遅れて専門学校に通い始めるまで維持された。

 

 それから数年まともに働いていたのだけれど、何かと世知辛い渡世、根っからの天邪鬼の僕は、揉めに揉めて職を辞した。多少の後悔はあったけど、お気楽ご気楽な実家暮らしである。どうとでもなれって塩梅。兎にも角にも口をのりするアルバイトを見つけて、そこで何も言われないのを良いことに、またぞろ髪を伸ばし始めた。洋楽の世界ではパンテラが日本で認知され始めた頃で、ヴォーカルのフィル・アンセルモに感化されて頭の両サイドをカット、『カウボーイズ・フロム・ヘル』ヴァージョンの彼になった。まぁ、肉体の方は鍛えられないので、情けなかったがね。

 

 そんなこんなで、その頃より頭髪の両サイド方面に関しては短いのである。

 今のような堅気の職場では、さすがモヒカンも長髪もご法度だから、必然的に頭髪は普通の短髪よりである。

 故に、髪の毛が耳にチクチクと接触しだすと、まずうっとおしい。次に痒みが襲いかかり、果てには耳の付け根がかぶれだす。つまり、実質的に頭髪サイド方面は短くしなければ、健康を害する恐れを招くのである。あにはからんや。

 

 盆休にモヒカン、後に五厘となった髪もそろそろ伸び始め、耳にかかり出した昨今。

 おまけに10月というのにこの暑さである。耳周りに例のチクチクが襲いかかって来た。

 急いで床屋を予約したのだが、金曜日にしか切れぬという。ええい、ままよ、といきりたった僕は、帰宅するなりバリカンをひつっかんで、やおら稼働、サイド方面の髪の毛をヴヴヴヴと成敗しにかかったのであった。 

 

 この夏新調したばかりのバリカンは、キャンディ・アップル・レッドのイカす奴で、不遜にも伸びた頭髪どもを成敗してゆく。ヴヴヴヴ音と振動が心地よい。

 成敗されたサイド方面の髪は、哀れハラリハラリと落ちてゆく。ものの20分強で、スッキリサッパリ駆逐完了である。

 排水溝にはカラスの濡羽よろしく、黒い敗残兵が飛び散っていた。10月なのに夏の汗。それがサイド方面から解き放たれて昇天。その快感に思わず僕も昇天。なむなむ。