いつ二回やるのかなと思ったら、偶然見つけて慌ててチケット購入。
晴れていて気持ちよかったです
今回は優人先生だけでなく、トラヴェルソで鶴田洋子さん(とても可憐なお姿・・・と思ったら優人先生の奥様だった。残念・・・って何が? 2010年からBCJ所属だそう)、チェロに山本徹さん、ヴァイオリンは大御所寺神戸さんという布陣。
前半は、ハイドンのソナタ1番。C.P.Eの方のバッハのフルート・ソナタ、最後にモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ18番。
驚いたのが、息子のほうのバッハのフルート・ソナタが作曲された後に、今回の演奏会のメイン「音楽の捧げもの」が作曲されたというお話。
ハイドンの曲は1750~60年代。バッハ(息子)は1740年前後、モーツァルは1778年。そして「音楽の捧げもの」は1747年!
ハイドンもバッハ息子も軽快かつ優雅な曲。
たった40年後のモーツァルトになると、もう「モーツァルト」。
ハイドンやバッハ(息子)にある通奏低音の上にメロディーという構造がありません。
ヴァイオリンとチェンバロが頻繁にメロディー部と低音部を交代する。
プログラム通り「対等」といえるけど、私は艶っぽいと思いました。
あと、モーツァルトお得意のスーッと同じ音程を鳴らせっぱなしにする”アレ”も美しい。
オーボエ協奏曲のオーボエの出だしみたいなやつ。
今回はちょっとした講義があって面白かったです。
古楽器の弓は反っていませんが、そのため弓の先端に力を伝えられず音が鳴らないのだそうです。
でもそれは古楽器が”進歩していない”のではなく、当時の美的感覚のため。
つまり、音が減衰することが重要だった、人の言葉のように。
なーるほど!
今回、寺神戸先生はバッハで古楽器の弓、モーツァルトでは当時出始めていた水平の弓(現代ほど最後まで音は鳴らないけど、ちゃんと減衰する)で演奏なさっていました。
私のポンコツ耳では区別がつかなかったけど、心なしか音が大きかったような。
「音楽の捧げもの」。
初めて聞いた時は不気味で不思議な王の主題に驚きましたが、今はカノンが始まってからの音の乱舞に恍惚とします。
今でいうアンビエントミュージックでは?と思ったりします。
演奏会でちゃんと聞くのは実は初めて。
優人先生の超スローな王の主題から始まり、反行カノンで寺神戸先生がタブレットの楽譜を逆さにするのが見えたり(画面が動いていなかったので紙の楽譜もああやって演奏するのでしょうか?次の演奏で上下を戻していました)、最後のトリオ・ソナタのラルゴの出だしがマタイの「憐れみたまえ」ぽいメロディーラインで驚き、アレグロでチェロが王の主題を繰り返すのが無茶苦茶かっこよくて、体調がいまいちでしたが発見が多くて行って良かったです。
アンコール。
無限カノンを演奏しながら、演奏し終わった奏者がいなくなるハイドンの告別スタイル(優人先生には譜面がなくて、ほかの人の楽譜を覗きながら(?)演奏していました。すげえなあ)。
お茶目でした。
前回はお隣さんご夫婦とお会いしましたが、今回は仕事のできる後輩と偶然会いました。
世間は狭いのお。
鈴木優人プロデュース「J.S.バッハをとりまく音楽のシリーズ 第二回 「捧げもの」からモーツァルトへの系譜」 2025年9月27日 水戸芸術館