「鈴木雅明先生のご子息」とはもう言わせないというご活躍ぶりの優人先生。
マタイも良かったけれど、今回も素晴らしかったです。
まだまだクラシック通とはいえない私には区別がつかなかった「イタリア風」と「フランス風」。
今回、ちょっと分かった気がしました。
前半はイタリア。
フレスコバルディと(ドイツ人だけど)フローベルガー、パンフレットにはなかったけれどスカルラッティ、そしてバッハのイタリア協奏曲。
特徴かなと思ったのが以下。
様々な曲想がでてきて1曲で交響曲のように楽しめる。
必ず明るくて華やかな歌えるメロディーが出てくる。
メリハリがあって構造まではいかないけど形式らしきものがある(?)。
フレスコバルディやスカルラッティを聞いた後だと、バッハのイタリア風は「ちょっと(イタリアを)意識し過ぎ?」と感じました。
後半はフランス風。
ルイ・クープラン、ラモー、バッハのフランス風序曲。
パンフレットになく追加演奏されたのは、フランソワの方の「神秘のバリケード」(!)。
イタリアと違うと思ったのが以下。
華やかというより、荘重だったり、穏やかだったり(なので優雅といわれる?)。
曲想に統一感はあるけど地味(なので優雅といわれる?)。
形式もドイツほど構築感はないけど、イタリアほど何でもありではない(なので優雅といわれる?)。
苦手なフランス風序曲では不覚にもうとうとしてしまい残念。
アンコールはイギリスの誰か(チェックし忘れました。私はバードかパーセルしか知りませんが誰だろう。バグ・パイプっぽいところがあって面白かった)、ラモーの「優雅なインドの国々」、そしてゴールドベルクのアリアでした。
優人先生の演奏は「語る」お父様と違って純粋に音楽している気がします。
歌うところは歌う、愉し気なところと厳格なところの振れ幅をクリアにする、余韻を大事にする(お父様は”語り”なので音をスパッと切る)。
ラモーの「優雅な・・」は攻撃的に演奏してもいいと思うのですが、考えるとタイトルに「優雅」がついている。
で、優人先生は「優雅」な演奏。しかも愉しい(オケ版ならクリスティに近い)。
ゴールドベルクのアリアも余計な装飾音がなく、かといって素っ気なくもない。
有名曲なのでいじりたくなると思うのですが、そういうことをなさらない上品な演奏でした。
早く第二回を聞きたい!
てか、ご近所さんがご夫婦でいらしていて、お逢いして驚きました(私は一人だったので、ちょっと羨ましかった)。
鈴木優人プロデュース「J.S.バッハをとりまく音楽シリーズ 第一回 イタリアvsフランス」 2024年10月13日 水戸芸術館