子供達が進学でお金がかかるので今後はコンサート禁・・・と思っていたのですが、地方公演で安ければ年に2-3回ならいいだろうと欲望に負けました。
無断で行けないので家族と交渉し、「コンサートの後、進学お祝いを兼ねて焼き肉屋に行く」で許可をもらいました・・・泣
初めてのホールでしたが、音がクリアでまっすぐに聞こえて好印象。
しかも初台までの往復交通費以下の値段でチケットが買えました。
もう一つ初めてだったのが雅明先生ではなくご子息の優人先生の指揮だったこと。
どう違うのだろう、ワクワク。
さて始まると・・・出だしから違う(当たり前か)!
全体にお父様よりオケが前にでていて木管が強め。
音を切ったりアクセントをつけて「話している」ような演奏のお父様と違い、「音楽は音楽だよね」と滑らかでアクセントをつけすぎず、テンポも割と動いていたと思います。
合唱も美しい。
コラールも言葉の意味でアクセントや強弱をあまりつけない。
お父様なら強調する54番コラールのVoll Schmerzやzu Spott、58番コラールのIch bin Gottes Sohnの歌わせ方などは、わずかに強い程度。
ただ、単に強弱を無くしているのではなく、54番なら前半のイエスへの嘲笑より、後半の私たちがイエスに対して悲しむ箇所のLichtを少し強めにしたり、40番のIch verleugene nicht die Schuldを確信をもって歌い上げていたと思います(たぶん)。
つまりお父様は受難を客観的に描写しているけれど、優人先生は悲しむ私たちに寄せているのかなと愚考します(37番のDu bist ja nicht ein Sunderは強くはなかったけど)。
歌手さんのことは見巧者でないので自信がありませんが、今回はエヴァンゲリストのベンヤミン・ブルンスさんの独壇場。
20番のアリアは聞き惚れました。
毎回泣ける場所が違うマタイで、今回はMein Gott, Mein Gott, warum・・・で鼻がツンときました。
イエス役は加耒さん!ご出世なさって・・・(泣)
実年齢のイエスに近いであろうからこそ悲劇性が際立ち、「立派過ぎ」ず、美しさを感じました。
アルトⅠのアレキサンダー・チャンスさん(オックスフォード大学合唱団出身。CD持っているから知らないうちに聴いているも)とⅡの久保さんも素晴らしかった。
チャンスさんは透明で艶やかな声そのもので聴かせる(6番のアリアと、27番のアリアでソプラノⅠのブラシコヴァさんとの二重奏が素晴らしかった)。
一方、久保さんは表現が巧みで、52番アリアは「憐れみたまえ」より泣けました。
というか「憐れみたまえ」はヴァイオリンⅠの寺神戸さんが名演奏。
ヴァイオリンといえば好きなアリアの一つ、42番での若松さんの大変に情熱的な演奏も印象的でした。
お二人とも昨年と違った印象で、お父様の指揮では見られない演奏かもしれません。
さて、いつも気にしているヴィオラ・ダ・ガンバ(福澤さん)。
名演奏で、35番アリアはもとより57番アリアも美しかった。
私の頼りにならない耳だと、優人先生はガンバが弓を十分に往復できるテンポにしていたのではないかと思うのです。
加耒さんも素晴らしかった。
今回の演奏会で印象的だったのが49番アリア。
全体的に速めな中で、このアリアはゆったりとでも細やかにテンポが動いていました(たぶん)。
最後はテヌートにしていたのではないかなあ。
残念だったことは、大好きな65番で木管群の音がちょっと大きくて声が・・・・
仕事で頭痛と肩こりがひどくてしんどかったのですが、本当に良い時間を過ごせました。
あっという間だったなあ。
BCJ&鈴木優人指揮 バッハ:マタイ受難曲 2024年3月31日 於・水戸市民会館