仕事+流行り病で、4-5年ぶりくらいかなと、わくわくしながら初台へ。
プログラムを見て驚きました。
今年は、鈴木先生にとって100回目のマタイの演奏なのだそうです。
(聖金曜日で100回なので私が聴いたのは101回目ですが、それでもなんという巡り合わせ!)
帰宅後に前回のプログラムをみて、また驚きました。
前に聴いたのは2016年、7年ぶりでした。
歴代のプログラムのみなさん
時間の経過を感じたのが、老眼。
私にとってマタイ受難曲は「読みながら聴く」ものですが、今回は困りました。
眼鏡を外してプログラムに目を近づけ、気になる演奏で眼鏡をつけて舞台を見るという、近隣の席の方々には大変に迷惑な状態。
周りの方々、すいませんでした。
大変に満足して帰宅した演奏会だったのですが、今回は合唱が美しかったです。
時に存在を忘れるくらい(誉め言葉です。悪目立ちしないことが大事なので)安定したエヴァンゲリスト、トマス・ホッブスさんはもちろん、特にバスのマルティン・へスラ―さんが素晴らしかった。
気高さのある美しい声で「重々しいイエス」ではなく「苦悩するイエス」でした。
バスⅡの加耒さんは、とても力強くよく通る低音で、こんなに素晴らしい人がいらしたんだと思ったら、2016年(バスⅡ)、2015年(祭司長)のプログラムにお名前が。
すいません、私の耳は節穴です。
2010年のプログラムにはお名前がないので、10年代半ばからのご参加でしょうか。
アルトの久保法之さんも美しかった。
通奏低音が例外的に無くて泣かせな感じが苦手な39曲「憐れみたまえ」は、清らかでのびやかな歌声。
ただ20曲でのオーボエが素晴らしく、59・60曲はオーボエ・ダ・カッチャに集中してしまい、久保さんのご活躍に集中できず、もったいない。
ああ、もう一回、聴きたい。
マタイは聴くたびに泣く場所が変わるのですが、今回は65曲。
へスラ―さんがBCJの美しい弦にのって、客席を見回すように歌っていらっしゃいました。
その高貴な歌声に、アリア前半は感嘆、アリア後半はなぜか号泣。
歌い終わってへスラ―さんが元の位置に戻るとき、ソプラノⅠのルビー・ヒューズさんの傍らを通るのですが、ヒューズさんが楽譜と一緒に膝の上に置いていた手を、そっと楽譜を軽く叩くように”拍手”なさっていたのが印象的でした。
あとヴィオラ・ダ・ガンバも素晴らしかった。
35曲は美しい響きで、期待していた57曲はちょっと残念でしたが、テンポがガンバで追いかけられる速さでなかったのかなと思ったりしました。
マタイを聴くたびに「頑張れ!ガンバ!」と思います。
ダジャレでなく、ガンバの音が好きなので。
久しぶりなので自信がありませんが、BCJ全体が世代交代しているのかなと思いました。
とはいえ、過去のプログラム(2006、2008、2010、2015、2016年)でも、主要奏者以外は結構、入れ替わっているので、よくわかりません。
というのも、演奏群で、おや?と時々思う事があったので、過渡期なのかなと。
あと、今回、ソプラノ・イン・リピエーノがお子さんたちなのもツボでした(東京少年少女合唱団)。
2016年は福岡女学院高校有志、2015年以前は独奏者数人で歌っていらしたので、これも鈴木先生の心境の変化でしょうか。
仕事で責任をまだあまり抱えていなかった時期は、コルボやビラー、ヴィンシャーマン、シュライヤーなど、機会さえあれば、ほぼ毎年聴いていました。
最近、少し余裕ができたので、また聴きに行きたいです。
あっという間に終わっちゃったなあ。
私の地元にある古楽合唱団が演奏してくださるといいのに。
鈴木雅明指揮・BCJ バッハ「マタイ受難曲」 2023年4月 東京オペラシティ